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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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97話

「これからどうなんのかねぇ? あんたんとこは大丈夫なの?」

「んぁ? オメェ誰よ? この辺のもんじゃねぇな」

「まぁまぁ、一杯やれよ。最近ここに来たはいいんだが、ここから出れなくてさ」

冒険者っぽいおっさんを捕まえて話してみる。

いい感じに潰れかけてて色々聞けそう

「お、すまねぇなぁ。おお、すげぇ良い酒じゃねえか」

「高ぇんだぜ、これ。東方の酒らしくてよ」

日出国で宗近にやった酒を何本か持ってきたのでそれを振る舞ってやる。

「ありがたくいただくぜ。オメェもそうだろうけど、俺たち冒険者まで出入りに制限くらってちゃ商売にならねぇよなぁ」

「俺は共和国の出身なんだけど、連邦にも友達がいてさ、どうなってるのか心配だわ」

「共和国も大変だったな。俺にも連邦にダチがいるんだが……連邦は今もドンパチの最中だからな。状況はまったくわからねぇよ」

「帝国もいきなりどうしちまったんだろうな」

「騎士団じゃなく魔法師団が軍の実権を握ったらしいな。そこかららしいぜ、帝国が動き出したのわ」

「魔法師団だって? あの国が?」

「らしいぜ、あのシリウスっていう師団長がやり手ってのは良く聞く話だしな」

「連邦と戦争か……あのロザリカ・ナザリカが黙っちゃいないだろうな」

「そらそうだろ。シリウスとロザリカは何度か戦場でやり合ってるからな。因縁の相手にケリをつけるって感じじゃあねぇか」

マヂか。あの二人、何度か戦ってるのか。

「そうなのか?知らなかったわ」

「おいおい、冗談だろ? アイツラがぶつかると周りへの被害がデカすぎるから、いつもタイマンだってのは有名な話だぜ?」

「へぇ」

「今のところ痛み分けばかりだからな。今回でどうなるか……二人の勝敗がそのまま国の未来になるだろうよ」

「そうか……ありがとうよ、これ飲んでくれ」

神酒の方も瓶ごとおっさんに渡してやる。

欲しい情報がほとんどこのおっさんで集まったボーナスだ。ナイスおっさん!

「おぉ、すまねぇ!」

おっさんとの会話を切り上げ店を出る。

店の中から歓喜の声と共に、ドサッと床に倒れる音がした。

「おい、シウバ、どうした!」

「う、うま、すぎる……」

「シウバーー逝くなーーー」

宗近がいっぱい飲んでたし、人が飲んでも大丈夫だよな……ちょっと心配になってきた。

皆と合流する。

情報をまとめると、共和国はやっぱり帝国に落とされている。

もともとまともに戦力が残ってなかったこともあり、ティアーゴが民への安全を条件に降伏。

大きな戦争にはならず、共和国が酷いことになることはなかったそう。

ティアーゴも無事らしく、ローザも安心していた。

しかし、あの人も大変な人生送ってるな。

波乱万丈すぎるだろ。

それから、帝国は勝利の余勢をそのまま連邦へ向け始めたらしい。

これが本当に最近のこと。

決戦の場をトロイ平原に定めて帝国が進軍中だそう。

冒険者のおっさんの情報だと、シリウス対ロザリカのタイマンがはじまるらしい。

それは絶対に見に行かないとな。

ロザリカにはしっかり頑張ってできればシリウスを満足させていただきたい。

「じゃあ、連邦方面へと向かうか。レティ、トロイ平原の近くにゲートクリスタルはあるのか?」

「うむ、ちょうどいいところにある。そこからダッシュすれば一日でつくじゃろ」

「今日にでもタイマンが始まらなければ対戦が見られそうだな。よし、今から行こう!」

「兄さん、ワイは共和国へ向かうわ。あっちの情報も集めときたいし、ティアーゴがどうなってるのか詳細も知りたいやろ?」

ジルベロの言葉にローザは頷き「お願いします」と短く答えた。

「じゃあ、そっちは任せた!」

「兄さんらのダッシュについていけるとも思えんしな」

「行くぞい?」

「よろ!」

レティの移動魔法でゴルドバをあとにした。

着いた先は薄暗い洞窟の中だった。

洞窟といっても、明らかに人為的な手が入ったもの。

円柱状に削り取ったような下り坂がずっと続いている。

それをゲートクリスタルが淡く照らしているんだけど、その道がやたらとテカテカしててツルッと滑りそう。

そして、その先は闇だ……

嫌な予感しかしない。

「で、これはなんだ?」

「超滑り台じゃ」

「聞くだけで頭が痛くなってきそうだけど、一応詳しく聞こう」

「ここはエンブレッツェ山脈といっての、巨大な山々が連なる場所じゃ」

「わかってると思うが、それを聞いてるんじゃねぇよ」

「その山頂付近にここがあるんじゃがな、そこから滑り落ちたら楽しいのではないかと思いついたのがこれじゃ」

「妙にツルツルしてるのはそれでか……」

「ツルッツルじゃぞ! ずっと滑り落ちてもケツが熱くならん! ワシの超絶技巧があってこそ成せる匠の技じゃ!」

「お前の脳みそみたいだな。ツルツルでシワ一つなさそうだ」

しかし、いつも通りレティを小馬鹿にしてみたものの……これ、楽しそうじゃね?

むしろ、コイツ、天才じゃね?

山を滑り落ちるサイズの滑り台は流石に心躍る気がする。

「ふふん、ヌシ、少しは素直になってみてはどうじゃ?」

む、顔に出てたか? 生意気なことを言いやがる。

「つってもずっと山の中のトンネルをくぐり抜けるだけだろ? 景色も何もありゃしねぇんじゃ、飽きそうだけどな」

「ワシを誰だと思っておる? 馬鹿と天才は紙一重と言うじゃろ」

「両方兼ね備えてるのがお前だと思うけど」

「わかっておるなら良い!」

「ついに馬鹿ということを否定しなくなった!」

「まぁ、やってみればわかる! ワシを信じるんじゃな!」

おぅ、自信満々のレティほど恐ろしいものはない。

だが、そのスリルに身を任せたくなるようなワクワクがここにある気がする……

「ヌシらに言えることは一つじゃ! 全てを流れに身を任せ、決して逆らうでない……さすれば、ヌシたちは極上の体験を得られるであろう……じゃ!」

皆の表情は微妙に硬い。

だが、もはや前に進むしか、いや、滑り落ちるしか道がない。

覚悟を決めていくか……

行けばわかるさ!

俺はドンッとレズンの背中を押した。

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