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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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82/110

82話

ジルベロが宗近の口に一升瓶を突き刺した。

ごぽっごぽっと音を立てながら、瓶の中の酒がみるみる間に減っていく。

宗近の喉元はリズム良く上下に動き、龍神酒が一本丸々胃の中へと流し込まれた。

すると閉じられていた宗近の目がパチっと開く。

口には一升瓶が刺さったままだ。

怖ぇよ。

ただその瞳は絵面に反して透き通っている。

これまでのように、どこを見ているのか、夢を見ているのかわからない、ぼやけた瞳ではない。

一点を見つめるその目からは、アルコールの成分は感じられず、何かが宿ったような澄んだ瞳だった。

ちゅぽん。

宗近の口元から瓶が抜かれ、新しい酒が注ぎ込まれる。

次々と流し込まれていく龍神酒が宗近の覚醒を促しているのか、酔いが裏返るように宗近の雰囲気を変えていく。

そして、無言で宗近がむくりと立ち上がった。

「おい、大丈夫か?」

俺たちのことなどまるで見えていないのか、自身の手を見つめる宗近。

そして、一言――

「打つか……」

そう言ったあと、鍛冶場へと一人歩き出すのだった。

「おい、大丈夫なんか、宗近って人は?」

「多分な」

「多分て……」

「あんな宗近は初めて見る。いつもは酔っ払いながら槌を振るうんや。それが……」

「まぁ、手は震えてなかったし……信じて待つしかねぇか。これ、素材としてもってきた」

ジルベロに俺たちがかき集めてきた鉱石などを渡す。

レティの城に埋もれてたやつとか、あのへんの洞窟内を掘り出したもの、あとはレズンがコレクションしてた光り物。

なんでもキラキラしたものが好きだったらしく、宝石だとかいつの時代に使われた貨幣だか、収集してたんだってさ。

レズンが名残惜しそうに横目でチラチラ。

残念、お前の宝物は非情にも引き渡されるのだ、ガハハ。

「兄さんら、ほんま何者やねん……見たことあらへんで、こんなん……」

「多分貴重なものだと思う、知らんけど」

「まぁ、宗近に渡しとくわ。あとはアイツが戻ってくるまで待つしかない」

「長くなりそうだな」

「とりあえず宿でも探すとするかのぅ」

「そうですね」

「その辺は抜かり無しや」

ジルベロは俺たちに宿を取ってきてくれていたらしい。

地図を渡されて、そこへ行けと言われた。

「僕は日巫女様に呼ばれとるからな、そっちで勝手に行っといてくれ」

「あいよ」

地図を見ながら日出る国の街を歩く。

学生時代、社会の教科書に出てくるような近代化を取り入れ始めた日本的な町並みが続く。

あの辺の時代って、妙にノスタルジックな気分を擽るよな。

ずっとずっと昔のものなのに、不思議だ。

「綺麗な街並みですね」

「全く違う世界だね」

「レティもこっちには来たことなかったんだっけか」

「うむ、世界はワシのものじゃと思っとったが、もっと広かったんじゃのぅ。それでもワシのものじゃとは思うが」

「その考えが間違っていることは間違いないな」

「あ、父ちゃん、あれじゃない? ほら」

メイが指差す先は四方を漆喰の塀で囲まれた建物。

時代劇とかで見るような日本家屋だ。

灯籠が静かに照らす道の先に宿の玄関がある。

そこに佇む一人の女性。

淡い碧の和服に黒い髪を後ろにまとめている。

「お待ち申し上げておりました。こちらへご案内いたします。お足元はどうぞそのままに。こちらでお預かりいたします」

「ご丁寧にどうも」

柔らかい声と物腰で、部屋へと案内される。

俺とメイは当たり前のものとして靴を脱いで旅館の中へと入ったけど、皆はそうじゃなかった。

俺とメイの立ち振舞を見て、それとなく同じように靴を脱いで揃え、旅館の中へと入る。

そういや久しぶりに家の中に靴を脱いで入るな、旅館だけど。

最初の方は慣れなかったんだよなぁ、異世界のアメリカンスタイル。

落ち着いた雰囲気の館内、華美な装飾品などはないけど、質の良い調度が格式の高さを主張している。

普段安宿とは言わないけど、高い宿は利用しなかったから少し気を張ってしまうな。

ニナなんかは特にそうでいつもよりピンと伸ばされた背筋が気持を表しているようだ。

レティとレズンは変わらないけどな。

そして、案内された先はそれぞれの個室。

これまた久しぶりで、滅多に一人になることがなかったので中々に新鮮だ。

「羽根は伸ばしてもいいけど、羽目は外すなよ?」

「誰に言うとるんじゃ」

「貴様は高貴なるものに対する敬いが足りぬ」

「天上人を騙るなら、失恋でぴーぴー泣くんじゃねぇよ」

「そうやって傷付いた心を茶化すのは感心しませんね」

「そうだよ、誰だって失恋はツラいものだよ」

「父ちゃん、人の心とかないんか! カッス!」

おかしい……最近、自分のポジションが弱くなっていってる気がする。

ローザやニナが特に遠慮かなくなっているような……

「冗談や軽口の類だろ? なぁ、レズン」

「その質が悪いと言っているのですよ? 反省なさってください」

ピシャリとローザに言い聞かされる。

ニヤニヤしたレズンが腹立たしい。

はいと返事して、そそくさと部屋に撤退する俺。

勝てない戦は避けるべきだ。

さてさて、気を切り替えて久し振りの一人を満喫しよう。

露天風呂もあるって言ってたし。

ゆっくりするとしよう。

もうすぐストックが切れるので完全に不定期掲載になります。

今までありがとうございました。

多分1週間に1回はアップしていきます。

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