統括会からの迎え セリナ・フェヴァール
「マジックギミックス」第22話です。
普通の長さです。
題名は長いです。
よろしくお願いします。
西暦5639年、6月17日 午後5時
「はい、召集はかけておきました。手筈通りに事は進むかと……。いえ、今回成果は出せなくともまだ大丈夫でしょう。……ええ……ええ……そこも大丈夫です。だって、統括会の実権を握ってるのは鬼狩さん……あなた自身であるようなものではないですか」
新生アメリカ、高いビルの屋上、そこにある男がいた。男の外見年齢は20歳ぐらい。実年齢も±1歳といったところであろう。
男は携帯で通話しており、話し相手は鬼狩という男……聖剣戦争の際、裏で政府と世間を操ろうとしていた男だ。
「ええ……。彼らの案内はセリナ・フェヴァールに任せております。大丈夫です。彼女はまだ何も知りません。失敗をしてしまうという以前に、失敗自体が存在しません。……ええ、それでは」
少し低い声の男はそう言って電話を切った。
「さて、そろそろ彼らが来るころか……。用意せねばな……。彼らには頑張ってもらわないといけない……」
男はそう言ってビルの中に入っていった。
西暦5639年、6月17日 午後2時40分
「えーっと、という訳で、また統括会に行かないといけないことになりましたー」
ハツキは自宅に集めたマジックギミックスのメンバー8人と、妹の過崎梓、ハツキと梓と共にこの家に住んでいる実体化及び霊体化可能の謎の幼女、アロンダイトことアイの前でそう言った。
「えーっと、どういう訳か読者の皆さんと俺が理解できないので、もう一回説明してください」
「お前は理解しろよ……」
南雲涼がハツキにもう一度説明してくれるように求め、その横で鷺村透哉がその涼にツッコんだ。
「だから、今回のロシアへの協力で色々と問題が発生しているから統括会がちょっと来いよって言ってきたんだ。その問題がどんな問題なのかはあっちに着いてから説明してくださるらしい」
ハツキがもう一度かなり少ない時数での説明を終えると、涼がまたつっかかってきた。
「無視るわけにはいかないんですか」
「章題とかこの前の話とかであった通り、これは召集なんだ。陸上や運動会での招集じゃない。つまり、昔の日本で言う天皇の集合命令とか、国会の召集……簡単に言うと、逆らえない命令だ。もし逆らえば僕たちの首が飛ぶか、そうならなかったとしても、僕たちの活動資金が日本のお偉方の大好きなかき揚げのフライになるのは確定事項だ。活動資金が飛んでいけば僕たちの活動は絶望的になる。かといって僕たちがこの組織をやめれば犯罪や戦争の抑止力が無くなってこの大陸はあっという間に廃れる。それだけ僕たちがこの大陸に及ぼす影響は大きいってことだ。
つまり、この召集に従う理由は、この大陸のためと、皮肉にも出撃ない鶏どもに首が飛ばされることを阻止して、これ以上活動資金をかき揚げのフライにされないようにすることだ」
ハツキが長い説明の末、涼のためにそれを要約した1言を付け足した。
「あ、あの、今の、「飛ぶ」っていうのと、フライっていうのかけてるんだよね……」
四宮海斗が一条楓に確認するように問うた。
「だ……だね。前から思ってたけど、ハツキってこういう上手いこと言ったり、ダジャレとか言うの、好きだよね……」
少し引き気味な様子で楓がそれに答えた。
「まあ、そういうところもハツキのかわいいところだから」
「うんうん」
そこに、いつも通りハツキにデレている霧科祈と銅鈴が言葉を発した。
「えーっと、じゃあ、とりあえず新生アメリカにある統括会本部に行けばいいんだよね……。でも、明日も学校だし……。前に統括会に行ったときは次の日が休みだったからゆっくり行けたけど、今日アメリカまで行ってたら明日学校休まないといけなくなっちゃうよ」
結城美佳はそう言った。
同じ大陸にあるとはいえ、新生アメリカは遠い。
日本と日本の南に隣接している国、新生韓国との国境線からさらに南へ約3000km。しかもそれは新生アメリカの最北端である。統括会本部は新生アメリカの中心部にあるので、さらに南へ700kmほど行かなければならない。
新大陸へ避難して退化したとはいえ、流石アメリカといったところで、大国であることは揺るいでいないようだ。
「ああ、学校を休むわけにはいかないし、日帰りで行くよ」
ハツキはあっさりとそう言い放った。
「え……?」
「「「「「「「「「ええー!?」」」」」」」」」
ハツキとアイを除いた9人が一斉に驚嘆の声を発した。
「え、アイ、何か知ってるのか?」
アイの隣にいた榊龍弥がアイにそう訊ねた。
「え、ええ、まあ。ハツキの思考と私の思考は大体リンクしてますから」
「そ、そうなのか」
アイがそう答えると、たつやは、相変わらず不思議な幼女だ……、と思いながら、何とか返事を返した。
「ひ、日帰りって……新幹線で行く温泉感覚で行けるもんじゃないだろ……。どうやって行くんだ?」
透哉がハツキにそう問うた。
「ふふふ、実は統括会から案内人を派遣されているんだよ」
ハツキが不敵な笑いをし、統括会から協力が出ていることを公表した。
「召集に従うのはいいけど、そのせいで学校を休むことになるのは可哀想だ、って言う意見が統括会で出たらしくてさ。それで大人数が乗れるジェット機を派遣してくれたそうなんだ」
ハツキがそう言った瞬間、窓の外をギューンッという音と共に何かが通過した。
「来たみたいだね。相変わらずあまり運転がうまくないみたいだけど……」
しばらく沈黙が訪れる。
(……待てよ。この流れ……普通の小説なら運転下手くそだからジェット機が誰かの家に突っ込むっていうパターンだよな。俺の家はこのマンションの向かい……。そしてハツキの家の部屋番号は305……地上からそんなに高いところではない……ジェット機の墜落角度にもよるが、俺の家に突っ込んでいるのではないか……)
透哉がそんな余計な心配をしていると、ピンポーン、と、ハツキの家のインターホンがその高い音を発した。
「は、はーい……今開けます」
梓が玄関に走って行き、玄関のドアを開けた。
「こんにちはー! MGのみなさーん! 案内役として仰せつかったセリナ・フェヴェールでーす!」
玄関先にいたのは、元気な15歳ぐらいの少女だった。
読んでくださり、ありがとうございました。
第21話にしてようやくPV数が1000を突破しました。本当に皆様のおかげです。ありがとうございます。しかし、この話まで読んでくださっている方はごく少数の方のみなのです笑
しかし、22話まで読み進めてくださった貴方、ほんとうにありがとうございます。
今回は統括会についての話でしたね。まあ、この章は全て統括会についての話ですが笑 みんな1言ずつって感じですが喋っていました! ちょっとしたキャラの印象付けができた! と思っております笑
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