第二十四話 マニア
ロッキーはAster Crownに入ってからも人気だった。
むしろ、前よりずっと注目されるようになった。
メレー連覇
Aster Crown加入
採集依頼の素朴な投稿
任務帰りに食べたご飯の写真
たまに上がる景色の写真
xNestのフォロワーは日に日に増えていった。
けれど本人は相変わらずだった。
《今日は川沿いで綺麗な石を見つけました!》
《依頼先のおばあちゃんにお菓子をもらいました。美味しい!》
《ソロに歩き方を褒められました。嬉しい》
《この間フォロワーの方に教えてもらった肉屋さん美味しかったです!》
Jr.はそれを見るたびに呆れた。
「なんでこれで伸びんだよ」
ターニャは当然のように答えた。
「ロッキーは可愛いもの」
「お前、分析のふりして漏れてんぞ」
「分析よ」
ターニャは端末を操作しながら、楽しそうに笑った。
彼女がxNestに投稿するロッキーのオフショット #本日のロッキー は特に人気だった。
《#本日のロッキー
依頼帰りに花畑でしゃがみ込んで蝶を見ていた。本人いわく「羽の模様が綺麗だったから」》
《#本日のロッキー
ポポとぶつかって朝ごはんのパンを落としそうになり両手で守っていた。守るものがパン》
《#本日のロッキー
ヴィオに褒められて、3秒遅れて照れていた》
どれも、ターニャ視点のロッキーはやけに可愛かった。
Jr.曰く、
「お姉様方に刺さるやつ」
らしい。
「お姉様方って誰ですか?」
ロッキーが首を傾げる。
Jr.は端末を見せた。
「コメント欄」
『守りたい』
『ご飯いっぱい食べて』
『ターニャさん口座教えて』
『ロッキーくん今日もいい子』
『Aster Crown、ロッキーを大事にして』
『ヴィオロキてぇてぇ』
「最後のなに?」
ロッキーが困惑する。
バイオレットが無言で端末をふせる。
ターニャは満足そうだった。
「見た目と行動の愛らしさ、それから溢れる性格の良さ、そこが人を惹きつけるのよ」
「褒めすぎじゃないですか?」
「足りないくらい」
「足りないんだ…」
ロッキーは困ったように笑った。
その笑顔を見て、ターニャはすかさず端末を構える。
「今の顔、いいわね」
「撮らないでくださいよぉ」
「大丈夫、許可取ってから載せるわ」
Jr.がぼそっと言う。
「マニアは怖ぇな」
ターニャは涼しい顔で返した。
「保護者目線よ」
「尚更怖ぇよ」
よく分からないけど、みんなが楽しそうなのでまあいいかとロッキーは思った。
そういうところもまた、人気の理由だった。




