別会社の朝
夜明け前、渋谷のビルへ規制線が張られた。二十日勤務後に退職し、翌日から別会社へ入った社員が五日目に消える。会社を越えて日数が引き継がれた。 真壁は到着直後に階段とエレベーターを封鎖し、入館者名簿を確保する。班員は必ず二人一組で動いた。
即日入社した別会社は、元の会社と名称も建物も違う。それでも同じ顧客資料を扱った五日目に境目へ達した。
転職による回避は、社員本人が過去の日数を正確に知らなければさらに危険になる。白石は前職分も含む申告表を作った。
警察は新しい会社なら安全とは言えない。同じ仕事を引き継ぐ限り、法人間の壁は累積を止めなかった。
会議室の壁には、消えた人の写真ではなく確認済みの条件だけが貼られた。家族へ返せる答えがないことを、真壁は毎晩思い知らされる。
真壁は明日の対象階を予告できなかった。できるのは危険な勤務を止めるよう伝え、発生後の記録を失わないことだけだった。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
(本文実測:687字)




