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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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59話

共和国のトップ層が不思議な力で一掃されてしまったので、ティアーゴたち御一行は国に戻ることになった。


2人は何年か振りの兄妹水入らずで、とても仲が良く帝国内をデートしていた。

レティの認識阻害の魔法も要らなくなったので目隠し用のアイマスクだけになった。


そうだ、もう姿を隠す必要もなければ、帝国にいる理由もないんだな。

ティアーゴと一緒に共和国へ帰ったりするのかしら。


そんなことを考えてたからティアーゴ御一行が共和国へ帰る日までローザと微妙な距離が出来てしまった。


いや、こっちが勝手に距離を取っているだけなんだけど、なんだかなぁってさ。


だって別に付き合っているわけでもないし、パーティーメンバーが入れ替わることぐらいは冒険者としては日常茶飯事だ。


家族といる方が自然だし、これからティアーゴは大変だろうし、そんな風に情けなくウジウジ考えていた。


そんなこんなで、お別れの日が来てしまった。


帝国と共和国の橋渡しになるティアーゴたちは割と大々的に送り出されることになっていて、ちょっとしたお祭り騒ぎだ。


こんなに大勢から見送られるなら、俺一人いなくてもいいかなって、そそくさと逃げちゃった。

ローザと別れるってなったら実際どんな顔をすればいいかわからない。

笑えばいいのか、行かないでくれっていって泣きつけばいいのか。

娘と年の変わらん子に対して、どう接するのが大人なんだ?

おっちゃん、わからなくなっちまったよ。


そんなわけで一人で街を一望できる公園で暮れなずむ夕日を背にブランコを一人漕いでいた。

この情けない姿が今の俺にはぴったりとハマっていた。


地面に映える枯れかけた雑草を見ていたら、ふと足元に影が伸びる。

自分の行動とは裏腹に期待を込めた目をむける。

しかし、それはすぐに裏切られる。


「……なんだ、メイか。」

「何だじゃないよ、何してんのさ、こんなとこで。」

ふぅっとため息をつく。

そんな俺を見て、メイも深くため息をつく。


「みんな行っちゃったよ?」

――みんな――という言葉が頭の中で繰り返される。

あぁ、やっぱりかという想いが心の中に暗いものを落とす。


「はぁ〜、ほんっと父ちゃんは他人の気持を思いやるフリして自分のことしか考えないよね。 そういうとこだよ、そんなだからお母さんに愛想つかされるんだよ!」


ぐぅ、なかなか芯をつく言葉を吐きやがる。

心が痛い!


「ローザの気持ちをちゃんと考えた?」

「そりゃ考えたさ! だから……」

「だから何さ! ビビってこんなとこにいるとかマヂ小さい!」

「だけどさぁ!」

「だけどもクソもないよ、このバカちんが! 傭兵は神速を尊ぶんだよ! 走れ!」


思いっきり背中を叩かれて前のめりに地面に倒れ込んだ。

「ぐぅおおおーー鼻が!!」

こいつ何しやがる! 擦り切れて鼻がなくなるだろが!

のたうち回る俺の視界にまたも伸びる影。

「お前なぁ!!」

ぐわっと顔を上げた先に映ったのはメイとは全く別の人物、ローザだった。


逆光で表情は見えない。

だけど……


「私、怒ってます。」

輪郭が少しふっくら膨らんでいる。


「私がそんなに薄情な人間に見えますか? あなたには私がどう映っているのですか? 私は……必要ありませんか?」

「そんなわけ……ないじゃないか。」

「ならばどうして! 私が国に帰ると! 決めつけたんですか!」

「それは……」

「何故本当の気持ちをぶつけてくれなかったんですか! 何故逃げたんですか! 私がパーティーに入った時、私を守るって言ったじゃないですか! あれは嘘だったんですか!」

嘘じゃない。

あの時言った言葉は本当だ。


「だけど、大切なのはローザの気持ちじゃないか。」

「じゃあ、私の気持ちを大事にしてください! 何故誰からの気持ちも、真正面から受け止めようとしないんですか! 逃げてばかり、のらりくらり! 本当、駄目な人!」


逃げてばかり……

格闘技の世界でうまくいかずゲームに逃げて。

家族に甘えて現実世界から逃げて。


戦うことが自分の生き甲斐だったはずなのに、いつの間にか逃げてばかりだ。


人の気持ちからも……


「こっちを向きなさい! ほら、シャキッと立って!」

情けないにも程がある。

手を取られて立ち上がる。


「ほら、言って!」

「行って……欲しく……」

「言いなさい!」

「一緒にいてください。」

自分の気持ちを、誰の気持ちも考えずに、はっきりと言った。

自分でもそれが正しいのかもわからないけど、今の正直な気持ちだ。


ローザは微笑み……

「はい、喜んで。」


そう言った。


それはとても優しい笑顔だった。


「全く、ヌシは何を言っとるんじゃ。 まずはワシに言うべき言葉じゃろが!」

いつの間にかレティがローザの隣にいて、俺をゲシゲシと蹴る。

「ほんっと、駄目駄目だね! こっちの気持ちを考えてない!」

ニナが俺にもたれかかる。

いつの間にかみんな揃って、なんだかいつも通りになってしまった。

だけど、いつもとは何かが違う。


けれど、それで良いとそう思えたのだった。


そう思えたはずだった。


「ハーレムとかマヂ引くわ、父ちゃん。 娘の前で何言ってんだ? おい、この脳みそどピンク、聞いてるか? おん?」


やっぱり違うかも知れない。





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