第四十九話 バイク④
目標金額に届いたのはtiny Rideの話が出てから1ヶ月近く経った頃だった。
シルバーランクに上がったことで受けられる依頼の幅は増えた。
報酬もブロンズの頃よりずっと良い。
グレイを迎えた時より効率はよかった。
それでも、簡単ではなかった。
採取依頼。
護衛依頼。
素材回収。
配信の収益。
グレイのおやつ代としてもらった投げ銭には、手をつけなかった。
自分で決めたものは、ちゃんと自分で払いたかった。
ロッキーは端末の残高を確認する。
何度見ても数字は変わらない。
「…届いた」
小さく呟く。
隣にいたグレイが顔を上げた。
「わふ?」
「グレイ、乗れるよ」
「わふっ」
ロッキーは笑って、送金画面を開いた。
宛先
ヴィクター・C・エイプリル
金額を入力する。
指先が少し震えた。
こんな大きなお金を払うのは初めてだった。
ーー送金完了。
ロッキーは端末を閉じ、目の前のJr.に向き直る。
「よろしくお願いします」
そう言って深く頭を下げた。
Jr.は一瞬だけ、端末に届いた通知を見る。
それから、工具を肩に担ぎ直してにやりと笑った。
「ん」
短く頷く。
「任せとけ」
その言葉に、ロッキーの顔がぱっと明るくなった。
「はい!」
グレイも嬉しそうに尻尾を振る。
「わふ!」
Jr.は二人を見て、鼻で笑う。
「最高の1台にしてやるよ」




