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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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67話

ここへ封印されし北の大地。


何故国から行き来を厳重に管理され封印されておるのかは誰も知らない。

そもそもここはおとぎ話でしか聞いたことのない場所で、存在すら伏せられていた。


俺たちウルフズレインとマスカレイドナイツ、両パーティーが同時に召集されたこと自体が、この依頼が今までと異なるものである証だった。


帝国で最優と呼ばれるマスカレイドナイツ、それと双璧と呼ばれるランク5パーティーのヴァンガード。


本来ならばヴァンガードが今回の依頼を受けるべきだったであろう。

だが彼らは別の依頼を受け、連邦国へと向かっているそうだ。


そういった敬意があり、俺たちが召集されたわけだが……

気に食わないのは他を差し置いて、たかだかランク3の奴らが同じように集められたことだ。

もともと噂には聞いていた。


ミーレスを最短でSランクに到達し卒業、さらにランク3になるのも同様。

強さに特化した奴ららしいが、パーティー名も適当で「鶏めし」とか言うフザケた名前だ。

登録時にとりあえずつけたとされる名前はギルド食堂の名物料理だ。

本当に気に食わない。

コイツラのせいで「鶏めし」を食う気になれなくなったのも気に食わない。


いや、この話はもうよそう。


今はこの最難関の依頼に集中すべきだ。


ここまでの道中で、俊敏で獰猛な黒虎やそれまでに見たこともない巨大な体躯のモンスターと戦い、極限の中、俺たちはここに来た。


途中、マスカレイドナイツと合流し、協力して調査することになった。

この白い世界で生き残る為、お互いの力が必要だという判断だ。


あのムカつく「鶏めし」どもは、恐らく駄目だろう。

姿を見なくなって久しい。

馬鹿なヤツラだ。

アイツラは判断をミスったのだ。


「おい、ファング、あれを見ろ!」

それは明らかに異常だった。

マスカレイドナイツのリーダー、ハンスが指差す先。

この何処までも雪に覆われた大地に剥き出しの黒い建造物と思われるものが見える。


「あれは……城なのか? 城壁のようなものや崩れた塔が見える」

「あぁ……こんな誰もいない世界で何故?」

「おとぎ話では、蒙昧の魔女レティシアの居城はここ、北の封印されし大地という話だが……」

「それと今回の古龍調査が関係しているのか?」

謎が謎を呼ぶ。

俺たちは材質も目的も分からないその建造物の調査に踏み込んだ。


「見ろ、これを!」

紅く光る鱗のようなものがそこらに落ちている。

それは熱を帯びているようで、地面を焼き炭化させていた。


「熱い……これのせいで雪が溶けていたのか」

「とにかくこれを持ち帰ろう。 古龍の実在を示すものになるかも知れない」

「コイツがまだ暖かいと言うことは、この鱗の持ち主がまだ近くにいるかも知れん、急ぐぞ!」


俺たちは、この謎の建造物を調べて古龍の痕跡を集め始めた。

しかし、この判断が大きな間違いであったかもしれない。

俺たちはすぐに撤退すべきだったのだ。


「あ……ぁああ」

隣のライカが怯えている。

震える指先が指し示す先、遠くに見える雪山と雪山の間、それがいた……


まるでマグマが吹き出す火口のような紅く光る巨大な生物。

いや、生き物かすら怪しい。


段々とこちらに近付くにつれて、その輪郭が、そしてその大きさがはっきりとしてくる。

誰かが言った。


「あれが、古龍……」

ハンスが暗くなった空を呆然と見上げている。

あらゆる困難に打ち勝ち、今の地位を築いたあのマスカレイドナイツの面々が、ただその恐怖に己の身体を縛り付けられている。


大地を覆う巨躯、そして鋭く射抜くような輝く古龍の眼光が俺たちを見下ろしていた。

「矮小な人間共が……我の住処に何のようだ?」


腹の底から響く、俺たちの命の終わりを告げる地獄のような声が鼓膜を震わせる。


「何のようだと問うている」

自分の住処に鼠がいれば人間だって駆除をする。

古龍から見れば所詮俺たちウルフズレインも、帝国の輝ける星マスカレイドナイツも、何も変わらない、ただの矮小な生き物にしか過ぎないのだ……


「……答えるがよい」

どうにもならない、なるわけがない!

眼の前の超常の存在に、ただただ打ち震え、声すらも出ない。

俺たちの命はここで終わったのだ……


「バカヤロウ! 何ぼぅっとしてんだ!」

頬に走る衝撃で俺は地面に倒れ込んだ。

何だ、何が起こったんだ?


目に映る小石から視線を上げると、男が拳を握っていた。

「早く逃げろ! 俺たちが時間を稼ぐ!」

男の名前は……ミルズ!

「鶏めし」のリーダーだ!


倒れ込んだままの俺の反対の頬に再度衝撃が走る!

「ぐわぁ!」

「早く逃げろって言ってんだ!」

呆然とする俺にさらに殴りかかろうとするミルズ。

その手にはメリケンサックが握り込まれている。


「待て! もう大丈夫だ!」

俺の正気を取り戻させる為とはいえ、メリケンサックは少し殺意が高くないか?

「おい、もう大丈夫って言ってるだろ、それ以上近づくな!」

「えっ? そう? そうか」


男は残念そうに肩を落とす。


「動けるなら早くここから離れるんだ! 俺たちがコイツを引きつける!」

「正気か?」

「誰かがこの事を帝国に知らせないと駄目だ! それは俺たちじゃなくて、お前たちがやるべきなんだ!」

ランク3の冒険者である自分たちより俺たちの方が信頼性が高い、その後の国の動きも迅速になる。

そうミルズは言っているのだ。


「モウサッサトイケヨ……」

何か小声で呟いたけど、なんだ?

それに微妙に言葉の節々がぎこちなくて演技くさいような……


「早く!」

ミルズが深くメリケンサックを握り込む。

やめろ!

「あぁ、わかった! 行くぞ、お前たち!」


俺たちウルフズレインとマスカレイドナイツは逃げ出すようにこの場を離れた。


遠くで激しい戦闘音が鳴り響く。

アイツら、古龍に闘いを仕掛けてやがる……

なんてヤツらだ!


アイツらの命は無駄にしない!

俺たちは必ずこの情報を帝国に持ち帰るんだ。


振り返ることなく、白い大地を踏みしめ、俺たちは帝国へと突き進んだ。

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