01-10-04 趙六 豫譲
襄子に仇を取らんと燃える、豫譲についてだ。
彼は元々范氏や中行氏に仕え、その後知氏に仕えた。そんな彼は罪人に身をやつし、懐に刀を収め、襄子の家のトイレの壁塗りに従事。胸騒ぎした襄子により施工人たちの身柄を改めたところ、豫譲の紛れ込みが発覚。捕らえられた。
「あなたのもと仕えていた范氏、中行氏を滅ぼしたのは他ならぬ知氏であったろうに。何故、その知氏のためにこのような真似に出るのだ?」
「范氏らは私を並の人間として取り立てました。故に並の人間として振る舞いました。知氏は私を国士として遇してくださいました。故にそれに報いるのです」
なるほど、義の男だ。感じ入った襄子は豫譲を釈放。こちらで豫譲を避ければよいだけだ、と言う。
釈放された豫譲だが、当然再び狙う。身体に漆を塗って肌をただれさせ、炭を飲み込んで声を潰し、乞食のような風体となる。妻ですら豫譲と気付かぬほどだ。見かねた友人、豫譲の才能であれば襄子にも気に入られるだろうに、そのほうが復讐の機会がめぐってきはすまいか、と諫めるのだが、豫譲は首を振る。
「仮にでも君臣の結びつきをなせば、それは裏切りとなる。おれはあえてこの振る舞いを貫くことで、裏切りをして恥じぬ者たちを辱めたいのだ」
そして再び襄子に捕まり、殺された。
蒙求:
豫讓吞炭 鉏麑觸槐
豫讓と絡むのであれば、鉏麑もやはり義士。横暴な暗君である晋の霊公に仕えた。霊公をしばしば諫めてくる趙の宣子を殺すよう命ぜられたが、宣子のきりりと整った居住まいを目の当たりとし、どちらが正しいのか煩悶したあげく、彼を殺すことはできないと頭を槐の木にぶつけて死んだ。
義士のために身を損ねるふたりの豪傑。ここで方や趙氏を狙い、方や趙氏のために死ぬなど、その辺の対比も効いている感じですね。




