第二十二話 ギルドマーク
荷物を運び終えた7人はラウンジに集まっていた。
大きなソファに座る者、床に敷かれたカーペットの上に座る者、庭の見える窓辺にもたれる者。
新しい拠点特有の少し落ち着かない高揚がまだ残っていた。
そんな中、ターニャが明るく言った。
「じゃあ次、ギルドマーク入れましょうか。みんなどこに入れるか決めたら私に言ってね」
ロッキーがぱちぱち瞬きした。
「…え?」
「ギルドマーク」
「いや、それは分かるんですけど」
一拍置いて
「体に入れるんですか!?」
Jr.が吹き出した。
「そこからかよ」
ターニャは楽しそうに笑う。
「魔法で入れるのよ」
ロッキーは自分の腕を見た。
「魔法で…刺青みたいな?」
「近いけど違うわ。刻印魔法よ」
ターニャは自分の左手首の内側を見せた。
そこには青く淡く光る、王冠と星の紋様。
「私はここ」
「…綺麗」
「でしょ?」
ターニャは得意げにいう。
「永遠じゃないわよ、消そうと思えば消せる」
「消せるんだ」
「ただ、普通は消さないけど」
そして決めた人から順番にギルドマークを入れていった。
ポポが胸元を軽く開く。
右胸に赤いギルドマーク。
「俺はここネ」
「胸…」
「護る側だから心臓の近くネ」
なんか格好いい。
ソロも右肩を見せる。
緑のギルドマーク。
「俺はここ」
「肩なんですね」
「剣を振る側だから」
ビアンカは少し悪戯っぽく笑って腰を指した。
そこにはオレンジのギルドマークがあった。
「私はここ」
「腰!?」
「可愛いでしょ」
Jr.は右手の甲を見せる。
黄色のギルドマーク。
「俺はここだ」
「Jr.らしい」
バイオレットは言葉少なに、髪を少し持ち上げた。
首の後ろ、紫のギルドマーク
ロッキーは思わず見とれる。
「……」
バイオレットがちらりと見る。
「何」
「いや、その…似合うなって」
少しだけ沈黙。
Jr.がにやにやしている。
ターニャが小声で「尊いわ」と言っている。
「で」
ターニャが本題に戻る。
「ロッキーはどこがいい?」
「えぇ…」
急に言われても。
腕?
肩?
首?
悩んでいると、ビアンカがロッキーを眺めて言った。
「首のあたり似合いそう」
「え?」
「わかるネ」
ポポも頷く
「色は暗い青がいいネ、藍色とか」
「藍色」
「マントと似た色ヨ」
バイオレットも静かに言った。
「悪くないわね」
ロッキーは少し照れながら頷く。
「じゃあ…首元で」
ターニャが満足そうに立ち上がる。
「決まり」
ーーーーーーーーーー
刻印は思ったより静かな儀式だった。
ターニャが術式を組み、ロッキーが前に立つ。
そっと首元に手をあてる。
「少し熱いかも」
「痛いですか」
「少し」
「…怖いなぁ」
ロッキーは服の襟をずらして、首元を見せる。
ターニャが指先でそこに触れた。
青とも紫とも違う、深い藍色の光が滲む。
少しずつギルドマークが浮かび上がる。
星を抱く王冠、Aster Crown。
「…っ」
少しだけ熱い、けれど不思議と嫌じゃない。
光が収まると、そこに藍色のギルドマークが刻まれていた。
「できた」
ビアンカに鏡を手渡され、ロッキーは自分の首元を見て触る。
「…ほんとについてる」
ビアンカが嬉しそうに言う。
「似合う」
ポポも笑う。
「新人卒業ネ」
Jr.が鼻を鳴らす。
「これで逃げられねぇな」
「これで7人」
バイオレットがロッキーを見る。
「どう?」
ロッキーは少し考えて、笑った。
「仲間になった感じがします」
その一言で少しだけ空気が柔らかくなる。
ターニャは自分の手首のマークを見て、それからみんなを見回した。
「いいわね、7色の王冠」
窓の外から夕陽が差し込む。
それぞれ違う色のマークが、光を受けて淡く浮いた。
青
赤
紫
緑
オレンジ
黄色
藍
七つの星、王冠を形作る色
「記念撮影しようヨ!」
ポポが大声で言う。
「賛成!みんな並んで並んで、ヴィオは真ん中ね」
ターニャが号令をかけてみんな並ぶ。
後列にポポ、ソロ、ロッキー、ターニャ
前列にJr.、バイオレット、ビアンカ
そして、ターニャがカメラのタイマーをセットする。
「じゃあ、撮るわよ!」
光ってすぐにシャッター音が鳴る。
ターニャが確認に走る。
「…うん!いい出来よ!」
写真はそのままラウンジのボード貼られた。
「…これからみんなで頑張りましょうね!」
ターニャがそう言うと、みんな元気よく答えた。




