第十四話 マスターランク
話が落ち着いたころ、ロッキーがふと真顔で聞いた。
「ギルドって…簡単に作れるもんなんですか?」
Jr.が即答する。
「簡単じゃねーよ、色々条件があんだよ」
「条件?」
「まず、マスターの個人実績」
「ふむふむ」
「5人以上の所属ランカー」
「今7人か」
「ギルドハウスの所持」
「お金かかりますね」
「それからメンバーの前科の有無」
ロッキーがちょっと身構える。
「…前科ある人いるんですか」
「いねぇよ」
「よかった」
ポポが笑う。
「何を心配してるネ」
Jr.は続ける。
「それと、マスターランクが1名以上なのと、ランカー協会評議会の承認を得ること」
ロッキーがぽかんとする。
「評議会…」
「お偉方の審査だな」
「うわぁ、急に難しそう」
「急じゃなくて最初から難しいんだよ」
ロッキーは少し考えて、ふと聞いた。
「マスターランクって、ランキングのやつですか?」
Jr.が頷く。
「あぁ、お前が今いるブロンズランク、そのずっと上だ」
「上から2番目のランクですよね」
ターニャが説明する。
「そうよ、下から――」
「ルーキー」
「ブロンズ」
「シルバー」
「ゴールド」
「プラチナ」
「ダイヤモンド」
「マスター」
「そして、レジェンド」
説明しながら、ひとつずつ指を折っていく。
ロッキーは途中から目が泳いでいた。
「…多い」
Jr.が鼻で笑う。
「上に行くほど地獄だけどな」
ターニャも頷く。
「このランクに上がるまではとにかく大変なのよ」
「俺、ブロンズで浮かれてた…」
Jr.が親指で隣を指す。
「うちはポポとヴィオがマスターだ」
ロッキーが固まる。
「…え、2人とも?」
「そう」
ロッキーはまずポポを見る。
大柄で陽気な男。
「ポポさん、すごい人だったんだ」
「今さらネ?」
次にバイオレットを見る。
「ヴィオも…」
バイオレットは肩をすくめた。
「たいしたことないわ」
「たいしたことだろ」
Jr.が突っ込む。
ロッキーはしばらく2人を見て、それからぽつりと呟いた。
「…すごい人たちが俺を誘ってくれたんですね」
バイオレットが静かに肯定する。
「そうよ」
「なんでだろ」
Jr.が即答する。
「面白いからだろ」
「Jr.」
「半分本当だ」
ポポが笑う。
「強いからネ」
ビアンカ。
「優しいし」
ソロ。
「見込みがある」
ターニャ。
「かわいい」
「最後違くないですか?」
「違わない」
バイオレットは少し考えて、それから言った。
「…自分で気づいていないものを持ってる人は面白いの」
ロッキーは意味を測りかねて首を傾げる。
「そうなんですか?」
「そう」
Jr.がにやりとする。
「で、うちのマスター様がマスターランクってことは」
「協会条件もオールクリアってわけだ」
ロッキーの顔が明るくなる。
「じゃあ、ほんとにギルド作れそうなんだ」
「作るんだよ」
Jr.が言う。
「Aster Crownをな」
その言葉に、ロッキーは少しだけ息を呑んだ。
自分がつけた名前が、急に現実味を持った。
ただの思いつきじゃなくなる。
ギルドになる、居場所になる。
ターニャがにこっと笑う。
「次はあなたをブロンズで終わらせない計画ね」
「えっ」
Jr.がにやり。
「まず100勝だな」
ポポが肩を叩く。
「マスターランクへの道は長いヨ、ロッキー」
ロッキーは青ざめる。
「…ブロンズで満足しちゃだめなんですか」
その言葉に全員が笑った。




