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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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86/109

86話

装備が完成したらしい。

宿に使いが来たのは今朝のこと。朝飯を食って何しようか考えていた時だった。

ジルベロと神殿で合流したあと、宗近のもとへと向かった。

新装備か……胸が高鳴るな。

ラスボス前のイベントクリア報酬の装備とか、物語最強クラスなのは間違いないだろ!

自然と歩く速度も速くなるってもんだ。

神殿を抜けて、またあの長い階段を降りていく。

今回はあの異常な酒臭さは漂っていない。逆にそれが不穏な気がする……

しかし、その気配を打ち払うように漂う気配。魔力とも違う、何かが辺りに満ちている。

誘われるように鍛冶場へと向かう。

扉を開けると、そこには全員分の装備が整然と並べられていた。

一目でそれが普通の装備ではないと感じられた。

なにせ蹴落とされるような圧力を感じるのに、目が離せない。

心を鷲掴みにされたのだ。それに……

かっこいい! 

輝くような白い刀身に走る赤い線が中二心を擽る。

まるで龍の血が脈打っているかのよう。

そして隣には鎧と盾。

単純な黒じゃない、雪原の上で見上げた星空のように深い蒼が混ざり合ったような黒。そしてそこに瞬く星のように光を宿している。

剣の白とのコントラストが俺の心をブチ上げです。

そして皆、それぞれ自分の装備に夢中な様子。

ローザの神々しいローブやニナのアラビアンな踊り子の衣装に一対の短刀、メイの武闘家イメージそのままの出で立ちに龍を模した手甲がイカス。

レティはいつもの杖に魔石が追加されている。

自分の城からもってきたやつらしい。

地下深くに隠してあって、無事だったんだと。

俺たちの装備の素材もほとんどそこからのものだ。

そして、鎧付きのローブは俺とお揃いの配色。

こっちは杖の真紅の魔石がアクセントになっていてグッドだ。

二人でポーズなんか決めてみたり。

「むぅ、我もなんだか装備が欲しくなってきたわ」

「お前はご自慢のナイスバディがあるっつってたろ。冬でもタンクトップ着てイキっとけよ」

「そう言ってみたものの、実物を見ると欲しくなるのが心情だろうよ」

「我が爪に裂けぬものなし、我が牙に貫けぬものなしとは?」

「貴様とレティちゃんのお揃いセットが腹立たしくも似合っておるのでな……」

「確かにこれはカッコいい」

「ワシとヌシが番になっているあたり、そこで寝ておる男はわかっておるの」

「まぁ、全員黒ずくめだと中二を通り過ぎて、ただの怪しい集団だ。バラエティに富むのは良いことだな」

ローザがくるりとまわり、ローブを軽やかにしならせる。

眼帯までも専用のもので、金の刺繍が繊細かつ鮮やか。

鍛冶とは関係ない気がするけど、そこは他の職人も手を貸してくれたのだろう。

ローブの鎧部分は宗近でもさすがにローブ本体はアイツの手ではないだろうし。

「早く使ってみたい!」

「そうだね、折角の新装備、試してみたくなっちゃうよね」

そう言うと全員の視線は伝説の古龍さんに集まる。

「貴様ら、仲間を試し切りに使おうとするとは、人として何か欠乏しておるのではないか?」

「だって他に頑丈そうなやついねぇじゃん」

「だから、それだけの理由で刃を我に向けるな。貴様ら、よく今まで人の世の中で生きてこれたな。我のほうがよほど常識をもっておるわ」

「まぁまぁ、さきっちょだけだから。痛くしないし」

「最低が過ぎる!」

メイにたしなめられ、レズンに向けた切っ先を降ろす。

無念だ。

「それじゃまぁ、目的のものもゲットしたし、帰るとするか」

「ちょい待ち、兄さんら、まさかこのままタダで帰れるとか思っとるんか?」

「おぅ!」

「何でも素直に答えたらえぇもんちゃうんやで。ちゃんと働いてもらうからな。タダで帰るとか兄さんらも気分悪いやろ」

「いや、全然」

「少しは良心に引っかかるもんを持たんかい!」

「ちぃ」

「うわ、舌打ちしたで、この人」

「で、何すりゃいいんだよ?」

「そら、兄さんらに出来ることなんて限られとるやろ」

力こぶしを作りながら腕を叩くジルベロ。

「人を暴力の権化みたいに言うな」

「じゃあ、このお礼にできることは他にあるんか?」

「龍の涙、たくさんあげたじゃねぇか」

「それは兄さんらにも必要やったもんやろ。それはそれや」

「まぁ、そこの頑丈な龍より劣るだろうけど、試し切りできるなら何でもいいや」

「日巫女様からの依頼や、キッチリ頼むで」

「呼ばれてたのはそれか」

「せや。それで問題のモンスターは……猿帝と呼ばれる猿や。猿帝は日出る国にはるか昔に封印された存在でな。その封印が解けかけとるらしい。で、再封印するまでの間、その猿を兄さんらで抑え込んどいて欲しいんや」

「ふっ、倒してしまってもいいのだろう?」

「カッコつけてるとこ悪いんやが、強さのほどはわからんのやで」

「レティ、知ってる猿か?」

「ワシに猿の知り合いはおらん。それにこの国のことも知らんかったのでな」

「レズンは?」

「我も知らぬ」

「残ってる歴史書によれば二千年以上前のことらしいが、猿帝にこの国が滅ぼされかけたらしい。そこを救ったのが、日巫女様の先祖やったそうや」

「レティよりお年寄り!」

「ワシは永遠の十七歳じゃ」

「そんだけ寝てるんなら、もう起きないんじゃね?」

「兄さんは目が覚めてるのに二千年もベッドに縛り付けられてたらどんな気分になるんや」

「暴れたくなるな」

「せやろ」

「まぁ、ラスボスの前哨戦にはちょうどいいか。いいぜ、任せろよ」

「負けたらあかんで。最低限弱らせて封印できるとこまでは死んでも頼むわ」

「本音が言葉の端から滲み出てるぞ……」

というわけで、今回のボスキャラは龍じゃなくて、猿だったみたいだ。

実に日本チックなキャラ選択だな。

柿を投げつけられて死んだ蟹のために一肌脱いでやろう。

今のさるかに合戦の蟹って死なないんだっけか。





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