46.ラグニア
隊長が目を開けると薄暗い廊下に立っていた。
「行くぞ」
ここから出口へと一直線に走る隊長だが、角を曲がった先で何者かと接敵する。
「ふっ」「わぁー」
ぶつかりそうになったが後ろに下がり刀を抜いて臨戦態勢に入る。
「貴公にききたい、出口はどこだ?」
((君面白いね動きが早いしその光輪天使かな?))
「出口はどこだ?」
((僕はマイザリー、あ!ここでは私語厳禁ね))
「対話は無駄か、これもカスミの言った通りだな」
隊長がマイザリーに切りかかろうと距離を詰めるが咄嗟に部屋へと入って身をかわす。
((やっぱ早いね!))
隊長も部屋に入りそれらを見てしまう。
「薫と明、なのか?」
「お”お”お”」「あ”っ”」
((言ったでしょ?私語厳禁って君たちは))
ラグニアが何かを伝え終わる前に隊長は薫と明につながれていた管を断ち切り部屋の外に置いていた。
「ナノ、彼らを頼む」「任せて、ワームホール展開」
((今何をしたんだ?見えなかった))
「おい!さっきから全部聞こえてるんだよ」
((これは失礼、ただあなた天使がいないと力使えないでしょう大丈夫なのですか?))
「当たり前だ、だが今は冷静になれなくてな少し手荒になる」
((負けた言い訳を考えておいた方がいいですよ))
「どうだか、ー円天・断ちー」
隊長が刀を両手でしっかりと握り頭のてっぺんから足下目掛け刀を下ろす。
((変身ーテイクマターー」
ラグニアが右腕を変形させ隊長を飲み込もうとする。
勝負は一瞬とてもあっけなく瞬きをするまに―――――――――――――――
「あ?」
ラグニアの右半身が断ち切られていた。
「貴公はやってはいけないことを三つした」
「あ?」
「一つは命を弄んだこと、一つは私を怒らせたこと」
最後の一つを納刀しながら言う。
「私に頭をたれ投降しなかったこと」
「てめぇ勝ち誇った気でいるんじゃねぇぞぉ!」
ラグニアの前身が変形し隊長に襲い掛かるも指先寸前で体がバラバラになる。
「あへ?」
隊長は確かに一振りしただけだった、だがラグニアの体は粉微塵に切り刻まれていた。
「先を急ごう」
「私が死ぬのか?」
ラグニアは心臓にノラ細胞が適合した。
元から心臓は動いていないがテイクマターであらゆる生命の生をとり細胞を動かしていた。
つまり元は不老だけの力だったがラグニアの努力で不死も身に着けた成長し続ける不老不死により体の治癒が可能になった。
((痛い、体中が痛い早く楽になりたい))
必死に体をくっつけようと動くも生が尽きて不老、体が止まった状態になってしまった。
その止まった状態は死の30秒前。
((息ができない苦しい、うまく吸えない苦しいでも生きている))
人間の体は死の間際、心肺停止か酸素不足という困難に対抗するべく脳内から大量の神経伝達物質が分泌される。
それは死への恐怖と痛みを和らげ安らかに眠るための最後の自己防衛機能。
ラグニアは大量のドーパミンを分泌し続けていた。
((苦しいけど気持ちいい息できない何も考えられない快楽が、きもちいい))
「最後までうるさい奴だったな」
ラグニアと接敵してから約50秒の出来事であった。




