第三十三話 シルバーウルフ④
グレイがAster Crownに来てからロッキーの日課が1つ増えた。
それは散歩だ。
朝、ハウスの庭に出る。
グレイは銀色の毛をふわふわ揺らしながら、ロッキーの足元をちょこちょこ歩く。
「グレイ、こっち」
「わふっ」
ロッキーはにこにこしながら、ゆっくり歩く。
その様子をガレージの前で見ていたJr.が、工具を片手に言った。
「依頼には連れて行かねぇのか?」
ロッキーはグレイを抱き上げる。
「え、依頼?」
「シルバーウルフは狩猟や探索の相棒として重宝される魔獣だぞ。まだちいせぇけど役に立つだろ」
ロッキーはグレイの顔を見る。
グレイはきゅるりんとした目でロッキーを見上げた。
「…可哀想で」
「は?」
「こんなに可愛いのに…戦うとか」
Jr.は数秒黙った。
「そいつの本業だろ…」
グレイは何も分かっていない顔で、ロッキーの腕の中で尻尾を振った。
「わふ」
「ほら、可愛い」
「会話にならねぇ」
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グレイは、すぐにギルド中から可愛がられた。
ロッキー不在でギルドハウスにお留守番している時は、そこら中をチョロチョロと歩き回る。
「まだ小さいネ、踏まないようにしないとネ」
ポポは大きな手でそっと撫でる。
ターニャは毎日のように写真を撮る。
「#本日のロッキー じゃなくて、#本日のグレイ も必要ね」
ソロは無言でしゃがみ込み手を出しグレイが近づいてくるのを待つ。
「…きた」
少し嬉しそうだった。
バイオレットは控えめに撫でる。
「いい子ね」
グレイは尻尾を振る。
そしてビアンカは首輪を作った。
柔らかい革にAster Crownのマーク。
銀色の毛に映えるように落ち着いた色で仕上げられている。
「どう?」
ビアンカがつけてあげるとロッキーは目を輝かせた。
「すごい…似合う、グレイ可愛い」
「わふっ」
「気に入ってくれたみたいね」
Jr.も何か作っていた。
「ほら」
差し出されたのは小さな胸当てのような装備だった。
軽くて、でも触るとかなり丈夫そうだ。
「負担にならねぇ素材を使った。動きは邪魔しない。急所だけ守れる」
ロッキーは驚く。
「グレイの装備まで…」
「依頼に連れてくなら必要だろ」
「まだ連れて行くとは…」
「連れてけ」
「でも可愛いし」
「可愛いから鍛えて強くして守るんだよ」
ロッキーははっとした。
「なるほど…」
Jr.は得意げに鼻を鳴らす。
「分かったか」
「Jr.、優しいね」
「うるせぇ」
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《ビアンカに首輪作ってもらってJr.さんに装備を作って貰ったグレイ、可愛さマシマシです。》
小首を傾げたグレイの写真も添付。
しばらくしてコメント欄は爆発
『グレイきたあああ』
『かわいい』
『グレイふわふわ』
『守りたい』
『首輪かわいい!』
『Aster Crownマークついてる!』
『首かしげててかわいすぎ』
コメント欄を眺めながらロッキーはグレイを膝に乗せてにこにこしている。
「ほら、可愛いって」
端末に鼻を寄せ匂いを嗅いだ後にグレイが小さく鳴く。
「わふ」
ロッキーが笑う。
「人気者だね、グレイ」
「わふっ!」




