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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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81話

涙と鼻水を垂らすレズンを抱えて、再び宗近のもとへ。

「我の初恋が……」

「お前、千年も生きてきて初恋って今までどうしてたんだよ」

「周りに好みというか、龍自体がおらんかった……おぬしらの言う龍の大半は、我から見たらトカゲだ。貴様は猿に恋する男なのか? そういう性的指向もあるだろうが、我はそうではない」

「傷心とはいえ、いきなり人を変態にするんじゃねぇよ。まぁ、確かに今まで戦ったことのある龍はお前に比べたらトカゲかもしれんけどな」

「初めて見た龍に心ときめいても仕方なかろう? あれほど美しい龍はおらぬぞ……」

「だから、どの顔を指して美しいっつってるかわかんねぇんだよ」

「どれも美しい。我と生涯を共にする伴侶になってもらいたかった……」

「諦めんなよ!」

メイの拳がレズンのハートを叩く。

彼女なりのエールだ。

具体的に言うと、右の頬だけど。

担いでたのに落としちゃったじゃないか、よっこらせっと。

「諦めたらそこで終了なんだよ!」

「なんでもいいけどすぐに拳を使うな。お前は拳で解決を図ろうとする癖がある! 違う、蹴っていいって言ってんじゃねぇ!」

「だけど、確かに告白された頭はまんざらじゃなかったっぽいね」

ピクン。

ニナの声をレズンの耳が都合の良い部分だけを的確に切り分けて、脳に伝える。

「その他の方も、どちらかと言うと嫉妬の感情の方が大きいように思えました」

「そ、そうか……やはり、そう見えるか!」

藁ほどの希望にすがりだす伝説の古龍さん。

少し可哀想になってきた。

「まぁ、帰りにもう一度寄っていこうぜ。すぐに行くよりも少し時間をあけた方がいいだろ」

「適当なこと言って煙に巻こうとしとる気がするが、まぁ、そうじゃな、そのほうがえぇと思う」

「なんか手土産持ってったほうがえぇんとちゃうか? 龍の好みなんざ知らんけど、手ぶらはあかんやろ」

「ケビンのヤツは、その強さを嫁に見せて惚れさせたとか言う取った覚えがあるのぅ」

「手土産か強さか……」

「いきなり考えを狭めすぎだろ。なんでその二択なんだよ」

「では、貴様はどうしたのだ?」

「父ちゃんはね、お母さんにいきなり初対面で好きですって言ったらしいよ!」

「やめなさい」

「あなたと私は初対面です。いきなり好きと言われても理解出来ません。どこが好きなんですか?って返したら『顔』って一言返したって聞いた。」

「終わっとるのぅ」

「最低ですね」

「正直に言えば良いってものではないね」

「こんなカスに誰が発言権を与えとったんや?」

「おぬし、よくもまぁ偉そうに我に意見してたのぅ」

なんかいきなり立場が怪しくなったぞ?

あれ?

「おいおい、過去のことを見ても仕方ないだろ。未来を見据えて生きていこうぜ!」

「愚者は経験したことからしか学ばん、我々賢人は歴史から学ぶことができる。チビ助はこんなやつになってはいかんぞ」

「そうだね、レティちゃん。馬鹿に道を説かれて危うく行く先を間違えるとこだったよ」

「さて、目的の龍の涙も手に入ったし、新しい武器防具が楽しみだなぁ」

背中に刺さる視線を振り切って、俺は前へと進んでいく。

未来は前にしかないのさ。


さて、ところ変わって宗近の前。

相変わらず呑んだくれて寝ている。

清々しいほどの中毒者。

これ、ほんとに大丈夫?

「ちょっと準備するからそのまま寝かしといてくれてえぇわ。起きてたら面倒臭いしウザいやろ?」

レズンを除く全員が頷く。

「こんな奴が名匠なのか?」

「らしい……起こすなよ、酔っ払いなんて相手するだけ無駄なんだから」

「妙さん、そこじゃ……」

おい、信奉する神が変わってんぞ?

和子さんはどうしたんだよ。

ちなみにレズンは武器防具を必要としない。

自分の爪とか牙を使ったほうが強いからな。

なので興味を持てないのか、寝ゲロしてる宗近を無視して何やら手紙を書いている。

覗き込むと、レズンは身体で文面を隠す。

「なんだよー見せろよーラブなレターなんだろ?」

「ふん、おぬしは情緒を知らんようだからな。要らぬ知恵は入れぬ。ワインに泥水を垂らすようなものだ」

「レズン、こっちに来なよ。皆で考えよう」

ニナに声をかけられてレズンは筆と紙を持って立ち上がる。

そして、皆と一緒にラブレターの作成に勤しむ。

あぁでもない、こぅでもないとわいわいやっている様子に「いーれーてー」の声がかけられない俺。

なんだか寂しい。

そうこうしていると、ジルベロが一升瓶を手に宗近の住処に戻ってきた。

「これが神酒に龍の力を宿した酒……龍神酒や」

アル中の職人、恋文を書く龍、混沌とした場に置かれた一升瓶。

そこから感じられる静かな力。

盃に注がれた瞬間に広がっていく世界。

酒から立ち上る気配はただの香りではなく、確かな“力”として場に満ちていく。

それはまるで、龍の命そのものを溶かし込んだかのような、荒々しくも神聖な気配だった。

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