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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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80/106

80話

「つまり、神との交信がどうのこうのじゃなくて、酔えれば良いってことか?」

「単純にそうやったら、まだ良かったんや。うっとうしいことに、コイツは飲んだ酒の格に無駄に影響されるんや」

「なにそれ、安酒だと悪酔いする的な?」

「そんなもんやと思ってくれていい。不味いことに、今回えぇ酒をたらふく飲ませてたんやけど、その酔いを覚しもた」

「酔っ払いがそのまま鍛冶場にはいるとは思わねぇよ」

「まぁ、その点は説明せんかったのも悪いと思てる」

「和子さんや、今度はこの縄で縛ってくれんかのぅ」

「もはやコイツになんの敬意も残っちゃいないんだが、変わった神との交信だな、オイ」

「どうしようもない奴ではあるんやが、腕の方は一級品や。こいつ以外に兄さんらの武器防具は打てんやろうな」

「……ちょっと前から気になってたけど俺の呼び方が変わってるな。やっぱり気付いた?」

「そら、わかるやろ。兄さんら、殺しても死ななそうやったしな。死んだって聞いた時はビビったわ」

「色々あったんだよ」

「それにしても隠すのが下手すぎや。まぁ、個性の塊しかおらん兄さんとこのパーティーが隠しきれるとへ思えんけどな」

「だよなぁ。見た目を変えても分かるやつにはすぐ分かっちゃうよなぁ」

「何がベティちゃんやねん。一文字しか変えへん雑さを反省せぇや」

「確かに雑!」

「溢れ出す神性は抑えきれんからのぅ」

「こんな頭の悪そうな発言するやつはそんなにはおらん」

「まぁ、事情があって一応、死んだことにしてる。人類最強に狙われてるんだよ。なるべくなら戦いたくないけど、備えはしておかないと不味いからな」

「兄さんらが最強っていうレベルのヤツなんやろ、そんなんもぅ人間ちゃうで」

「俺もそう思う」

「まぁ、兄さんらも十分領域におると思うけどな……それで、そいつと戦える武器防具なんやろ? やったらやっぱりこのカスしか適任はおらんな」

「良い酒がいるってことだけど……」

「まぁ、酒自体はえぇねん。新酒の類がここにはたくさんある」

「じゃあなんで?」

「こいつに飲ませてたんは、特殊な酒や。あるもんを新酒の中に混ぜることで宗近の力を覚醒させる酒が完成する」

「あるもの?」

「龍の涙や」

「龍の……」

「涙だと?」

「せや、血とか鱗やない、涙や。単純に龍を倒したところでどうにもならん。涙を流させること、それが難題や……」

俺たちは目を見合わせて、笑い合う。

真剣に悩むジルベロが逆に面白い。

「龍の涙、案外すぐに手にはいるかもしんねぇぜ?」

「ほんまか?」

ジルベロだけが知らない新メンバー。

レズンはこの世界で最も古い龍だ。

そして、シリウスの選抜に残る強者の一人だ。

その涙は特別なものになるだろうよ。

コレは期待が大きくなるのもやむ無し。

さっそくレズンを回収しに行こう。

アイツ、どの辺りまで来てるのかな、行き違いにならなければいいんだが。

「じゃあ、いくか」

「じゃのぅ。こんな方向でヤマタノオロチが役に立つとは思わなんだ」

「兄さんら、アレを狙ってるんか? 倒せばえぇっちゅうもんやないって言ったやろ?」

「アレが良い仕事したってだけだ。別のアテがあるんだよ」

「まぁ、えぇわ。 とりあえずついて行くとするわ」

そんなわけで、俺たちは来た道を逆戻りすることになった。

宗近は架空の和子さんとやらと戯れている。

何が神との交信だ。

幻覚まで見えるとか末期もいいとこじゃねぇか。

放っておいて大丈夫かなと思ったけど、ジルベロ曰く「いつものこと」らしいので放置することにした。

道中の集落でレズンのことを聞いてまわってみたけど、そんな奴は来なかったという話しかされなかった。

何してんだ、アイツ。

そんなことを続けて、道をひたすら戻ること数回。

共和国と日出る国を結ぶ洞窟へと帰ってきた。

「行き違いになってたりしてないよなぁ」

「少年のような見た目でここの人たちとは違う服装のレズンが村に来ていたら、嫌でも目立つと思うよ」

「だよなぁ」

「ということは、まだこの中にいらっしゃるということなのでしょうか……」

「迷わず行けよ、行けばわかるさ!」

「のぅ、なんか聞こえんか?」

洞窟の入り口から聞こえてくる音に耳を澄ませるレティ。

確かに、うっすらと聞こえる……

おろろーんおろろーん……

悲しげな慟哭が洞窟の中から響いている。

アイツ、まだ泣いてんのかよ。

どんだけ打たれ弱いんだよ……

「……まぁ、これで目的のものはゲットできるんじゃないかな」

「そうかもしれんけど……」

ため息をつきながら洞窟の中を進んでいく。

洞窟全体を振動させるレズンの泣き声が段々と近くなってくる。

そして、問題の滝の前の広場に到達した時、俺たちの前には湖が広がっていた。

天井には岩盤に突き刺さったままのレズン。

その隙間から流れ出る涙が洞窟内に新たな湖を作り出している。

「さぁ、ジルベロ君。目的のものはここにある。好きなだけ持っていくといい」

「は、何を言っとるんや?」

「あれが龍の涙だ! 貴重なものなんだろ? そうは見えんけどな!」

ジルベロが天井に刺さりながら泣き続けるレズンと、目の前に広がる湖を交互に見ている。

「あんなに泣き続けて脱水症状にならないのかな?」

「あの小さな身体からこれだけの水が出ることのほうが不気味!」

「何を言ってるのか、ようわからんのやが……アレ、兄さんらが連れてた新しいメンバーやろ?」

「そうだぜ。その正体は伝説とされている古龍、その名もレズンだ」

「あれでも千年を生きる古龍じゃ、レアじゃぞ」

おろろーんおろろーん。

伝説の古龍の悲哀に溢れる声が響く。

「アレがか?」

「おぅ! アレでもバチクソ強いぜ? 本当は城一個分ぐらいある超巨大な龍だ」

「……なんかコメントするのも馬鹿らしなってくるわ」

考えることをやめたジルベロは水筒を湖に浸す。

俺たちはジルベロがレズンの涙を集めている間に、レズンを天井から抜き、地面に寝かせる。

「大丈夫か? いい加減立ち直れって……」

「いつまでも泣き続ける男に女が靡くとでも思っとるのか、この愚か者めが!」

「ほら、泣き止んでください」

ありとあらゆる液体を顔面から流すレズンに皆が声をかける。

飴と鞭がレズンに浴びせかけられ、少しだけ立ち直ったかのように見える……気がする。

「ほんまや……この水、異常なほどの魔力を帯びとる」

「鼻水も混じってるけどいいか?」

「うわ、ばっちぃ!」

そう言いながらも涙自体には問題ないらしく、ジルベロはレズンの涙を回収していく。

「これだけで人生百回遊んで暮らせる金になりそうやな……」

「なん、だと……?」

「こんなところに金脈が!」

まさかこんなとこで貧乏生活にも終止符が打たれることになるとは!

鱗とかも売れそうだな。

悲しみに暮れるレズンがお金に見えてきた。

とりあえず、感謝の意を込めて拝んでおこう。

ありがたやー

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