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Aster Crown 〜100勝するのが面倒で100人乱戦に出たら優勝して、最強の仲間ができました〜  作者: 辛子高菜


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第七話 黒金草




黒金草の採取依頼を受け、ロックは森の奥に入っていた。



黒金草くろがねそうは葉が黒緑色で、光が当たると金色の筋が浮かぶ、湿った土と薄暗い木陰を好む薬草で、魔力回復薬の材料にもなる高級素材である。



黒金草は採取難度の高い薬草だったが、山で薬草を見慣れていたロックにとっては採取は難しくなかった。


開始1時間で運良く群生地を見つけ、必要数はすでに採れている。


あとは戻るだけ…のはずだった。



「この端末便利だよなぁ、こんな小さなものの中にたくさん情報が入ってる。マップを見たら自分の位置もわかるし、薬草図鑑が見れるのもすごい、俺が知らないやつもたくさん載ってるし…流石に細かい生息地は書かれてないけどさ」


端末を操作して薬草図鑑を眺めていた時、地面がずしんと揺れた。


「…え?」



 枝が折れる音


 重い足音


 ひとつではない


 ふたつ


 みっつ


 現れたのは、赤黒く3mはあろうかという巨体


 通常の目に加え、額の中央にも目を持つ異形


 レッドサイクロプス


 手には丸太を持っている



「…まずい」


ロックは息を呑んだ。


それは本来この辺に出る魔物じゃなかった。


1体なら地形を使って逃げられるかもしれないが、3体は無理だ。


しかも逃げ道を塞ぐように囲まれている。


すぐに剣を抜くが、


「3体は相手できない。逃げなきゃ」


そう呟いた瞬間ーー



ーー風が走った。同時に紫の残像。


1体の首筋に斬撃が走る。


首がずり落ちるのとほぼ同時に巨体が倒れ込む。



「わっ!」


次の瞬間、巨漢が拳で2体目を吹き飛ばす。


ほぼ同時に、魔導弾が3体目の膝を撃ち抜いた。


「伏せろ!」


金髪の少年の声、ロックが反射で身を沈める。


伏せた瞬間、黒髪ポニーテールの女が踏み込み3体目の急所を槍で貫く。


そして緑髪の青年が、吹き飛ばされたサイクロプスに静かにトドメを刺した。



ほんの数秒だった。

静かになって体を起こした時には3体とも地面に倒れていて、ロックは呆然とする。



「……すご…」



見上げると紫髪の女がいて、不機嫌そうにこちらを見ている。



「なんでここにいるの」


「え?」


ロックが答えられずにいると、女は続ける。


「最近レッドサイクロプスが現れるようになってこの一帯は立ち入り禁止になってる。知らなかった?」


ロックは目を丸くした。


「俺は依頼で来てて…特にそういう説明は……」


赤髪の大男が近づいてくる。


「依頼書、見せてくれるか」


「はい」


ロックが端末を渡す。


大男は目を通し、眉を上げた。


「……記載ないネ」


黒髪の女が横から覗き込む。


「しかも依頼料、安いわよ」


「え?」


「今の黒金草の相場と、この危険度なら5倍でもおかしくない」


金髪の少年が舌打ちする。


「たまにいる黒依頼者か、分かってて黙ってやがる」


黒髪の女が即座に言う。


「協会に報告しましょう。告知義務違反で処分ものよ」


「あぁ、分からせてやらぁ」




ーーだが、


「や、やめてください」


一同が止まる。


「……は?」


金髪の少年が眉を寄せる。


ロックは困ったように笑った。


「その、採取は終わってるし…レッドサイクロプスのことも立ち入り禁止になってるのも、その人は知らなかっただけかもしれないしさ」



沈黙、


少年が呆れたように言う。


「危ない目にあったのに、お人好しかよ」


赤髪の男が吹き出す。


「変な子ネ」


黒髪の女も笑う。


「普通、自分が危なかったら怒るところでしょ」


みんな笑うが、紫髪の女は黙ってロックを見ていた。じっとした視線に耐えられなくなり、顔を逸らし首をかく。


「…報告はする」


「えっ」


「他の誰かが同じような目に遭ったら危ないでしょう」


ロックは言葉を失ったが、やがて頷く。


「…そうですね、分かりました」


金髪の少年が端末を渡してくる。


「おいルーキー、依頼の相場くらい勉強しろ。また騙されるぞ」


「はい…」


「あと、立ち入り禁止区域の確認もな、ランカー同士の助け合いで情報がほぼリアルタイムでxEdenのxMapに載ってる」


「はい…」


「素直ネ、いい子ヨ」


「騙されやすそうだがな」



「帰るわよ、協会まで一緒に来なさい」


そう言うと、紫髪の女は歩き出す。


「え、でも依頼の納品が…」


「それも含めて行くの」


少年が肩をすくめる。


「観念しろ、お人好しルーキー」


ロックは背負い袋を担ぎ直し、笑った。


「はい、えっと…よろしくお願いします!」


一行は、森の出口へ向かって歩き出す。


金髪の少年が、xMapの見方と市場相場が見られるアプリを教えてくれた。


ロッキーは小さく呟く。


「都会は怖いけど…いい人もいるんだなぁ」


その言葉に少年が呆れたように言う。


「その認識も危ねぇよ」




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