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訳だけ! 十八史略+蒙求  作者: ヘツポツ斎
01-03 西周

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01-03-04 周 伯夷・叔斉

 殷の王族に連なる公子に「伯夷《はくい》」「叔斉《しゅくせい》」という兄弟がいた。彼らは殷《いん》から周《しゅう》に帰属していた。ただし、その心はあくまで殷を奉じていた。

 武王《ぶおう》が文王《ぶんおう》の位牌を掲げて(この遠征があくまで文王主導である、と表明していた)討伐軍を立ち上げると、武王の馬に取りすがり、二人は言う。

「父の喪が明けてもおらぬのに軍を立ち上げるのが、果たして孝行者と言えますか! しかもそれで倒す相手が主君だと言うのであれば、そこに仁義はございますか!」

 周囲の人間は排除を求めたが、太公望《たいこうぼう》が「彼らは義士である」と、武王から引き剥がすことだけを命じた。


 殷が滅ぼされると、二人は武王を止められなかったことを恥じ、これ以上周の俸禄《ほうろく》を受けることはできないと首陽山《しゅようざん》に隠遁。歌を詠む。


 登彼西山兮《とうかせいざんけい》 采其薇矣《さいきびいー》

 以暴易暴兮《いぼういぼうけい》 不知其非矣《ふちきひいー》

 神農虞夏《じんのうぐか》 忽焉沒兮《こつえんぼつけい》

 我安適歸矣《があんてききいー》 于嗟徂兮《うーさそけい》

 命之衰矣《めいしすいいー》

  この山中でゼンマイを積み、

  細々と生きるのだ。

  暴でもって暴を倒すこと、

  どうしておかしいと思えぬのか。

  神農《じんのう》や堯《ぎょう》、夏《か》にあった徳は何処《いずこ》。

  我が心の帰すべき先は何処。

  ああ、どこへとゆけば良いのか。

  天命は、かくも衰えた。


 そして、二人ともに餓死した。

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