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訳だけ! 十八史略+蒙求  作者: ヘツポツ斎
01-02 夏・殷

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01-02-07 殷 箕子

 紂王《ちゅうおう》には比干《ひかん》のほか、もう一人叔父がいた。「箕子《きし》」という。彼は紂が象牙の箸を使い出したとき、王の贅沢好みはきっと留まるところを知らなくなるだろう、と予期した。

 箕子の予感は的中。日を追うごとに紂の無道は加速していく。加えて諫めようとした微子《びし》は亡命、比干や九侯《きゅうこう》、鄂侯《がくこう》に至っては殺害されてしまう始末。身を危ぶんだ箕子は発狂したふりを演じる。その結果、牢獄に放り込まれた。


 殷が滅んだのち、箕子は周《しゅう》に迎え入れられた。彼が殷《いん》の都跡地に赴けば、そこでソバやキビが穂を実らせている様子に出会う。思わず、箕子は歌う。


 麥秀漸漸兮《ばくしゅうぜんぜんけい》 禾黍油油兮《かしょうとうとうけい》

 彼狡童兮《かこうどうけい》 不與我好兮《ふよがこうけい》

  ソバやキビが見事に実っている。

  あのずる賢い小童は、

  遂に我が忠心故の諫言を

  受け入れてはくれなかったな。


 殷の旧臣らは、その歌を聴いて涙したという。

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