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Aster Crown 〜100勝するのが面倒で100人乱戦に出たら優勝して、最強の仲間ができました〜  作者: 辛子高菜


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第五十二話 バイク⑦



ガレージに呼ばれた時、ロッキーは少しだけ緊張していた。


「できたぞ」


Jr.のその一言だけで胸がどきどきする。


「ほんとに?」


「見りゃ分かる」


ガレージの奥。

布がかけられていたそれをJr.が乱暴に引き剥がす。


現れたのは――



中型反重力バイク tiny ride model G


暗い青をメインカラーに、差し色としてシルバーが入っている。

車体のラインは流れるようになめらかで、中型ながら野暮ったさはまるでない。

浮遊機構の青白い光が、車体の色とよく合っていた。

サイドカー部分はグレイ用に設計されていて、透明な風防に守られたその座席は見た目にも機能的にも美しい。

そこへ添えられるように、wildfox のオレンジ色のロゴがワンポイントで入っていた。


ロッキーはしばらく言葉を失った。


「…かっ、こいい」


それしか出てこなかった。


「だろ」


Jr.が腕を組んで鼻を鳴らす。


「Jr.のセンスすごい」


「当たり前だ」


そう言いながらもJr.は少し満足そうだった。

ロッキーはゆっくり近づいて、車体に触れそうになって慌てて手を引っ込める。


「触っていい?」


「お前のだぞ」


Jr.は呆れたように笑う。


「俺の…」


ロッキーは信じられないように車体の側面を撫でた。


「ほんとに俺の?」


「お前が払っただろ」


「そうだけど…なんか、すごくて」


横ではグレイも興味津々だった。

サイドカーの周りをくるくる回り、しっぽをぶんぶん振っている。


「わふ!わふっ!」


「グレイも気に入ったみたいネ」


ポポが笑う。


ラウンジから見に来たビアンカ、ターニャ、バイオレットも、それぞれ少し離れた場所から完成品を眺めていた。


「いい色ねぇ」


ビアンカが感心したように言う。


「ロッキーに似合ってる」


「うん…すごくいい」


ロッキーは完全に見惚れていた。

その時、Jr.が横の作業台から別のものを持ち上げる。


「ほら、これもだ」


最初に渡されたのは、ロッキー用のフルフェイスヘルメットだった。


バイク本体と同じ、暗い青を基調としたシルバーのライン。

後頭部には小さく wildfox のオレンジロゴ。


「うわ…!」


ロッキーは両手で受け取る。


「同じ色だ」


「当たり前だ。揃えた方が映えるだろ」


「映える…」


「ヘルメットはちゃんと被ること、頭は守れ」


「はい!」


そして、Jr.はもう1つのセットを持ち上げた。


小さなヘルメット。

小さなゴーグル。

さらに、体を守る軽量ジャケットのような装備。


こちらもロッキーのヘルメットと色を合わせてあり、暗い青とシルバーに、ちいさな wildfox のロゴが入っていた。


「かわいい…!」


ロッキーは思わず声を漏らした。


グレイも装備の前で「わふ?」と首を傾げている。


「ビアンカに頼んで作ってもらった」


Jr.が言う。


「ゴーグルとジャケットのフィット感は、何度か調整してある」


「え、これも込み?」


ロッキーが目を丸くする。


Jr.はふっと笑った。


「これは俺からだ」


「えっ」


「宣伝も込みでな」


そう言ってグレイ用ヘルメットを軽く掲げる。


「可愛いだろ」


ロッキーは何度も頷いた。


「可愛い!すっごく可愛い!」


「わふ!」


「ほらグレイも喜んでる」


「分かってねぇだろ」


「分かってるよ、絶対」


ビアンカが笑う。


「でも実際、可愛いわよね」


「すごく」


ターニャはもう端末を構えている。


「これは話題になるわよ」


「気が早ぇ」


バイオレットは、ロッキーがグレイを着替えさせている姿を静かに見つめていた。

ひとつひとつキツくないように整えていく。


「グレイ、かっこいいねぇ」


「わふっ!」


「これ被って一緒に走るんだよ」


グレイはなぜか誇らしげに胸を張った。

Jr.は肩をすくめる。


「まだ試運転残ってるからな。浮かれて転ぶなよ」


「転ばないよ!」


「…まだ信用ならねぇ」


「信じて!」




ーーーーーーーーーー




その日の夕方。


ロッキーはtiny ride model G の写真を何枚も撮った。


車体だけの写真。

グレイがサイドカーを覗いている写真。

ヘルメットと並べた写真。

バイクの前で自分とグレイが並んでる写真。

そしてバイクにまたがり、グレイもフル装備でお利口に座っている写真。


投稿文を何度か悩んで、結局いつものロッキーらしい言葉に落ち着いた。



《できました!tiny ride model G!Jr.が作ってくれた、グレイと一緒に乗れるバイクです!ヘルメットも、グレイの装備もかっこよくて可愛い!グレイの装備はビアンカ製!早く一緒にお出かけしたいです!

#wildfox #tinyride #本日のグレイ》


投稿された瞬間、反応が一気に流れ始める。



『きたああああ!!』


『完成した!!』


『model GのGってグレイ?』


『かわいすぎる』


『グレイのヘルメットやばい』


『欲しい』


『wildfox仕事早すぎ』


『ロッキーとグレイ似合う』


『これは売れる』



そしてすぐに、wildfox公式がそれを引用した。



tiny ride model G

for Rocky & Gray.


first original bike by wildfox.

thank you for trusting us.


#wildfox

#tinyridemodelG

#本日のロッキー

#本日のグレイ



コメント欄はさらに盛り上がる。




『wildfox初のオリジナルバイク!?』


『ガチ案件だった』


『グレイ用装備も販売してください』


『おしゃれすぎる』


『欲しい欲しい欲しい』


『ロッキーが乗るとこ早く見たい』


『Jr.天才』



ラウンジでは、Jr.がその反応を見てにやりと笑っていた。


「…よし」


ターニャが横で言う。


「大成功じゃない」


「まだだ」


「え?」


「乗ってるとこまでが宣伝だろ」


ポポが笑う。


「商売人ネ」


ビアンカもくすくす笑う。


「でも、嬉しそうよ」


「当たり前だ。初のオリジナルバイクだぞ」


Jr.は、ロッキーが嬉しそうにバイクに跨っている姿を満足そうに見ていた。





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