救い
「マジックギミックス」最新話です。
遅くなってすいませんでした。
よろしくお願いします。
「透哉さん。どうせ同じ結果になるのですから、今教えてあげましょう。ジェーン・ドゥ……最近話題になっている方です。その正体は私、セリナ・フェヴァールです」
薄暗い工場の奥……鉄の採掘場だったと思われるその工場内で、1人の少女は驚くべきことを口にした。
明かりがないため、透哉はセリナがどんな表情をしているかわからなかったが、ただ、その声には喜怒哀楽の感情が全く含まれていないことだけはわかった。
「は……おい、嘘だろ?」
「この状況で嘘をつくと思いますか? 確かに嘘をつくのは得意ですが。と、いうような話をしている時間もありません。少し早とちりかもしれませんが、人が来る前に早くかたをつけましょう」
セリナはそのまま一歩踏み出し……
「グラビティア……」
そう唱えると、約5mあった透哉との距離を一気に詰めてきた。
(!? 速い……)
セリナと透哉の距離はあまり遠くなかったが、それでもセリナが透哉との距離を詰めた時の速さは人間が足で踏み込んだだけで出せる速度ではなかった。
「重力場付与」
セリナは再び謎の呪文を唱え、握った拳を一直線に、これもまた人間に出せるとは思えない速度で透哉の腹に命中させた。
「ぐ……あぁ!」
透哉はセリナの拳が命中する直前に後ろに飛んでいたが、やはりすべての威力を殺すには間に合わなかったらしく、バットで殴られたような強烈な痛みが腹部を襲った。
それとほぼ同時に、2段ベッドから地上に落下したときのような痛みが背中に走った。
なぜか10mほど先にいるセリナを見ながら倒れた。
「ひ……ひいッ!」
横から怯えた男の声が聞こえてくる。
なにが起きたか……そんなことは頭の中が真っ白になっている透哉には分かるはずもなく、ただ体の前と後ろ、両方から締め付けられるような痛みに悶えることしかできなかった。
「どうですか、詠唱魔術の力は。この技術は聖剣戦争中に発見されたもの……私たち聖剣戦争の生存者しか知り得ないものです」
魔術……絶大な威力を持つその力を聞き、ようやく透哉は何をされたかを理解した。
その答えは実に簡単であった。殴られた……そして、そのまま吹き飛ばされ、壁に叩きつけられたのだ。
「運のいい人です。あれをくらって内臓の一つも潰れないなんて」
「セリナ……どうして……」
「……死人に口なし……透哉さん、黙って死んでください……誰かを救うためには、誰かの犠牲が必要なんです」
少女は悲しげな表情になり、腰に下げていたホルダーから仕込んでいた短剣を取り出し、逆手に持った。
「ごめんなさい……」
少女はそう言って短剣を振り下ろし、それは透哉の心臓に突き刺さる……はずだった。
「ガキンッ!」
不意に金属同士が衝突する音が響き、同時にセリナの目の前で火花が散った。
「! 何が……!?」
セリナは戸惑いを隠せなかった。つい数秒前には手元にあった短剣が謎の衝撃が手に伝わったのと同時に消えたからだ。
「何が……と訊かれたら!」
「答えてあげよう明日のため……」
「やめろ、お前ら」
3人の少年の声が工場内を飛び回る。
聞こえてきたのは涼と海斗、そして龍弥の声だった。
「そこまでだ、ジェーン・ドゥ。この暗闇の中だから顔は見えないが、こちらには周囲認識という魔術を持った仲間がいる。海斗」
「ああ。ばっちり見えてるぜ。あいつの姿がな」
海斗は自動小銃を構え、その上部に取り付けた照準器を覗き込みながら言った。
ダットサイトは、中央に赤い点を持った照準器であり、その赤い点はセリナの頭をしっかりと捉えていた。
「さあ、おとなしくこちらに出てこい。でないと……」
「ハツキではないのですか。安心しました」
セリナは安心しているような声を発した。この状況に絶望的なくらい似合わない声を。
「いいでしょう。出てきてあげます」
そう言うとセリナは入り口に向かって足を進めた。
「! おいおい、どういうことだよ。さすがの俺でもびっくりしたぜ。統括会の職員さんが近頃の事件の元凶なんてよ……」
涼は驚嘆の声をもらした。暗闇から顔を出したのはハツキの友人だと思われる少女だったからだ。
「あなた方なら私一人で十分ですね。ハツキが来る前に……かたをつけましょう。3名様、歓迎します」
セリナはホルダーから2本の短剣を取り出し、逆手に持って構えた。
読んでくださり、ありがとうございました。
毎回投稿が遅くなってしまい、申し訳ありません。今テスト期間なものでして……。でも、テスト勉強もほどほどにして、小説投稿頑張っていきますので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。
今回は涼君たちが助けに来てくれた、という話でした。セリナの意味深発言も早いうちに解明されるでしょう。
ところで、最近パ〇ドラでパズルをするのが面倒になってきた僕はいったいどうすればいいのでしょうか……笑
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