第78話 死闘の果てに
黒震狼の喉から漏れる唸り声が、湿った草地を低く震わせていた。
太陽はすでに西へ傾き始め、長く伸びた木々の影が地面へ斜めに落ちている。雨上がりの土には無数の爪痕が刻まれ、踏み荒らされた草の間には、魔物の血が黒ずんだ染みとなって広がっていた。
北側の土手まで、およそ8メートル。
その手前には雨水によって削られた浅い溝があり、露出した石の周囲では柔らかな土が崩れ始めている。
ユウキは剣を構えたまま、黒震狼の四肢へ視線を向けていた。
左前脚は肩の付け根から深く傷つき、体重をかけるたびに筋肉が震えている。右後脚に至っては、もはや地面へ触れる程度にしか使えておらず、巨体を支えているのは実質的に右前脚と左後脚だった。
それでも、黒震狼は倒れなかった。
黄色い瞳はユウキたちを順番に捉え、誰かが少しでも動けば、その方向へ頭を向ける。
血を失い、呼吸を荒げながらも、警戒を解く気配はない。
「……ドランさん、どうですか?」
ユウキは相手から視線を外さずに尋ねた。
後方では、ドランが土手の状態を確かめていた。地面へ片膝をつき、技工鎚の柄で土を軽く叩きながら、表面の硬さを調べている。
「思ったより緩んでおる。上の層は雨で水を吸っているが、その下には硬い土があるらしい」
ドランは小声で答えた。
「ただし、土手全体が崩れるわけではない。崩せるとしても、手前の斜面だけだ」
「それで十分です」
ユウキは頷いた。
黒震狼を土手へ突っ込ませることができれば、傷ついた脚では姿勢を立て直すのが難しくなる。
その隙に攻撃を集中させる。
だが、問題はどうやって誘導するかだった。
黒震狼はすでに何度も地形を利用した攻撃を受けている。
同じ方法を繰り返しても、簡単には引っかからないだろう。
「バルドさん、少しだけ前に出てもらえますか?」
ユウキが尋ねる。
「わかった。ただし、突進を正面から受けることはできんぞ」
「はい。僕が右側から注意を引きます。トーマは左側に回って、逃げ道を狭めてほしい」
「了解!」
トーマは双短剣を握り直した。
その呼吸は少し荒くなっていたが、足取りにはまだ軽さが残っている。
ドランは土手の近くへ移動し、腰の道具袋から短い金属製の杭と小型の槌を取り出した。
「わしは溝の端を少し崩しやすくしておく。だが、無理に誘導しようとするな。あいつが別の方向へ逃げるなら、追いかける必要はない」
ユウキは頷いた。
討伐することだけが目的ではない。
4人全員が生き残ること。
それが最優先だった。
◇◆◇
バルドがゆっくりと前へ出た。
黒震狼との距離は、およそ6メートル。
盾を胸の高さへ構え、右手には片手斧を握っている。
黒震狼はその動きを見て、わずかに頭を下げた。
傷ついた左前脚を庇うように身体を傾け、右前脚へ体重を移す。
その姿勢からでも、突然加速する可能性がある。
バルドは相手の肩の動きを見つめ、いつでも横へ退けるよう足を開いた。
「……来るなら来い」
低く呟いた声に反応したのか、黒震狼の耳が動いた。
しかし、魔物はすぐには飛びかからない。
代わりに、ゆっくりと左へ歩き始めた。
バルドの正面を避け、側面へ回ろうとしている。
ユウキはその動きへ合わせ、右側へ踏み込んだ。
剣先を低く構え、黒震狼の進路を塞ぐ。
魔物が頭を向ける。
ユウキは攻撃を仕掛けず、距離を保ちながら少しずつ後退した。
その先には、土手へ続く浅い溝がある。
黒震狼はユウキを追うように一歩踏み出した。
しかし、すぐに止まった。
黄色い瞳が足元へ向けられる。
土手の手前にある溝へ気づいたのだ。
ユウキは小さく息を呑んだ。
やはり、この魔物は地形を見ている。
単純に誘導することはできない。
そのとき、トーマが左側から動いた。
彼は黒震狼の視線がユウキへ向いている隙に、傷ついた右後脚の方向へ回り込んでいた。
双短剣を構え、相手との距離を約3メートルまで詰める。
黒震狼が耳を動かした。
その瞬間、トーマは一歩踏み込む。
しかし、剣は振らなかった。
攻撃すると見せかけ、すぐに後退したのだ。
黒震狼は反射的に身体を向け直そうとした。
右後脚へ体重がかかる。
深い傷が開き、巨体がわずかに傾いた。
その隙を見て、ユウキが動く。
右足を踏み込み、軽量片手剣を横へ振り抜いた。
狙いは左前脚。
しかし、黒震狼は頭を下げ、牙で剣を弾こうとした。
ユウキは無理に刃を押し込まなかった。
剣の軌道を途中で変え、相手の鼻先をかすめるように振り抜いて距離を取る。
黒震狼が低く唸った。
その視線がユウキへ戻る。
だが、次の瞬間、バルドが前へ出た。
「……今だ!」
盾を構えたまま、黒震狼の右側へ踏み込む。
狙いは攻撃ではない。
相手が進める方向を狭めることだった。
黒震狼はバルドの盾を見て、後退しようとした。
しかし、その背後には土手へ続く溝がある。
前へ出れば、バルドとユウキ。
左側にはトーマ。
右側には、傷ついた脚では動きにくい斜面。
黒震狼は一瞬、動きを止めた。
その瞳が、3人の位置を確認する。
そして、低く唸った。
次の瞬間、四肢へ赤い光が走った。
「……来る!」
ユウキが叫ぶ。
◇◆◇
黒震狼が地面を蹴った。
傷ついた右後脚はほとんど動かなかったが、左後脚と右前脚が強く地面を押し出し、巨体が前方へ加速した。
狙いはユウキだった。
一直線に迫ってくる黒褐色の身体。
その速度は以前より落ちているものの、真正面から受ければ致命傷になりかねない。
ユウキは剣を構え直し、魔物の肩の動きを見つめた。
右肩が沈む。
頭部が低くなる。
次に来るのは、牙による噛みつき。
ユウキは左足を軸に身体を右へ開いた。
黒震狼の顎が、肩の横を通過する。
しかし、その瞬間、魔物は頭を横へ振った。
牙の先端がユウキの左腕へ迫る。
「……っ!」
ユウキは咄嗟に剣を引き寄せ、刃の根元で牙を受けた。
金属と硬い牙がぶつかり、鋭い音が響く。
衝撃によって手首が痺れた。
だが、剣は折れなかった。
ユウキは身体を後方へ逃がしながら、刃を斜めに滑らせて攻撃を受け流す。
牙が革鎧の表面をかすめ、浅い裂け目を残した。
ユウキは数歩後退した。
黒震狼はそのまま前へ進もうとしたが、傷ついた脚が踏ん張れず、巨体がわずかに傾いた。
その進路には、土手の手前にある浅い溝があった。
「……今です!」
ユウキが叫ぶ。
ドランはすでに動いていた。
溝の端へ打ち込んでいた金属杭を、技工鎚で強く叩く。
杭は斜めに土へ食い込み、雨で緩んだ土の一部を押し広げた。
続いて、ドランはもう一度槌を振り下ろした。
土が崩れ、溝の縁がわずかに広がる。
その瞬間、黒震狼の左前脚が崩れた土へ踏み込んだ。
足元が沈む。
巨体が前方へ傾いた。
黒震狼はすぐに右前脚で地面を掴もうとしたが、その先は土手の斜面だった。
爪が土を抉り、身体が横へ滑る。
ユウキはその動きを見て、剣を握り直した。
今なら、攻撃を当てられる。
しかし、黒震狼は完全に無防備になったわけではなかった。
魔物は倒れ込みながら頭を振り、牙をユウキへ向けた。
ユウキは反射的に足を止めた。
もしこのまま踏み込めば、倒れた魔物に噛みつかれる。
その判断が、命を救った。
黒震狼の牙が、ユウキの目の前を通過する。
ユウキは一歩後退し、距離を保った。
その隙に、トーマが反対側から動いた。
双短剣を低く構え、黒震狼の右後脚へ回り込む。
しかし、今度は攻撃しなかった。
魔物の尾が大きく動いたからだ。
トーマは即座に後方へ跳び、尾の軌道から外れた。
黒震狼は傷ついた身体を無理に捻り、土手の斜面から抜け出そうとしていた。
ユウキはその動きを見ながら、胸の奥が冷たくなるのを感じた。
ここまで追い詰めても、まだ反撃できる。
この魔物は、最後まで危険なのだ。
◇◆◇
「……無理に近づくな!」
バルドが叫んだ。
黒震狼は土手の斜面へ身体を押しつけながら、ゆっくりと起き上がろうとしていた。
左前脚の傷が開き、血が土へ落ちていく。
右後脚は完全に引きずる状態となり、身体を支えることすら難しそうだった。
それでも、右前脚と左後脚へ力を込め、巨体を持ち上げようとする。
ユウキは剣を構えながら、相手の呼吸を観察した。
胸の傷が上下するたびに、血の混じった息が漏れる。
黄色い瞳は焦点を失いかけているように見えた。
だが、完全には倒れない。
黒震狼はゆっくりと顔を持ち上げ、4人を睨みつけた。
そして、喉の奥から低い唸り声を漏らした。
その瞬間、右前脚へ灰色の光が集まり始めた。
ユウキの表情が変わる。
「……まだ、あの衝撃を使うつもりだ!」
ドランが叫んだ。
「全員、地面から離れろ!」
黒震狼は前脚を振り上げた。
しかし、動作は遅かった。
傷ついた身体では、十分に力を込められない。
それでも、灰色の光は確かに爪の周囲へ集まっている。
黒震狼が前脚を地面へ叩きつけた。
ドンッ!
衝撃が土手を伝わった。
だが、今までとは様子が違った。
もともと崩れかけていた斜面へ振動が加わったことで、土手の表面が大きく崩れ始めたのだ。
湿った土が滑り落ち、露出した石が転がる。
黒震狼はその変化に気づき、身体を起こそうとした。
しかし、右後脚が動かない。
左前脚も深く傷ついている。
巨体は崩れた土へ押されるように横へ傾き、土手の下へ滑り落ちた。
低い轟音が響く。
黒震狼の身体が地面へ叩きつけられ、周囲に土煙が舞い上がった。
ユウキは咄嗟に腕で顔を覆った。
目の前が一瞬、茶色い土煙に包まれる。
呼吸を止め、足元を確かめながら後退した。
土煙が少しずつ薄れていく。
その向こうに、黒震狼の巨体が見えた。
魔物は地面へ横倒しになっていた。
右後脚は不自然な角度に曲がり、左前脚も身体の下へ挟まれている。
胸元からは血が流れ続けていた。
ユウキは息を呑んだ。
「……倒れた」
トーマが小さく呟く。
だが、バルドは盾を構えたまま動かなかった。
「まだ近づくな。完全に動かなくなるまでは油断できん」
ユウキは頷いた。
黒震狼の胸は、まだわずかに上下していた。
生きている。
瀕死に近い状態だが、まだ命は失われていない。
そして、黄色い瞳がゆっくりと動いた。
ユウキたちを見つめている。
その視線には、先ほどまでの激しい敵意とは違うものが混じっているように感じられた。
苦痛。
疲労。
そして、何かを恐れるような色。
ユウキは思わず眉を寄せた。
この魔物は、何を恐れているのだろう。
Cランク冒険者たちとの戦闘。
深い傷。
そして、森からここまで逃げてきた理由。
そのすべてが、単なる偶然ではないように思えた。
◇◆◇
黒震狼の呼吸が、さらに浅くなった。
右前脚がわずかに動く。
しかし、身体を起こす力は残っていないようだった。
ユウキは剣を握り直した。
魔物はまだ生きている。
このまま放置すれば、再び誰かを襲う可能性がある。
かといって、近づけば最後の反撃を受けるかもしれない。
ユウキは仲間たちへ視線を向けた。
バルドは盾を構え、黒震狼の頭部を警戒している。
トーマは右側へ回り込み、逃げ道を塞ぐ位置へ立っていた。
ドランは土手の状態を確認しながら、万が一再び崩れた場合に備えている。
誰も無傷ではなかった。
疲労が蓄積し、武器を握る手にはわずかな震えがある。
それでも、4人は互いの役割を果たしていた。
「……僕が、終わらせます」
ユウキが静かに言った。
バルドが顔を向ける。
「……大丈夫か?」
「はい」
ユウキは頷いた。
「でも、もし動いたらすぐに知らせてください」
バルドは少し考えたあと、頷いた。
「わかった。無理に近づきすぎるな」
ユウキは剣を構え、慎重に黒震狼へ近づいた。
距離は、およそ5メートル。
黒震狼は横倒しになったまま、ゆっくりと頭を動かしている。
ユウキは足元の土を踏みしめながら、少しずつ距離を詰めた。
4メートル。
3メートル。
そのとき、黒震狼の右前脚が動いた。
ユウキは即座に足を止めた。
魔物は前脚を持ち上げようとしたが、途中で力が抜け、地面へ落ちた。
再び、荒い呼吸だけが聞こえる。
ユウキは剣を構え直した。
胸の奥が苦しくなる。
目の前の魔物は、自分たちを殺そうとした。
それでも、今こうして苦しんでいる姿を見ると、何も感じないわけではなかった。
生きようとしている。
自分たちと同じように。
だが、だからといって見逃すことはできない。
この魔物が再び人を襲えば、誰かが命を落とすかもしれない。
ユウキはゆっくりと息を吸った。
黒震狼の黄色い瞳が、こちらを捉える。
その瞬間、魔物の喉から小さな唸り声が漏れた。
ユウキは剣を握り直した。
「……ごめん」
声は、自分でも驚くほど小さかった。
次の瞬間、ユウキは踏み込んだ。
軽量片手剣を両手で握り、身体の重心を前へ移す。
狙いは、黒震狼の首元。
刃が振り下ろされ、すでに傷ついていた部分へ深く食い込んだ。
黒震狼の身体が大きく震えた。
しかし、抵抗する力はほとんど残っていなかった。
ユウキは剣を引き抜き、すぐに後退した。
魔物の四肢がわずかに動く。
そのあと、ゆっくりと力が抜けていった。
荒かった呼吸が、少しずつ静かになる。
やがて、胸の動きが止まった。
黒震狼は、もう動かなかった。
ユウキはその場に立ち尽くしていた。
剣先から血が滴り、草地へ赤い点を落としていく。
呼吸は荒く、心臓が激しく打っている。
勝った。
そう理解するまで、しばらく時間が必要だった。
「……終わった、のかな」
トーマが震える声で呟く。
バルドは盾を構えたまま、黒震狼の様子を確認した。
「……ああ。今度こそ、終わったようだ」
ドランもゆっくりと近づいてきた。
「……よくやった」
その言葉を聞いた瞬間、ユウキの全身から力が抜けた。
膝が震え、思わず地面へ片手をつく。
トーマが慌てて駆け寄った。
「ユウキ、大丈夫!?」
「……うん。大丈夫」
ユウキは笑おうとした。
だが、うまく笑えなかった。
胸の奥には、安堵と疲労が入り混じっていた。
バルドは盾を背負い直し、静かに息を吐いた。
「……生き残ったな」
ドランも頷いた。
「ああ。4人ともな」
ユウキは仲間たちを見渡した。
トーマ。
バルド。
ドラン。
全員が、ここにいる。
それだけで、胸の奥が熱くなった。
「……ありがとう」
ユウキが呟くと、トーマは少し驚いたように目を丸くした。
「何言ってるの。僕たち、仲間でしょ?」
その言葉に、ユウキはようやく笑った。
「……うん」
黒震狼との戦いは、終わった。
かつて逃げることしかできなかった相手を、今度は4人で倒したのだ。
ただし、決して簡単な勝利ではなかった。
黒震狼はCランク冒険者たちとの戦闘で瀕死に近い状態まで追い詰められていた。
それでも、ユウキたちは何度も命の危険に晒された。
もし相手が万全の状態だったなら、今の自分たちでは到底勝てなかっただろう。
ユウキはそのことを、誰よりも理解していた。
それでも、この勝利には意味がある。
仲間を守り、生き残り、強大な敵へ立ち向かった。
その経験は、確かに4人の中へ刻まれていた。
◇◆◇
しばらく休息したあと、4人は黒震狼の死骸を確認した。
巨大な身体は、地面へ横たわったまま動かない。
近くで見ると、その大きさは改めて恐ろしいものだった。
ユウキは慎重に近づき、剣を鞘へ収めた。
そのとき、視界の端に淡い文字が浮かび上がった。
【経験値を獲得しました】
【レベルアップしました】
ユウキは息を呑んだ。
身体の奥から、わずかな熱が広がっていく。
激しい戦闘によって疲弊していた筋肉へ、別の力が流れ込むような感覚だった。
しかし、傷や疲労が消えるわけではない。
脇腹の痛みも残っている。
ユウキは静かに息を吐いた。
黒震狼との戦闘。
それは、今まで経験したどの戦いよりも厳しいものだった。
そして、その経験が自分を成長させたのだろう。
ユウキは仲間たちへ視線を向けた。
トーマも驚いたように手を見つめている。
バルドとドランも、何かを感じ取ったように顔を上げていた。
「……みんなも?」
ユウキが尋ねる。
トーマは頷いた。
「……うん。レベルが上がったみたい」
バルドも静かに頷いた。
「わしもだ」
ドランは少し驚いた表情を浮かべていた。
「……これほどの経験を得るとはな」
ユウキは黒震狼を見つめた。
倒した相手の強さを考えれば、不思議ではないのかもしれない。
それでも、胸の奥に残る感情は単純な喜びだけではなかった。
強くなった。
確かに、以前より一歩前へ進めた。
だが、まだ足りない。
リナを救うためには、もっと強くならなければならない。
そして、その道のりには、今の自分たちでは想像もできないほど強い存在がいるのだろう。
ユウキは静かに拳を握った。
そのときだった。
森の奥から、低い音が聞こえた。
最初は、遠くで木が倒れたのかと思った。
しかし、音は1度では終わらなかった。
重い。
規則正しい。
まるで、巨大な何かが地面を踏みしめているような音だった。
ユウキは顔を上げた。
トーマも同じ方向を見ている。
「……何?」
バルドはすぐに盾へ手を伸ばした。
ドランも技工鎚を握り直す。
森の奥から、さらに重い足音が響いた。
それは、黒震狼が歩く音よりも遥かに大きかった。
ユウキの背筋へ、冷たいものが走った。
黒震狼は、何を恐れていたのか。
なぜ、深い森から離れようとしていたのか。
その答えが、今まさに近づいているのかもしれない。
木々の間で、何かが動いた。
枝が折れ、葉が揺れる。
そして、暗い森の奥から、巨大な影がゆっくりと姿を現し始めた。
――第78話 完。




