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ライバル

先生たちと旅行へ行ってから1週間たったある日俺はいつものように里枝ちゃんの家へと家庭教師としての授業をするべく来ていた。


「里枝ちゃん入るよ」

「どうぞー」

そしていつものようにノックをして声をかけて里枝ちゃんの部屋へと入って行った。


「いらっしゃいです先生」

部屋に入るといつもと変わらない元気な里枝ちゃんが居るのだが里枝ちゃんの隣には見たこともない女の子がいすに座っていた。


「里枝ちゃんこの子は?」

「私の友達の菜緒ちゃんですよ」

「ちょっと柳瀬さん!勝手に友達とか言わないでくださらない!?言っておきますけどね私とアナタは友達という関係ではなく「ライバル」といった関係なんですからね!」

「えーそうだったの?知らなかったよ」

なんだか二人は外から見たら漫才をしているようにしか見えなかった。

それにしてもこの子身長や顔立ちは里枝ちゃんと同じくまだ幼い感じがしているが髪の毛はロングで巻き髪にしているって言うのかな?それに服装がえらく派手なドレスのように見えるんだが。

それに喋り方もどこか独特だしもしかしたら結構お嬢様みたいな感じなんだろうか?


「初めまして。俺は里枝ちゃんの家庭教師をしている鳴海綾人だよ」

「ああ。アナタの話は柳瀬さんからよく聞いております。高校生で家庭教師とは余程できる人なのですね」

「いや、別にできるってわけじゃ…」

「そういう菜緒ちゃんの家庭教師さんも高校生なんだよね」

「わたしの事は言わなくていいんです!」

へぇこの子も家庭教師を雇っていたのか。なんか意外だな。


「私からの自己紹介が遅れましたわね私は西園寺菜緒(さいおんじなお)ですわ。柳瀬さんと同じ中学でクラスメイトですわ」

西園寺さんはお礼もして礼儀正しく自己紹介をしてくれたのだがやっぱり俺としては西園寺さんの喋り方がめちゃくちゃ気になるが。


「それともう一度言わせてもらいますが私と柳瀬さんは決して「友達」という関係ではなく「ライバル」という関係ですのでそこのところを忘れないでおいてくださいね!わかりましたか!?」

「りょ、了解」

西園寺さんの迫力に負けて適当に返事をしてしまったがそんなに友達という関係が嫌なんだろうか?

里枝ちゃんの方は友達だと言っていたのにな。


「それよりも柳瀬さんの事が余計わからなくなりましたわ。まさかこんな特徴のないような方の事が気になっていたなんて」

なんだろう今俺物凄いバカにされたのか?


「そんなことないよ!先生はとっても魅力的で凄く頭がいいんだから!」

里枝ちゃんが俺の事高評価してくれているのはわかるが全く俺には合わないところを評価してくれているな。


「本当かしら?全くそんな感じしないのですけれど」

「むーっ、本当だよ!だったらそう言う菜緒ちゃんの家庭教師はどうなの!?」

「私の家庭教師ですか?それは文武両道の完璧な先生に決まってるじゃないですの」

西園寺さんは腕を組んでいかにも自信のあるような顔をして言いきった。

それにしてもそこまでできる家庭教師が居るのか。やっぱりちゃんとした家庭教師なんだろうな。


「だったらその人見せてよー!」

「ええ、いいですわよ。ちょうど今日家庭教師があるのでここまで迎えにきてもらってるのでそろそろ来る頃だと…」

丁度西園寺さんが喋り終わる前に下からインターホンが聞こえてきた。

まさか本当に家庭教師を迎えに来らせるとは。


「それでは下に行きましょう。私の完璧な先生を見たら驚くはずですわ」

そう言うと里枝ちゃんと西園寺さんは下へと下りていった。

仕方ない俺も行くか。あそこまで西園寺さんに高評価されていた人が気になるし。














「どうです私の家庭教師を見て驚いたでしょう!?」

「ああ。別の意味でね」

本当に俺は別の意味で驚いていた。


「あれ、なんで綾人がここに居るんだ?」

玄関のところに居たのは匠だった。まさか西園寺さんの家庭教師が匠だったとは。


「あら?お二人は知り合いですの?」

「いや、別に…」

「おう。クラスメイトで友達なんだよ。な、綾人」

「へぇ先生の友達だったんですか!?それにしても凄いですねこんなところで会うなんて」

「ん、先生?」

やばい!里枝ちゃんが今ここで言ってはいけない単語を言ってしまった。


「はい。先生は私の家庭教師なんですよ」

あぁ、言っちゃったよ。


「な、なんだってー!!綾人が家庭教師!!?」

無駄に匠は大声を出してオーバーなリアクションをとった。

というか驚く事はわかっていたがここまで普通驚くか?


「あれ?先生の友達さんは知らなかったんですか?」

「俺は全然聞いてもなかったぞ!まさか綾人お前最近忙しくしてたのってまさか家庭教師のことがあったからか!?」

「そうだな」

「なんだよそういうことなら早く言えよな」

「だってお前に言ってもカナと同じ反応しそうだったし」

「小野寺も知ってたのか。あいつがどのような反応したか俺でもわかるな。まぁだが安心しろ俺はあいつみたいには言わないさ。それにお前が家庭教師をしているのは個人の自由だしな」

意外と匠は俺が家庭教師をしていることについて追及してこなかった。


「だが、柳瀬さんだっけ?綾人の教え方はどうだ?めちゃくちゃじゃないか?もしわからないところがあれば俺が教えてやるが」

「なんだよそれ。結局俺の事信じてないじゃないか」

「いや、確かに家庭教師をするのは自由だと言ったが俺は先生としてのお前のことを心配しているだけだ。先生としてちゃんとしていないなら生徒に迷惑がかかるだけだからな」

「先生はちゃんと私のこと教えてくれてますよ。それも凄くわかりやすくです!だからなんの心配もいらないです」

里枝ちゃんは俺の言いたい事を変わりに伝えてくれた。


「ほぅそうか。ふっ、えらくこの子に信頼されているようだな綾人」

「里枝ちゃんはいい子だからね」

「えへへ~♪」

いい子って言い方は子どもすぎたかもしれないが俺にとって里枝ちゃんは本当にいい子なのだ。


「ならばお前が先生としてちゃんとできているか調べさせてもらおうか」

「どういうことだ?」

「2週間後にある中学生対象の模試で勝負しようじゃないか」

「は?なんで俺とお前が中学生の模試を受けないといけないんだよ」

「違う違う。俺とお前じゃなくて菜緒と柳瀬さんだ」

まさか自分の生徒を使って勝負をするとは…。


「それは駄目だろ。自分の生徒を使って勝負だなんて」

「俺はこの勝負でお前の指導力を確かめたい。菜緒はこの勝負やるの駄目か?」

「なにをおっしゃいますか先生。私はこの勝負勿論やるに決まってますわ」

そう言うと西園寺さんは里枝ちゃんの前に出てきた。


「柳瀬さんとそろそろ決着をつけないといけませんしね」

決着か。そういえば西園寺さんは里枝ちゃんの事をライバルって言ってたな。一体この二人の間でなにがあったんだろう。

「いいよ。その勝負受けて立つよ!」

「ちょっ、里枝ちゃん!?」

「大丈夫ですよ先生。私と先生なら余裕ですよ!」

そう言うと里枝ちゃんは力こぶしを作り気合いを入れた。


「だそうだ綾人」

里枝ちゃんがやる気を見せているのに教師の俺がここで尻尾を巻いて逃げてしまうわけにはいかないだろう。


「わかった。その勝負俺も受けて立つよ」

「よし!それでこそ綾人だ。だったら俺も負けないように菜緒を指導しないとな」

「大丈夫ですわよ先生。私はお二人に負ける気なんてさらさらありませんから」

「むーっ!私だって菜緒ちゃんには負けないよ!」

「なんですってー!!言っておきますけど私はあなたより学力では上ですからそれを忘れないでほしいですわ」

この2人の言い争いが始まってしまった。まぁでも競争力がつくのはいいことだよな。


「ほらほら喧嘩するなよ。そろそろ時間だし帰るぞ菜緒」

「わかりましたわ。それでは柳瀬さんせいぜい悪あがきのほうがんばってくださいね」

「なにが悪あがきだよー!」

匠と柳瀬さんはドアを開けてそのまま帰って行った。



「とにかく負けてられないね里枝ちゃん」

「はい!絶対負けませんよ。ご指導の方よろしくお願いしますね先生!」

里枝ちゃんはだいぶ気合いが入っているようだ。

俺も里枝ちゃんが良い成績を出せるようにちゃんと教えないとな。





里枝ちゃんの部屋に戻ると模試の対策を練る事にした。

「中学生対象ってことは1年生から3年生まで模試が受けられるってことだよね」

「はい。試験は国語、数学、英語、社会、理科の5教科です」

なるほど。中学1年だし国語と数学に関しては小学校の頃の問題が多く出そうだな。英語は恐らく1学期までの範囲だから狭いだろう。


「とにかく今回は国語と数学を集中的にやっていこう。英語と理科、社会は時間が空いたときにでもやればいいし」

「そうですね。いつも通りの私たちで行きましょう!」

数学はいつもと一緒のやり方でそれに国語は他の教科が悪い時のためにカバーできるようにしておこう。

無理はせずにいつも通りの俺達でいけばそこそこ良い点数はとれるはずだと思う。

ただ俺は相手の方が気になる。


「ねぇ里枝ちゃん勉強始める前に少し聞いておきたい事があるんだけど」

「なんですか?」

「西園寺さんって頭いい方なの?」

「そうですね~結構いいと思いますよ。クラス順位は9位でしたし」

そういえば里枝ちゃんはクラス順位は40人中19位だったな。ちょうど10位差か。

それにしてもあの子って意外と勉強できるんだな。まぁあの喋り方からしてできそうな雰囲気はあったけど。


でもこうなると本格的に厄介だな。

相手の学力も上でそれに勉強を教えるのがあの匠だ。

家庭教師の学力も相当高くてその教え子もかなりできる。なんだか心配になってきたな…。


「先生どうしたんですか?」

「あ、いやなんでもないよ。それより始めようか」

「はーい」

今は考えてもしょうがないとにかく今はがんばるしかないんだ。











次の日。


「どうしてそんな勝負受けるかなぁ」

「そう言われても里枝ちゃんは勝負に乗り気で俺があのまま勝負に逃げだしたら家庭教師としてもかっこ悪かったし」

俺の部屋にはカナが来ており昨日のことについて相談しようと思ったのだが事情を言うなり説教をされてしまっていた。


「全くもう、勝負に負けたら傷つくのは里枝ちゃんなんだからね」

「おい、勝負に負けるとか言うなよ。俺は簡単に負ける気もないしそれに勝つつもりだから」

もし負けた場合里枝ちゃんの性格的に傷つくことはなさそうだな。でもやっぱり俺は里枝ちゃんと共に勝ちたい。


「はぁ…。言いだしたら聞かないのが綾人だよね仕方ないか。しょうがない私も手伝ってあげるわよ」

「ちょっと待ってくれ。手伝ってくれるのは凄く嬉しいんだが今回は俺と匠の家庭教師としての勝負もあるんだから里枝ちゃんにお前が教えるのは…」

「それぐらいわかってるわよ。直接的に里枝ちゃんに教えなけりゃいいんでしょ?だったら問題ないじゃない」

「どういうことだ?」

「私が綾人に勉強を教えてあげるってことよ」

「あの~カナさん?別に俺が教わらなくても」

「綾人が小学生の勉強覚えているはずないでしょ?私がその復習に付き合ってあげるんだから感謝してほしいぐらいよ」

確かに小学生の高学年で習った勉強は覚えているという自信はない。

「だったら先生に教わるし…」

「駄目今回は私が教える!そんなに遥さんばかりに頼ってられないでしょ?」

まぁテストの時とかもだいぶお世話になったしそこまで迷惑はかけられないよな。

でもカナかぁ。先生と違ってたいぶ疲れそうだな。


「なによー。私じゃ不満なの?」

「そういうわけじゃないけど」

「だったら感謝しなさいよね。ちゃんと教えてあげるんだから」

「はいはい、お願いしますね」


こうして俺はカナから小学生の勉強を復習として教わることになった。

想像以上に俺が小学生の頃の算数の問題が解けなかったのでやはりカナは怒っていた。


まぁなんだかんだ言ってわかりやすく説明してくれたので助かる。









そしてその日の夜。


「なんで私だけ仲間はずれなのー!?」

「いや、仲間はずれってわけじゃないんですけど」

夜先生が俺の家に晩御飯を食べに来てて俺は今度の模試対決のことについて喋った。

それを聞くと先生はどこか不満そうに文句を言い始めた。


「仲間外れだよ!綾人君と里枝ちゃんはわかるけど綾人君の勉強を教えるのは私の役目でしょ!なんで香苗ちゃんが」

「俺が頼んだんですよ。これ以上先生に迷惑はかけられないと思って」

話がややこしくなりそうなので今回は俺がカナに勉強を頼んだ事にした。


「迷惑なんかじゃないよ!綾人君に勉強を教える事は私の楽しみでもあるんだから」

「そう言ってもらえると俺としても凄く嬉しいです」

「でしょ!?だったら…」

「でも今回は先生の力は借りずにやります。だから先生今回だけは休みということでお願いします」

「えーそんなぁ!」

俺としても先生の力の方を借りたかったがここで先生の力を借りたら後でカナに何をされるかわかったもんじゃない。


「でも綾人君にそこまで言われたらしょうがないか」

「すいません先生」

「いいよいいよ。でもそのかわり今度綾人君には色々と付き合ってもらうから♪」

「あはは、お手柔らかに…」

正直色々と付き合ってもらうという内容が凄く怖いのだが。

まぁこれで先生にも今回の事を伝えれた事だし後はカナに小学生の頃の復習問題を手伝ってもらってそれを里枝ちゃんに教えるだけだ。














模試対決まで残り一週間。

模試があるということで家庭教師の日は1日から3日に戻り里枝ちゃんと俺は夏休みにも関わらず一生懸命勉強をしていた。

特に里枝ちゃんの方はいつもよりも集中力が増しているように気がする。

やはり勝負ともなると負けたくないという感情が高まるのかな?


ちなみに俺の方も週2日でカナに家に来てもらって小学生の頃の復習を手伝ってもらっている。

なんだかんだ言ってもカナはわかりやすく教えてくれるので凄く助かる。



そして今日は土曜日、今日は家庭教師の日でもカナに勉強を手伝ってもらう日でもないので息抜きにデパートに来ていた。


このデパートは里枝ちゃん達と前回水着選びに来た時以来だ。あの時は大変だったなぁ。


まぁそんな辛かった思い出は今は思い出さずに今回は一人で来たんだし一人なりに楽しもう。

とりあえず気晴らしにゲームセンターで久々に格ゲーでもするか。





ゲームセンターに来ると休みということもあり結構な人が居た。

特に人気のUFOキャッチャーではカップルがいちゃいちゃとゲームをしていた。

あれで本当に景品がとれるのだろうか?


正直いちゃいちゃしているのはうらやましいが今はUFOキャッチャーなどはスルーして格ゲーコーナーの方へ行こう。




「ん?あれは…」


格ゲーコーナーに来ると見た事のある人を見つけた。


「なんで負けますの!?ちゃんとコマンド入力しているはずですのに!」

その人物は大きな声をあげながらゲームをしていた。というか丁度ゲームオーバーになったところのようだ。

俺はせっかくなので声をかけてみることにした。


「こんにちは西園寺さん」

「ん?あら鳴海さんではないですか」

ゲームセンターで声を荒げていた人物は西園寺さんだった。まさかこんなところでこの子と会うなんてな。



「今日は家庭教師の授業はないみたいだね」

「ええ。私は週3日で火、木、日曜日が家庭教師の日なので今日はお休みなんですよ」

見事に里枝ちゃんと家庭教師の日がかぶってないな。しかも3日と言っても日曜日まで家庭教師の日を入れるなんてがんばるな。


「そう言う鳴海さんも家庭教師の授業の方はお休みなんですの?」

「うん、俺も休みなんだ。だから暇なんでちょっとデパートに来たってわけ」

「ふ~ん。そうなんですね」

「それにしても西園寺さんがまさかゲームセンターに居るとは思わなかったな」

「そうですか?」

「あんまりイメージがわかないよね」

「それは失礼ですね。私だってゲームぐらいしますわよ」

「あはは、気に障ったなら謝るよ」

でも正直イメージがわかないってのは本当なんだけどな。西園寺さんみたいなお嬢様キャラな人がゲームセンターに居るなんて普通の人も思わないよな。


「ところで鳴海さん。暇でしたら私に付き合っていただけませんか?」

「付き合うってなにを?」

「もちろんこのゲームに決まってますわ」

西園寺さんは手元にあるゲームを指差した。西園寺さんがやっていた格ゲーはどうやら最近出たらしいゲームだ。

まぁ格ゲーなのでたぶん似たようなコマンド使えば技は出せるだろう。


「いいよ。俺も丁度格ゲーしようと思ってたし」

「ふふ、それでこそ柳瀬さんの先生ですわ。それでは早速対戦開始と行きましょうか」

俺は西園寺さんと反対の席に着いてゲーム機に100円を入れて乱入をした。

キャラクターを決める画面でどれを使えばいいか困ったが俺は適当に妥当な普通の空手家のキャラを使うことにした。

一方で西園寺さんが使うキャラはごついプロレスラーキャラだ。なかなかの人選だな。


「それでは行きますわよ鳴海さん!」

「お手柔らかに」

向こう側では明らかに声が大きい西園寺さんがやる気になっていた。こうなったら俺も負けないようにがんばるか。




しばらくして。



「どうして私が5連敗もしなくてはならないんですの!?」

始めてから対戦を5回ほどしたのだが俺はなんと5回連続で勝ってしまった。

というか西園寺さんが弱すぎる。


「ちょっと鳴海さん!何か卑怯な手を使っているんじゃないんですか!?」

「そんなわけないでしょ。これは実力の差…」

「うーーッ、お黙りなさい!私が負けるなんてありえませんわ!」

「あのさ西園寺さん。今度は俺相手じゃなくてCPUと普通に戦ってみてくれないかな?」

「あら、私との勝負から逃げ出すつもりですか?」

「そういうことじゃなくて単に俺は西園寺さんの実力をこの目で見ようかと思って」

「へぇ言ってくれますわね。だったらその目で私の素晴らしい実力を指をくわえてみていなさい!」

西園寺さんはそう言うとコインを入れてゲームを開始した。






それから1分ほど。


「なんで私の攻撃が当たらないんですの!?」

やっぱり西園寺さんは弱かった。それも半端なく。


「だって西園寺さんコマンドがうまくできてないし。というかガチャガチャじゃ…」

「なんですって!?私がガチャガチャプレイだと言うのですの!?」

「まぁ、ね。でもちゃんと落ち着いてやったら技コマンドなんて簡単に出せるよ」

「それが難しいんじゃないんですの」

「大丈夫だって。俺が教えてあげるからやってみようよ」

「あなたが?」

「うん。こう見えて格ゲーとか好きだから結構やってきてるんだよ。まぁ西園寺さんがよければだけど」

このゲームに関しては初めてだったけどコマンド入力が一般的な格ゲーとほとんど一緒だったので意外と簡単だった。


「そうですわね。あなたの指導力も見てみたい事もあることですしお願いしようかしら」

指導力とか言われてもこっちとしても別にそこまで指導するわけじゃないんだけどな。



俺と西園寺さんはまたゲームを再開した。俺との対戦では教える事が難しいので今回もコンピューターを相手として教えることにした。



ゲームを開始して西園寺さんのガチャガチャプレイを少しでもマシにしようと手伝っていたのだがやはりガチャガチャプレイに慣れてしまったのかなかなか俺の言っている指示通りにできないでいた。


だがそれでも西園寺さんは必死で俺の言っている事を聞きながらコマンドを入力して技を出そうとしていた。

西園寺さんの苦手な事に必死で取り組むや負けず嫌いってところがどこか里枝ちゃんと似ている。その事もあってか凄く教えやすかった。


まぁゲームしている最中の大声は凄く恥ずかしかったのだが。







それからまたしばらくして。



「やるじゃないか柳瀬さん!ついに3回戦目だよ」

「ふふ、当然ですわ」

少し前までは1回戦目でボコボコに負けていた西園寺さんだったがやり方を教えてあげるとみるみるうちにコントロール捌きもよくなり気づけば3回戦目までやってきていた。

でもここまで来るのにどれぐらいお金を使ったんだろうか。


「そろそろ鳴海さんと戦っても余裕で勝てる気がしますわ」

「え、それはちょっと早いんじゃ」

西園寺さんは自信がついたのかまたしても俺に勝負を挑んできた。


「あら、私が強くなったからってもしかしてびびってるんじゃないんですの?」

「また挑発か…。いいよだったらやろうか」

「いい返事ですわ。もし鳴海さんが勝ったら私が何か食事を奢ってさしあげますわ」

「もし西園寺さんが負けたら?」

「それはその時決めますわ!それでは始めましょうか」

西園寺さんのこの自信は本当にどこからわいてくるんだろう?

でも賭けているとなったら負けるわけにもいかない。ここは本気でやらなくちゃな。

















「どうしてアナタに1勝もできませんの!?」

「あはは…でも西園寺さん上手くなったよ」

結局西園寺さんは俺には1勝もできず食事を奢る事になった。俺は年下の女の子、ましてや教え子の友達に奢ってもらうのはどうかと思い遠慮したのだが柳瀬さんがまたしてもプライドがどうのこうのと騒ぎ始めたので俺は結局デパート内のフードコートで晩御飯を奢ってもらうことにした。




「同情なんかやめてもらいたいですわね」

「同情なんかじゃないって本当に上手くなったよ。俺は格ゲーとか結構慣れてるからさやっぱりその差だよ」

「う~ん、何か納得できませんわね」

「それに西園寺さん俺の教えてくれる事全部聞いてちゃんとやってくれたから教えている俺の立場としてはとても教えやすかったよ」

結局はゲームも勉強と一緒だ。ちゃんと教えていることを聞いてそれを実力としてだしてくれるものが居るからこそ先生として教え甲斐があるってもんだ。


「あなた変ですわ。」

「いきなり何?」

こんなに真っ直ぐに変と言われたのは初めてだ。というか少し傷つく。


「敵である私に普通に話しかけてくるしましてやゲームのやり方まで教えてくるなんて普通敵という相手にそこまでやらないと思いますけど」

「別に俺は君の事敵とは思ってないよ。確かに模試で里枝ちゃんと勝負する相手だとしても俺はあくまで里枝ちゃんの友達ということで接してるだけだしそれに勉強なんか今日は関係ないしね」



「あなたやっぱり変ですわ」

やっぱり俺の言った事西園寺さんには伝わらなかったのかな。


「でも、柳瀬さんがあなたのこと気になっている理由がわかりましたわ」

「え?」

言っている意味がよくわからなかったが西園寺さんは何故か微笑んでいた。


「さて、食事も終わった事ですし帰りましょうか」


俺達は会計を済ましてデパートから出ることにした。

会計の時年上だからという事で俺が全て払おうとしたが西園寺さんが断りゲームに負けたからと言って逆に西園寺さんが全て払うと言いだした。

さすがに年下の女の子に払わせるわけにもいかないので割り勘ということになった。





デパートから出ると夏というのに涼しい風が吹いていた。


「それじゃあ鳴海さん私は向こうで車を待たせているのでここで」

車って…。やっぱり西園寺さんって金持ちなんだな。


「わかった。気をつけて帰ってね西園寺さん」



「あ!鳴海さんちょっと待ってくれますか」

「ん、何?」

「今日の事は柳瀬さんに内緒にしておいてほしいのですけど。あくまで私とあなたは敵同士ということなので変に見られたら困ってしまうので」

柳瀬さんはそんなことを心配していたのか。でも里枝ちゃんならそんなこと気にしないと思うんだけどな


「わかってるよ。今日の事は誰にも言わないさ」

「ありがとうございます。それでは鳴海さんもお気をつけて」

「じゃあね西園寺さん」

西園寺さんと別れると俺は家へと帰って行った。

今日一日ずっとゲームをしていたような気がする。しかもずっと同じゲームを。

でもこの一日で西園寺さんの事が少しでも知れてよかった。



さて、今日はおもいっきり遊んだし明日からは里枝ちゃんの勉強を少しでもサポートできるようにがんばらないとな。

















それから俺は模試までの間いつも以上に里枝ちゃんの勉強に力を入れていた。

里枝ちゃんもそんな俺に気づいてくれたのか里枝ちゃんも俺の気持ちに応えてくれるように勉強をしてくれた。

もちろんこの里枝ちゃんの勉強には陰ながら俺を通じてカナがサポートしてくれた。本当に言葉は厳しいのだがちゃんと勉強を教えてくれるからそこのところは感謝している。






そしてついに模試勝負の時がやってきた。



模試の試験の日は里枝ちゃんから夜にメールがきて「先生から教えてもらったことを全て出し切りました」というメールをもらった。

俺は里枝ちゃんがこう言っているから大丈夫だろうという事で里枝ちゃんを信じることにした。

その試験日から一週間後。里枝ちゃんから電話が来て結果が来たという事で里枝ちゃんの家に行くことにした。


里枝ちゃんの部屋に入ると既に匠と西園寺さんが来ていた。


「よう、待ってたぜ空」

「匠、お前も来てたのか」

「当たり前だろ。俺達の勝負の時に来ないわけないだろう。俺の生徒が勝つかお前の生徒が勝つかそれに俺とお前との指導力も勝負に入ってるんだからな」

いつの間にか指導力の方も勝負に入ってるし。


「柳瀬さん私が圧勝しているのを見て泣く準備はできましたか?」

「私が勝ってるにきまってるよ!だって先生にいっぱい勉強教えてもらったんだから!」

こっちはこっちで盛り上がっているようだ。



「さてと、お喋りはここまでだ。そろそろ結果発表といきますか」

「ああ、そうだな。里枝ちゃん模試の結果を」

「はい!」

俺は模試の結果が入っている封筒を受け取った。同時に匠も西園寺さんから同じ封筒を受け取った。


「それじゃあもう確認しておくがこの模試は1教科50点満点で5教科ある。すなわち5教科合わせて250点満点で柳瀬さんか菜緒の合計点が上だったほうの勝ちだ」

「わかってるよ」

「ふっ、だったら問題ないな。それでは行くぞ!いざ勝負!!」

匠の大げさにでかい声と同時に俺は里枝ちゃんから受け取った封筒から結果の用紙をとりだした


俺は里枝ちゃんの模試の結果に目を通した。

国語42点、数学24点、英語28点、社会38点、理科34点。合計166点。そして平均は33.2点か。

数学と英語は予想通り少し悪いがその分国語でカバーをしている。

1回目の模試と関わらずここまで点数が取れてるなら十分だ。というか十分すぎる。

俺の中1の頃の模試なんて本当に散々だったからな。


「里枝ちゃん凄いよ。まさかここまで出来ているなんて」

「えへへ、先生のおかげですよ♪」

「おっと、そっちはそんなにできているのか。だったら勝負が楽しみだな」

そうだったこれは勝負だ。あまりにも里枝ちゃんの模試ができていたのが嬉しく忘れるところだった。


「自分の生徒の模試の結果を見たことだし発表タイムといくとするか。それでは綾人。柳瀬さんと菜緒の結果を交換するとするか」

「ああ…」

そう言うと俺は里枝ちゃんの模試の結果を匠に渡して俺は匠から菜緒ちゃんの模試の結果を受け取った。

ドキドキしながらも俺と里枝ちゃんは柳瀬さんの模試結果を見ることにした。



「なッ!?」

「ああ!!」

俺はおもわずその結果を見て声をあげてしまった。それはどうやら里枝ちゃんも同じようだ。

国語30点、数学46点、英語43点、社会37点、理科45点。合計201点。平均40.2点…。

圧倒的な数字だ。まさかどの教科も30点をきってないなんて。

しかもそれだけではない。まさか合計点数が200点を超しているなんて…


「おーほほっほ!どうですの柳瀬さん!私の点数を見て度肝を抜かれたようですわね」

「ううっ…」

なんとか俺も言い返したいがどうもこの西園寺さんの点数を見る限り何も言い返す事ができない。


「ごめん里枝ちゃん俺の力不足だ」

「謝らないでください先生!先生のせいじゃないですよこれは私のせいです!」

「くぅぅ…なんだか私が悪者みたいじゃありませんか」

俺達の落ち込みようを見て西園寺さんも少し言うのを控えたようだった。


「まぁそう落ち込むなって。まだ模試1回目だし」

匠も俺達の落ち込みように気付いたのか励ましてくれているようだ。でも、これってもしかし情けじゃ…。


「それに見ろよ空。柳瀬さんの国語の点数は菜緒の国語の点数よりかなり上じゃないか。それに社会だって菜緒に少しだが勝ってるぞ」

「た、確かに」

俺は合計点と平均点だけにほとんど目がいっていたが里枝ちゃんと西園寺さんのそれぞれの教科の点数を比べてみると確かに国語と社会は西園寺さんに勝っている。


「本当だ。里枝ちゃん凄いよ!俺達勝ったんだ!」

「はい、先生!」

俺は嬉しくて里枝ちゃんの手をとっていつの間にかぶんぶんと手を振りまわしていた。


「ちょっと貴方達!合計点では私の方が上で実質私の勝ちですのよ!!」

「まぁまぁいいじゃないか菜緒」

「先生がよけいなことを言うからめんどくさくなってしまったじゃないですか」

「確かに柳瀬さんは国語と社会以外圧倒的に菜緒に負けているが国語に至っては菜緒を圧倒的に引き離してる。それに社会も僅差だが勝ってるしな。そこの点だけは認めないとな」

「そうですけど…」

「それにこの国語の点数普通ではとれないだろう。ふっ、これがあいつの力というのかな」

「…でもあそこまで褒められてる柳瀬さんは…少し羨ましいですわね…」

「なんだ菜緒。俺に褒められたいのか?」

「そんな訳ありませんわ!!ただ私は…」


西園寺さんと匠がなにやら騒いでいる。俺は里枝ちゃんと喜び続けていたのですっかり忘れていた。

「そうだったな勝負では俺達が負けてるんだよな」

「あ、そうでしたね」

「はは、今さらそう実感されてもこっちがどうしたらいいか困るだけだ勝負のことは気にするなよ綾人。そうだよな菜緒?」

「なんだか、釈然としませんが先生が言うなら仕方ないですわ」

「匠、西園寺さん…」

「それに今回の事で俺が心配していたお前の家庭教師としての力がわかったしな。これなら小野寺も安心するだろう」

そう言えば匠の奴俺の指導力の事とか色々言ってたな。


「柳瀬さん。まだまだ未熟な家庭教師な綾人だがこれからもこいつのこと見捨てないでやってくれよ」

「当たり前ですよ!私の家庭教師は先生しかいません!」

まさか匠のやつがこんなに言ってくれるとは…。だけど家庭教師歴としてはあいつの方が短いよな?


「さてと、菜緒そろそろ帰るぞ。まだ時間もあるし帰って答え合わせといくか」

「わかりました。柳瀬さん次のテストでは私が完璧に勝ってあげますから覚悟しておくことですわね」

「私だって次は負けないよ!」


匠と西園寺さんは部屋から出て帰って行った。

そしてやっとのことで模試勝負は無事に終わった。



「先生のお友達さんっていいところありますね」

「俺もあいつが今回のこと評価してくれるとは思ってもなかったよ」

「でもやっぱりかっこよさでは先生の方がずっと素敵ですけどね♪」

「あはは、冗談でも嬉しいよ」

「私は冗談なんか言ってませんよー」

「さてと、模試も終わった事だし今日はこれぐらいで終わるとしようか」

「先生私たちは答え合わせしなくていいんですか?」

「大変なイベント終わった後に勉強やるのも疲れるでしょ?それに今日は家庭教師の日でもないし今日ぐらいはゆっくりしようよ。これが俺達のやり方だし」

匠と西園寺さんとまた差がついてしまうかもしれないがこれが俺のやり方だ。休む時には休んで勉強する時にはする、これでいいんだ。


「そうですね。だったら一緒に買い物行きましょうよ先生」

「お、いいね。じゃあ行こうか。模試がんばったことだし俺が食事を奢ってあげるよ」

「本当ですか!?やったー!先生大好きです!」

里枝ちゃんは嬉しくてぴょんぴょんとジャンプをしている。ここまで喜んでもらえるとこっちも嬉しくなるな。

でも、財布はちゃんと確認しておかないとな。


「それじゃあ準備しますからまっててくださいね」

俺は外で里枝ちゃんを待つことにした。


今回無事に模試を終える事ができてよかった。今日評価してくれた匠にも勉強を手伝ってくれたカナにも感謝だな。それに一緒に競い合ってくれた西園寺さんにも。

それと心配してくれて何回もメールや電話をしてくれた先生にも無事終わった事を伝えないとな。


まぁなんにせよ本当に模試を終える事ができてよかった。

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