表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aster Crown 〜100勝するのが面倒で100人乱戦に出たら優勝して、最強の仲間ができました〜  作者: 辛子高菜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/113

第三十六話 ロッキーの初配信



数日後、ロッキーの初配信が始まった。

1人ではなく、もちろんターニャがサポートとして端末の向こうで待機している。

ロッキーはテーブルの前に座り少し緊張した顔でカメラを見て、手持ち無沙汰に襟元のマイクをいじってはターニャに「触っちゃダメ」と注意される。

配信をすることは事前に告知していて、19時から行う予定だった。

時計は18時58分で予定時刻まで残り2分、ターニャに教えてもらいあらかじめ話す内容はきちんと決めていた。

開始から終わりまでの軽い流れを書いた紙を何度も見返し、落ち着くために繰り返し深呼吸をする。

そして時計の針が19時00分を示す。

ターニャの方を見るとゆっくりと頷き、ロッキーも決心したように配信開始ボタンを押す。


《ロッキー初配信:最近の依頼と景色の話》


「…こんにちは、ロック・レオンハートです。みんなからはロッキーって呼ばれてます」


コメント欄が一気に流れた。


『きたぁぁぁぁぁあ』


『本物だ』


『かわいい』


『緊張してる?』


『声やさしい』


『Aster Crownキタ』


ロッキーはコメントを目で追おうとして固まった。


「え、速い」


それも当然だった、視聴者数は待機の時点で1万人を超えていて、今もどんどん増えている。

正面にいるターニャが笑う。


「全部読もうとしなくていいのよ」


「でも、せっかく書いてくれてるのに…」



『全部読もうとしてるの可愛い』


『無理しないで』


『目が泳いでる』


『守りたい』



それでもロッキーは一生懸命コメントを読む。


「えっと…『今日も肉食べましたか?』…今日はまだ食べてないです!朝ごはんは魚でした」



『草』


『肉確認』


『食べさせたい』


『かわいい』



「つぎ…『メレー3連覇狙いますか?』…えっと、出るなら頑張ります」



『謙虚』


『出たら勝つやつ』


『ヴィオと並べ』



その様子に、ターニャは満足そうに微笑んだ。


「いいわよロッキー、そのまま自然に」


「自然にって難しいですね」


「今のでいいの」


その時、コメント欄に色の違う表示が流れた。



 1000x lenalee418『配信ありがとう。いつもxNest見てます』



ロッキーが画面を見て固まる。


「なにこれ、色が違う」


ターニャが説明する。


「それは投げ銭と言ってね、お金と一緒にコメントを送る機能」


「お金って、本物の?」


「本物」


「えっ、なんで俺に」


「あなたのファンだからよ、せっかくだから名前呼んであげて」


ロッキーは慌ててカメラを見る。


「えっと…ありがとうございます!リナリーさん!」



『1000xでめっちゃ喜んでくれる可愛い』


『俺も投げる』


『私も』



 100x ten55『応援してます』


 300x nob_f『ご飯食べて』


 200x pom373『初配信おめでとう』


 1000x fjy4krn『かわいい』


 500x 14tgut『肉代』



「え、え?」


ロッキーの目がどんどん丸くなる。


「止まらない、なんで?」


ターニャは笑いをこらえていた。


「あなたの反応が可愛いからよ」


「反応?」


「そう」


「いや、でも、お金…」


さらに流れる。



 1,000x izabel『山の話もっと聞きたい』


 500x sonia_rip『黒金草の見分け方助かった』


 2,000x unhpbd『Aster Crown応援してる』



止まらないコメントにロッキーは完全にパニックだった。


「あ、ありがとうございます。でもそんな…えっと…」


そして、



 10,000x unknown『かわいい』



画面が一瞬派手に光った。

ロッキーの声が裏返る。


「い、いちまん!?」


ターニャも少し目を丸くする。


「あら」


ロッキーは両手をわたわたさせる。


「unknownってなに、匿名?なんで匿名で送るの、お礼言えないよ」


「ロッキー落ち着いて」


「だめだよみんな、お金、お金大事だから送ってこないでくださぁ〜い」



コメント欄が爆発した。



『wwwww』


『送ってこないでくださいは草』


『お金大事だからww』


『かわいすぎる』


『もっと送りたくなる』


『マジでおもろい』


『新しいな』


『守りたいこの金銭感覚』



結果、さらに投げ銭が加速した。



 100x hika710『大事に使って』


 300x m_rena『採集代』


 1,000x Lenalee『お肉食べて』


 10,000x unknown『もっとかわいい』



「なんで!?」


ロッキーはもう半泣きになっていた。


「なんで止まらないの、お金大事だよ。1万xとか採集2〜3回分だよ?そんなの送っちゃダメだよ」



『採集換算www』


『生活感ある』


『かわいい』


『肉食え』


『もっと困らせたい』


『こういう弟がほしい』


 

ターニャは肩を震わせている。


「ロッキー落ち着いて」


「ターニャ、これ止められないの?」


「止められるけど、たぶん今止めたら逆にややこしくなるわ」


「そんなぁ…」




ーーーーーーーーーー



その頃、Aster Crownのラウンジ。

Jr.はソファで配信を見ながら腹を抱えていた。


「ははははっ、こいつマジで最高だな」


ポポも大笑いしている。


「お金送るなって言う配信者、初めて見たネ」


ビアンカは目元を押さえていた。


「可愛すぎるわ…」


ソロも口元が少し緩んでいる。

バイオレットは黙って画面を見ていた。

笑っていたJr.がふと横目でバイオレットを見る。


「…匿名投げ銭、お前だろ」


バイオレットは涼しい顔で答えた。


「なんのことかしら」


「unknownが毎回1万x投げてんだよ」


「知らないわ」


「とぼけんな」


バイオレットが端末を操作する。

配信画面の中に投げ銭の表示が出る。


 10,000x unknown『お肉食べて』


Jr.が指を差した。


「ほら!」


バイオレットは無表情のまま言った。


「お肉は大事だから」


「認めてんじゃねぇか」




ーーーーーーーーーー




1時間後、配信が終わる頃にはロッキーはぐったりしていた。


「見てくれてありがとうございました…投げ銭は本当に無理しないでください…お金大事なので…」



『最後まで金銭感覚まとも』


『推せる』


『次も見る』


『お金大事ロッキー』


『Aster Crown新星かわいすぎる』



ーー配信終了


ロッキーは机に突っ伏した。


「配信って大変…」


ターニャは満面の笑みで端末を見ている。


「お疲れ様、大成功よ」


「ほんとに?」


「えぇ、xNestのフォロワーも増えてるしxTubeのチャンネル登録者数も爆増、切り抜きももう出てる」


「切り抜き?」


ターニャが見せる。



《お金大事だから送ってこないでくださぁ〜い》


《1万xを採集2〜3回分で換算するロッキー》


《初配信で投げ銭に怯えるメレー連覇王》




どれも再生数がものすごい勢いで伸びていた。

ロッキーは顔を覆った。


「恥ずかしいよ…」


ターニャはにこにこしている。


「でも、可愛いわ」


「それ褒めてます?」


「もちろん」



ラウンジではJr.が腹を抱え、ソロとポポが笑い、ビアンカが切り抜きを保存し、バイオレットだけが静かに端末を閉じた。


なお、unknownの投げ銭の正体についてはロッキーは見つけられなかった。




「…彼に言わないでよ」


「言わねぇよ、おもしれぇからな」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ