第五話 お肉美味しいです
「優勝、おめでとうございます」
受付の女性が端末を差し出した。
「こちら、ブロンズランク認証済みになっております」
受け取った端末を見ると、
ロック・レオンハート 18
ランク:ブロンズ
ルーキーがブロンズに変更されている。
ロックの目が輝く。
「これで依頼が受けられるんですよね?」
「はい。ただ、その前にxNestアカウントを作成し、端末と連携していただく必要があります」
「ねすと」
初めて聞く言葉にロックは固まる。
「れんけい…」
受付はくすっと笑った。
「お手伝いしましょうか?」
「お願いします!」
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説明を受けながら、ロックは何度も首をかしげる。
「xNestというのは、誰でも利用できるSNSサービスで、写真や動画を投稿できる場所です」
「投稿?」
「自分のことをみんなに見せる、という感じですね」
「なるほど」
「協会経由の依頼は端末から受けられますが、それとは別にxNest経由で個人から直接依頼が来ることもあります」
「つまり?」
「ロックさんの活躍を見て、“ロックさんにお願いしたい”という依頼が来る可能性がある、ということです」
ロックは少し考えてから言った。
「誰でもじゃなくて、俺にしてほしい依頼…」
受付は嬉しそうにうなずく。
「その通りです」
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そうして受付のお姉さんに手伝ってもらいながら、なんとかアカウント作成は完了した。
「それから、優勝賞金10万xの方は口座の方へ振り込まれております。こちらの口座というボタンを押してください」
言われたとおりに操作すると、
残高 100,000x
と書かれていた。
ロックは目を丸くする。
「これ、お金なんですか?」
「はい、銀行で引き出せます」
「…おぉ」
まだ実感がない。
すると受付がもう1つ包みを差し出した。
「それとこちら、記念品です」
「…記念品?」
包みを開くと、暗い青色のマントがでてきた。
「ルーキーランクでメレー優勝を果たした方にのみ贈られる記念品です」
「えっ…」
ロックは目を輝かせた。
「かっこいい…」
「こちらは撥水・防風加工の施された魔導繊維製のマントになります。軽くて破れにくいのが特徴です」
さっそく羽織ってみる。
少し丈は長いが、妙に似合っていた。
受付が微笑む。
「お似合いでございます」
ロックは照れくさそうに笑う。
「…ありがとうございます」
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こうして、ロックは正式にブロンズランカーとなった。
協会を出ると、さすがに腹が減っていたので何か食べることにした。
市場を歩いていると、醤油の焦げるいい匂いがして視線を向けると、肉が山盛りに乗った丼が目に入る。
「…これ食べたい」
迷わず店に入った。
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注文して届いた湯気の立つ山盛りの丼を前に、ロックは目を丸くする。
「すご…」
食べようとした時にふと思い出した。
「そうだ、今日勝ったこと投稿しとこう」
慣れない手つきで端末を操作する。
丼の写真を撮って、文字を入力し投稿する。
《メレー優勝しました!お腹すいたのでお肉食べてます!美味しそう!》
送信ボタンを押す。
「できた」
箸をとり手を合わせる。
「いただきます!」
初めての投稿に満足しながら、丼を食べ始めた。
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満腹になり宿へ戻ったロックは、シャワーを浴び柔らかなベッドへ倒れ込む。
明日からはいよいよ依頼が受けられる。
ワクワクした気持ちを胸に、ロックは眠りについた。




