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Aster Crown 〜100勝するのが面倒で100人乱戦に出たら優勝して、最強の仲間ができました〜  作者: 辛子高菜


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第六十話 ギルドバトル②



Aster Crownが返事をしたその夜から、xNestはギルドバトルの話題で埋め尽くされた。


 Aster Crown vs Nachtmusik


 Official Twentyを賭けたギルドバトル


 バイオレットの指名


 話題のルーキーマントロッキーの参戦確定


どの単語も、数分おきに流れてくる。



『Nachtmusik本気で潰しに来てる』


『Aster Crown受けたの熱い』


『ロッキー出るの大丈夫なのか』


『バイオレット大将指名なのアツい』


『副将誰になる?』


『ポポ先鋒で圧かけてほしい』


『ロッキーがどこに置かれるかで全部変わる』



Nachtmusikから正式な日程が送られてきたのはその翌朝だった。


試合は10日後。

5試合制。

大将はNachtmusik側の指定通りバイオレット。


残る4枠をAster Crownは決めなければならなかった。




ーーーーーーーーーー




ラウンジのモニターに出場メンバーの名前が並べられる。


バイオレット

ポポ

ソロ

ビアンカ

ロッキー


Jr.は端末を操作しながら眉間に皺を寄せていた。


「まず大将はバイオレットで確定だろ」


「えぇ」


バイオレットは短く答える。

そこに迷いはない。

Nachtmusikが指名したのはバイオレット。

なら、その場所にはバイオレットが立つ。


「問題は残り4人ネ」


ポポが腕を組む。


「先鋒、次鋒、中堅、副将」


ターニャが静かに言った。


「ロッキーをどこに置くかね」


その一言でロッキーが少しだけ背筋を伸ばした。


「俺、どこでも頑張ります」


「その“どこでも頑張ります”が一番困るのよ」


ビアンカが苦笑する。


「向こうはあなたを指名してきてる。つまり、狙ってくる可能性が高い」


Jr.が端末をテーブルに置いた。


「先鋒はやめた方がいい」


「どうして?」


ロッキーが聞く。


「最初の一戦は流れが決まる。勝てば勢いづく。負ければ空気が沈む。観客も一番注目してる」


Jr.はロッキーを見る。


「強い弱いじゃなくてな、今のお前には余計なもんが乗りすぎる」


ロッキーは少し黙った。

悔しそうではなくちゃんと考えている顔だった。


「…そっか」


「次鋒も悪くはないが…先鋒の結果に左右されやすい」


ターニャが言う。


「先鋒が負けた後の次鋒は取り返さなきゃいけない。逆に先鋒が勝った後なら流れを切らしちゃいけない。どちらにしても難しいわ」


ビアンカも頷いた。


「中堅もきついわね。もし2連敗していたら、そこでロッキーが負けたら終わりになっちゃう。逆に一勝一敗でも、勝敗の軸になる」


「つまり」


ポポがにっと笑う。


「副将ネ」


ロッキーが目を瞬かせる。


「副将……4番目?」


「そう」


ビアンカが頷いた。


「大将の前、バイオレットに繋ぐ位置」


Jr.も頷く。


「先鋒ほど最初の圧はない。中堅ほど勝敗の真ん中に立たされるわけでもない。もちろん楽じゃねぇが、お前にはそこが一番いい」


ソロが静かに口を開いた。


「それに、ロッキーは流れを変える力がある」


「俺が?」


「ある」


ソロは淡々と言った。


「勝っても負けても空気を動かす。副将に置く意味はある」


ロッキーは少し困ったように笑う。


「それ…いいことなのかな」


「いいことヨ」


ポポが大きく頷いた。


「ロッキーが粘れば大将のバイオレットに繋がる。勝てば最高、負けても、気持ちは残せる」


「負ける前提で話すなよ」


Jr.が言う。


「勝つために置くんだろ」


「もちろんネ」


ポポは笑った。


「相手はnachtmusikだからな、2勝でロッキーに回せたら御の字だ」


「ロッキーの前で俺たちが3勝するかもしれないぞ」


ソロが笑う。

バイオレットは、ずっと静かに聞いていた。

そしてロッキーを見る。


「副将でいい?」


ロッキーは一瞬だけ息を止めた。

怖くないわけがない。

全世界配信。

Nachtmusikからの指名。

晒された動画。

“弱き者”という言葉。

全部、まだ胸の奥に残っている。

でもーー。


「…うん」


ロッキーは頷いた。


「俺、副将で出る」


足元でグレイが小さく鳴いた。


「わふ」


ロッキーはその頭を撫でる。


「大将のバイオレットに繋ぐ」


バイオレットの目が少しだけ揺れる。


「えぇ」


Jr.は端末に順番を打ち込んだ。


「じゃあ決めるぞ」


表示された名前を、全員が見つめる。


先鋒 ソロ

次鋒 ビアンカ

中堅 ポポ

副将 ロッキー

大将 バイオレット


ターニャが静かに息を吐いた。


「悪くないわ」


「むしろいいネ」


ポポが笑う。

ビアンカはロッキーの肩を軽く叩いた。


「副将、頼んだわよ」


「はい」


ソロも短く言う。


「繋げ」


「うん」


Jr.は腕を組んだ。


「10日だ。泣いても喚いても、本番は来るぞ」


ロッキーは小さく頷いた。


「うん、やる」


バイオレットが言う。


「ここからは全員で勝ちに行く」


その言葉に誰も反論しなかった。

Nachtmusikが仕掛けた戦いは、もう止まらない。

けれどAster Crownも、ただ受け身で立つつもりはなかった。

10日後、全世界が見ている場所で、踏まれた誇りを取り返す。

そのための順番は決まった。




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