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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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95話

猿たちがめっちゃ手を振ってくれている。

俺たちがこの国を離れることになり、別れを惜しんでくれているのだ。

キーキーと猿たちが騒ぐ中「もう来るな! 二度とこの国を跨ぐなー」という声がする。ジョージだ。

残念、ここにはゲートクリスタルが設置してあるんだわ。

いつだって来れるんだぜ。

びっくりさせるために一週間後とかに来てやろうかな。

日巫女様激おこの為、人里への出入りは禁止になった。

ジルベロは呆れていたけど、特に怒るようなことはなかった。

共和国との関係性が少し悪くなったけど、ジョージが大人しくしているから大きな問題にならずにすんだっぽい。

その辺は良かったと、俺は他人事のように胸を撫で下ろしていた。

そんな訳で人里で暮らせなかったので、しばらく猿たちと一緒に暮らしてた。

山の幸は豊富だし、日出国には良い温泉がいっぱいある。

温泉好きの俺としては天国だった。

毎日毎日、ジョージを連れ回して模擬戦を繰り返す。

飯、温泉、模擬戦。

非常に内容の濃い合宿になったもんだ。

行きたくないとダダをこねて岩を掴んで離さないジョージを岩ごと運んでいく様子を猿たちは楽しそうに見ていた。

途中、ジルベロと合流して帰路につく。

移動魔法で帰って良かったんだけど、レズンがヤマタノオロチに一目会いたいとうるさいので、住処の洞窟へと向かうことになった。

「やっぱオロチを落とすとなったら8人同時攻略が必要だな」

「徹底したフラグ管理とスケジュール調整が肝!」

「8人を並行して攻略ではなく同時というところに、難易度の異常な高さを感じる」

「しかし、我には彼女しか考えられぬのだ」

「だから、どれのことを指し示してるのかわかんねぇんだよ」

「全員だ……」

「コイツ、浮気性ですよ? 一人に絞れないんですって」

同意を求めようと振り返る。

その瞬間、自分のミスに気付く。

レティたち3人の視線が痛い。

「そんなに綺麗に自爆しなくてもいいのに!」

「浅瀬に仇波だな、愚かしいことこの上ない」

「何そのことわざ、ちょっとカッコいい! 父ちゃんにはふさわしくないな!」

「お前の恋路のことを考えてやってるのに、ずいぶんだな、おい」

「自分が優位に立てる時だけ上からものを言うとは最低じゃな」

「ミルズのそういうところは良くないね!」

「本当にカスです」

……

ワンミスでここまでダメージを負うとは……

「なぁ、こういうのも優位な立場からものを言うっていうんじゃない?」

「兄さん、それ以上傷口を広げるのはアホのすることやで。黙って下向いてりゃえぇんや」

味方が誰もいない。

どうしてこうなった!

「まぁ、とりあえずオロチをさが……」

薄く魔力の流れを感じる。

洞窟内の水の流れる音で聞こえにくいが、これは……戦闘音か?

遠くで誰かが戦ってる?

「レティ!」

「うむ、どうやらこの先のようじゃな」

歩みを進めるたびに、その気配が濃くなっていく。

そして微かに聞こえた悲鳴を聞いた瞬間、レズンが走り出した。

「行くぞ!」

レズンのあとを追いかける。

あの声には聞き覚えがある。

オロチだ。

恋する男の力か、レズンはかなり先に行っている。

「ニナ、メイ、先に行け!」

「おけ!」

「任して!」

レズン一人でもやられるようなことはないだろうけど、リスクヘッジだ。

「ローザは少し速度を落としてもいいからバフをかけてくれ。すぐに戦闘になる可能性が高い!」

「承知しました」

悲鳴が大きくなっていく。

オロチを追い詰められるようなヤツがここにいるってことだ。

そんなヤツがなんでこんなところに?

「貴様ら、何をしておる!」

レズンの怒号が洞窟内を振動させる。

そのままヤマタノオロチに切りかかっている人物を横合いから殴りつける。

その人物も既のところでガードし、吹き飛ばされながらも体勢を整えた。

その姿には見覚えがある。

オレンジ色の髪をオールバックに整えた偉丈夫。

そして後ろに控える軍勢の装備、全員が黒い鎧に全身を包まれている。

フェイじゃねぇか、なんでここに?

つか、帝国軍が日出国に侵攻してんのか?

なんで?しか頭に浮かんでこねぇ。

「おぬしら、万死に値するぞ!」

オロチは満身創痍、すでに四つの頭が地面に伏せている。

レズンがキレてフェイに殴りかかっている。

やべぇ、判断が遅れた。

どうする、このまま戦うのか? 帝国軍と? フェイと?

どうする?

「ヌシ、ここは一旦引くぞ。日巫女は怒るかも知れんが洞窟内を崩せば少なくとも帝国軍が侵攻することはできんからの」

「あ、あぁ、そうだな。それが良さそうだ」

ずっと認識阻害の魔法をかけていたことが良かった。

加えてレズンもいることで、フェイは俺たちの正体には気付いていない。

「レズン引くぞ!」

「駄目だ。コヤツらは殺す」

「ソイツらの命とオロチの命、どっちが大切だ!」

「オロチだ!」

「なら引け! ベティ! カリン!」

「うむ」

「もうやってますわ」

レティが洞窟の天井に向かって魔法を放つ。

ローザにはオロチの治療を。

「レズン、オロチを運べ! お前の役割だろ!」

「うむ」

オロチとローザを抱え、レズンがいち早く戦闘領域から離れていく。

崩れていく岩盤の中を突っ切ってくるヤツがいる。

フェイだ!

間に立ちふさがる俺に巨大な黒斧を振り下ろす。

ガードと同時に前蹴りをフェイに入れて吹き飛ばす。

直後、レティの魔法が追撃し、崩落する向こう側へと飛ばしていく。

相手の回避行動を予測し、着弾による体勢の変化をも見極める高度な魔法技術に流石のフェイも追撃を諦めざるを得ないようだ。

向こう側で大斧を肩に担ぎ、じっとこちらを見つめていた。

「……」

視線が交差する。

切れ長の目が、お前たちは何者だと――そう伝えてくるようだった。

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