72.万事休す
「黙れ!」
威勢を上げ縡を重力操作で遠くに落とす。
「は?―――――――」
何かに驚愕しながらはるか彼方に落下していきそれと同時に何かが切れる音がした。
プツン
「なるほど、最初の打撃の時に礼二につけたんだわ」
二人を抱えて陸地まで低速で落下していく。
「村上さん、私たちは誰もあなたを足枷なんて思っちゃいないわ。むしろ感謝してる、だからそんな顔しないで?」
声にもならない悔しさを肺に溜め今にも落ちそうな涙はカスミの重力操作によりゆっくりと上がっていった。
「あぁ、問題ない分かっている」
震えた声で強がるが根はただの女の子、声色で責任感を感じていることが容易に分かった。
「…」
「みんなここで待ってて、津波はあの渓谷に海水が全部流れて行ってるから来ないと思う」
宮城県の女川町に三人を置き縡との一騎打ちに向かおうとするも足を誰かに捕まれる。
「俺も行くぞ」
「は?」
腹を抑え、片目もうつろい、右腕も乾燥昆布のように細く変色している青年が死にに行くと言ってるように聞こえた。
「右腕も完全には治っていないんでしょ?」
「だが動く」
「腹は?」
「内臓には刺さっていない」
「右目は!?」
「左目がある」
「能力は!!!?」
「なんとかする」
なぜ戦いに行きたいのか、青年には戦う理由がない。
そしてこうまでして死にに行きたいのか、カスミには理解できなかったが青年には戦う意味も死にに行く理由も十分すぎるほどにあった。
「俺はこのままじゃただの悪いヤツだ」
「あんたはただ操られて」
「お前からしたらな、でもその他の人間からしたら違うだろ?」
隊長をにらみつける輪。
咄嗟に短刀に手を置く隊長。
「だから、この戦いゲホゲホ」
吐血する青年の背中をさすろうとするも手をはたかれてしまう。
「はぁ、はぁ、この戦いで俺が命張らなきゃこの汚名は返せない」
ゆっくりと立ち上がりカスミを見下ろす。
「それに、家族に合わせる顔がなくなっちゃうからね」
優しくカスミに微笑む青年の表情がきっと今まで家族と平穏に暮らしていたんだろうとゆうことが分かってしまい心臓が縮むのと同時にはらわたが煮えくり返りそうなほどドスの効いた感情が押し寄せてくる。
「この匂い懐かしいわね」
「へ?」
「は?」
「ん?」
突然右腕からブラが生えて来た。
「なんだ俺の腕ぇぇぇえ」
「あんた今まで意識ないって」
「っよ」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」←カスミに吹っ飛ばされてから地球を一周した縡がカスミ達の上空を通る図
「てことがあったのよ」
今までは深く眠っていた状態だったのだが突然いい匂いがして起きたという。
(寝てる子猫の前にチュールを持ってくると起きるてきな?)
「お願いブラ、礼二と輪の傷を治してあげて」
「え?あんたできないの?」
「ゲホゲホ、いきなり力が出なくなってな、恐らく頭上に乗っかってた光輪が壊されたからだと思うんだけど」
とても驚いた顔で上を見上げた後カスミの顔を見てはっきりという。
「無理」
「っなんっでよ!」
「だってこいつにできないことを私にやれって言うんでしょ?無理だわ」
手を横に振りながらずっとムリムリという小動物に少し殺意が湧くも冷静になり他の案を出す。
「なら私に入って私が直す」
「それも無理」
「だから何でよ!!!!!」
無能な小動物を本当に殺しそうになるもその前にブラが訳を話す。
「あのね、今この子の体ほぼ仮死状態なの」
「「は?」」
顔を見つめあったあとブラの方を一斉にみて先ほどの声より数段上の声を出す。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ????」ゲホゲホ」
吐血する輪。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」←カスミに吹っ飛ばされてから三週目の突入する縡がカスミ達の上空を通る図




