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訳だけ! 十八史略+蒙求  作者: ヘツポツ斎
02巻 秦 1 始皇帝

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02-01-08 秦一 趙高・李斯

 胡亥《こがい》の下で、趙高《ちょうこう》は李斯《りし》と不和になっていた。あるとき胡亥が美女を侍らせて宴会を楽しんでいたところ、側に付き添っていた趙高、李斯の元に使者を飛ばす。その内容は「いま、陛下は暇なので政治のことを奏上する頃合いである」というものだ。信じ込んだ李斯が奏上に上がれば、興を削がれた胡亥は激怒する。

「暇な日は他にもあったろうに、何故そなたはいちいち宴会をしているときにやって来るのだ!」

 ここに趙高も追従する。

「いかにも、いかにも。他にも李斯の息子は洛陽《らくよう》の長官でありながら賊と通じております。しかも丞相の宮殿の外での権勢は陛下をも上回るもの。これ以上その思い上がりを見過ごすわけにも参りますまい」


 こうして李斯は獄に送られ、五種の刑罰をすべて受けた。すなわち顔に罪人の入れ墨を入れられ、鼻を削がれ、足を切られ、陰茎を切られ、その上で処刑されたのである。しかも処刑は咸陽《かんよう》市中での公開腰斬が選ばれた。腰のところで切断されても受刑者はしばらく死ねず、しかも意識がはっきりしたままであるという。つまり、最悪の犯罪者として処断されたのである。

 李斯は処刑場に引き連れられるとき、次男に「もうお前たちと一緒に犬を駆ってウサギを狩ることもできぬのだな」と涙に暮れたという。間もなく三族、すなわち父の家系、母の家系、妻の家系はことごとく殺された。


 趙高はこうして権力を牛耳った。しかし臣下らが言うことを聞かなくなることを恐れ、人々を試すことにした。胡亥に鹿を献上した上「馬をお持ちしました」という。すると胡亥は「何を思い違いをしておるのだ、これは馬であろう」と笑う。が、周囲のものはだんまりを決めるものがほとんどだった。中には「鹿だ」と答える者もいたが、趙高はその者らを処刑した。こうして趙高に逆らえる者はいなくなった。


 そんな趙高が追い詰められていく中、ついには胡亥を殺し子嬰を立てるも三族皆殺しとなったのは、前話にも書いた通りである。

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