第三十八話 稼ぐウルフ
数日後、ロッキーはxNestに投稿した。
《配信でいただいたグレイのおやつ代で、グレイのおやつとおもちゃを買いました!ありがとうございます!》
写真には、いくつかのおやつ袋と噛んで遊ぶロープのおもちゃやボール。
そして、その横でちょこんと座るグレイ。
ロッキーは続けて投稿した。
《グレイが自分で稼いだお金で買ったおもちゃ!楽しそう!》
そこにはロープのおもちゃでロッキーとひっぱりあって遊ぶ動画が添付されている。
投稿後、コメント欄はすぐに賑わった。
『グレイ稼いでるの偉い』
『稼ぐウルフ』
『俺より稼いでるかも』
『ロッキー律儀すぎる』
『ちゃんと報告するの可愛い』
『グレイ、狼働してた』
その後、いくつも短い動画も投稿した。
グレイが小さなおやつを前足で押さえながら、一生懸命かじっていたり、おやつな袋がガサガサいうとかけて行ったりするもの。
「ウルフ用とかあまりないから犬用のおやつなんですけど…よく食べてます」
画面の中で、グレイが満足そうに尻尾を振る。
「美味しい?」
「わふ」
「美味しいみたいです、俺は食べられないけど」
コメント欄さらに爆発する。
『かわいい』
『案件来るんじゃね?』
『このおやつうちの子に買うわ』
『グレイが食べてるなら買う』
『うちの犬にも買った』
『ロッキー、PRじゃないのに販促力ありすぎ』
ーーーーーーーーーー
ーー数日後
そのおやつが爆売れした。
店の在庫がなくなり、メーカーの公式xNestが投稿する。
《Aster Crownのロッキーさんとグレイくんが紹介してくださった商品について、多くの反響をいただいております。ありがとうございます。》
ロッキーはそれを見て目を丸くした。
「…グレイ、すごいことになってるよ」
「わふ?」
ーーさらに数日後
ギルドハウスに大きな箱が届いた。
送り主は、例のおやつメーカー。
中にはグレイ用のおやつやおもちゃがぎっしり詰まっていた。
それから、手紙。
《このたびは弊社商品をご紹介いただきありがとうございました。グレイくんのお口に合ったようで大変嬉しく思います。よろしければ、今後も弊社の商品をご愛用ください。》
ロッキーは箱の中を見て固まった。
「…こんなに」
Jr.が横から覗き込む。
「案件来たじゃねぇか」
ターニャが満面の笑みで言う。
「ロッキー、これが影響力よ」
「俺じゃなくてグレイがすごいんだよ」
「その考え方がまた伸びるのよ」
ポポが笑う。
「グレイ、稼ぐウルフネ」
グレイは箱に鼻を突っ込んで、嬉しそうに尻尾を振った。
「わふっ」
ロッキーはすぐにxNestへ投稿した。
《おやつメーカーさんからグレイにたくさん届きました!ありがとうございます。グレイ、すごく喜んでます。でも食べすぎないように少しずつあげます》
添えられた写真は、おやつの山を前にちょこんと座るグレイ。
コメント欄はおおあばれ。
『グレイ案件デビュー』
『稼ぐウルフ強い』
『食べすぎないようにするの偉い』
『ロッキー保護者してる』
『Aster Crownの広報担当グレイ』
Jr.はそれを見てぼそっと言った。
「次はグレイ用のブランドコラボとか来るぞ」
ロッキーは首を傾げる。
「ブランド…?」
ターニャはにっこり笑った。
「勉強しましょうね、ロッキー」
グレイは何も知らず、ロープのおもちゃをくわえて嬉しそうに走り回っていた。




