ジェット機の破壊神
少し遅れました、すみません。
「マジックギミックス」第23話です。
よろしくお願いします。
梅雨の時期にしては珍しい快晴の日。
マジックギミックスのメンバー9人は統括会から派遣された案内役のセリナが運転するかなり多くの人数が搭乗可能なジェット機の中にいた。
「い、いやー。よかったじゃないですか。屋根がちょっと飛んで行っただけで……」
セリナは視線をジェット機の前方から離さずにそう言った。
「よくないって……。まあ、全壊よりかはよかったけど……」
透哉は顔を手で覆いながらそう言った。
透哉が心配した通り、セリナのジェット機は透哉の家の屋根を破壊して近くの空き地に着地していた。
少し屋根が飛んで行っただけで、あまり大きい損壊はなかったが、それでも家の中が一部露出してしまっているのは透哉にとってかなりの損害だった。
「しょ、しょうがないじゃないですか。あんなところに家があるのが悪いんです!」
「なんでそうなるんだよ!?」
「ハツキから私がジェット機の運転が下手くそだってこと聞いてなかったんですか?」
「家が建てられたのはそれを聞くずっと前だよ!」
セリナはかなり強引なダメ押しをしてきた。
ハツキとセリナはどうやら知り合いだったらしく、お互いを知っているようだった。
「ハツキの知り合いにあんな人いたなんて知らなかったよ」
鈴がそう言った。
「それもそうだよ。だって知り合ったのは聖剣戦争が終わった後だし。まあ、その後も連絡は取ってたけど」
「あれ、でも、ハツキが鈴さんと知り合ったのはそれよりずっと前じゃなかったたのか? 聖剣戦争も一緒に戦ったんだろ?」
ハツキが言ったことに少し違和感を感じ、透哉がそれについて訊いた。
それに反応したのはハツキではなく、鈴だった。
「あれ、それもそうだね……なんでだろ……? あ……れ……なんか、頭が痛くなってきた……」
鈴はそう言って頭を抱えた。
「あ、えーっと……そ、そういえば、梓とアイが帰ってきたらすぐご飯食べれるように作っとくねって言ってたなー!」
「え、本当に!? また梓ちゃんのご飯が食べられるんだ!」
鈴が頭が痛いと言っていたことなんか嘘のように元気になった。
(なんだ……? 今、一瞬ハツキが焦ったように見えたけど……)
透哉が少し不審そうにハツキのことを見た。
「ねえ、鈴。今日私が作った朝ごはん、すごく嫌そうに食べてたけど、梓ちゃんのご飯だったら喜ぶんだー。ふーん……」
「あ、祈……ち、違うの」
「何が違うの?」
祈が鈴を追いつめている状況をマジックギミックスのメンバーはいつもの光景だと、笑ったり、呆れたりして見ていた。
(気のせいかな……まあ、ハツキが焦ることなんてめったにないって美佳も言ってたし、そう見えただけかもな)
透哉はそれ以上何も考えなかった。
ガン! という轟音が新生アメリカの中心部、統括会の本部前で響き、その次の瞬間、大型のジェット機がガガガッと言う音と共に地面に着陸した。
「みなさーん、着きましたよー」
「ほんとに着地が下手くそだな……」
ハツキがそう言うと、セリナは、えへへー、と自分の頭をなでてジェット機から外に出ていった。
「いやー……また塀を壊しちゃいました……お給料減っちゃいますー……」
セリナがそう言ったので、透哉がジェット機が先ほど轟音を発した場所を見ると、高さ3mほどの塀が縦2m、横10mほどにわたって破壊されていた。
(横幅だいたい8mほどのジェット機でこの範囲を壊すとは……破壊神だな……)
透哉はそう思いながらジェット機から下り、統括会本部の入り口に向かった。
「というか、よくジェット機が壊れないね……」
楓が唐突にそう言った。
「ええ、なんか、私が使うためだけに作られたオーダーメイドの機体みたいで、装甲がかなりぶ厚くなっているみたいです。これも上の人が私の活躍を期待してくださったおかげですよね」
「いや、信用されてないだけだと思うけど……」
何か勘違いしている少女に楓は現実を突きつけたが、聞こえていなかったらしく、セリナはテクテクと歩いて行った。
「しばしここでお待ちくださいー。あ、どうぞここにおかけになっていてください」
統括会本部12階、セリナはある部屋の前にあった少し広い円形の場所に並んであった3つのソファを示してそう言い、そのある部屋に入っていった。
透哉は示されたソファのうち、さっきセリナが入っていった部屋から一番遠い、右端にあったソファの右端に座った。
「な、なんか、いろいろとぶっ飛んだ子だったな……」
涼が唐突に口を開き、真ん中のソファの右端に座った。
「まあ、あんたが言うのもあれだけど、確かに、なんか、こう……天然だって感じはしたね」
美佳がそう言って涼の隣に座った。
「あの……透哉さん、ちょっといいですか?」
「あ、たつや……どうかした?」
話しかけてきたのは榊龍弥だった。
たつやは透哉の座っているソファのそばの窓ガラスにもたれた。
「ハツキがさっき焦ったの……透哉さんも気づきましたか?」
「! ああ……」
先ほど、鈴がハツキの話の違和感に気づいた時のハツキの様子……焦っているように見えたのは透哉だけではなかったようだ。
「あの時、ハツキと透哉さんは聖剣戦争に関係のある話をしていました。そして、前にも言った通り、ハツキは俺たちに聖剣戦争のことを話そうとはしません。ハツキが聖剣戦争のことを隠しているのは、俺たちにも関係が……」
「お待たせしましたー!」
たつやの話の途中で、セリナが先ほどの部屋から出てきてそう言った。
ハツキは右端のソファの真ん中で祈と鈴に挟まれていたので、たつやの話は聞こえなかったようだ。
「えーっと、部屋がいっぱいになるので、とりあえずハツキと、あと、透哉さんだけ中に入ってください。あとの人はここでもうしばらくお待ちを……」
セリナはそう言ってハツキと透哉を部屋に入れた。
部屋の中はそこそこ広く、中央に丸い楕円形のテーブルが置かれていた。
ハツキと透哉は、部屋の中を見まわしてから、部屋の奥にいる人物を見た。
「よく来てくれた。ハツキ君、透哉君。私が統括会本部、戦争管理機関の代表、ツァギール・フェルドマンだ。よろしく」
少し低い声の男はそう二人に挨拶をした。
読んでくださり、ありがとうございました。
今回はジェット機の運転手、セリナがいろいろやらかしたり、謎が増えたりする話でした。
突然ですが、私、ある理由により、少しの間活動を休止させていただきます。本当に勝手ですが、申し訳ありません。次回の投稿は、4月10日の5時2分になります。それまでこの作品を覚えてくださっていたらまた読んでくださると嬉しいです。本当にすみません。
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