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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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48話

通気ダクトから塔内に侵入、気分はアクション俳優だ。

脳内で覚えのあるフレーズを何度もリピートする。


ここまで来るのに一悶着あったりした……


だってローザが考え無しにダクトに一番最初に入ろうとするんだもの。

しれっと2番手につけるジルベロの首根っこを掴み睨みつける。

「あかん?」

「に決まってんだろ」

糸目の上に鼻の下まで伸び切ったジルベロの顔面は端的に言えば変質者そのものだ。


ローザは自分の行いがいかなるものか理解しておしりを抑えて顔を赤くする。

ちょっと口先を尖らせて俺を睨みつける。

なんで俺が怒られるんだよ……


「あなたが2番目なら問題なかったのではないですか?」

えぇ……そういう方向の怒られ方なの?

いやいや、問題はあるだろ。


具体的に言ったら不味いがダクトで進めなくなっちゃう。


「ローザは一番後! 先頭はコイツがいくから」

「わかりました…… その優しさは嬉しく思いますが、時には強引なのも女性は喜ぶものですよ。」

少しツンとした空気を出しながら最後尾に移動するローザ。

俺はジルベロの肩をはたいて前に行くように促す。


「兄さんも独占欲強いなぁ。 パーティー内恋愛は崩壊の元なんやで?」

「黙れ、お前の欲がローザに向けられる方が余程我慢ならねぇわ。」

「イッヒッヒ」

ムカつく笑みを浮かべるジルベロ。

手元のナイフの切っ先をフラフラと俺の前を進む馬鹿のケツに向けてやる。

「お前、ケツの穴が増えても文句は言えんからな!」

「冗談ですて、あーこわ」

何度目かの曲がり角を過ぎたあとジルベロがダクトの換気口に触れる。


「お、ここやな。 兄さんら、行くで」

俺たちは順調に塔内の最上階に近付いていく。

このまま何事もなければいいんだが……


――

「カイン、下がって……」

メイの視線の先には衛兵の姿が。

しかし、ここを抜けないと最上階は行けない。


メイたちの部隊もここまでは何事もなく進んでこれだが、ここにきて大きな問題にぶつかってしまう。


「どうやらここは押し通らなければならないようですね……」

「兄様、制御盤のコントロールの奪取にどれだけの時間が必要かわからない以上、残された時間は少ないと見るべきです」

「そうだね。 メイさん、ここからは……」

「任せて、そっちの方が気が楽!」


メイは衛兵にむかってナイフを転がすように投げつける。

派手に音をたてながら地面を滑るナイフに衛兵が視線を合わせた時、彼の耳が捉えたのは風切り音。


しかし、その正体を知る間もなく、彼の意識は途絶えたのだった。


メイは静かに衛兵を抱きかかえ、通路の脇に隠した。


「定時連絡が途絶えて異常が発覚するまでに距離を稼ぐよ! ダッシュダッシュ!」


メイの言葉にヘルクスハイン兄妹は頷き、通路を抜けた先の階段へと急いだ。


――

レティたちの眼の前にはフル装備の衛兵が10人ほど、さらに後続が控えているようで塔のエントランスホールは騒然としていた。


すでに何人か事切れた衛兵を後にレティは杖を突き出し魔力を集める。

「ワシを抑えるのにそれだけで足りるかのぅ。」


圧倒的な魔力を前に衛兵たちは恐れを抱き、後退る。

彼女の後には元は頑丈な扉だったものが横たわっていた。


それでも続々と現れる応援に支えられ、彼らはなけなしの勇気を振り絞った。

「貴様ら、一体どこのものだ!」

「その疑問は最もだけど、それに答えると思うかい?」


ニナの美しい歌声が、彼らには深い眠りに誘う鎮魂歌となる。


彼女が舞い、歌う姿が現実味を奪い、衛兵たちの中に恐怖を刷り込んでいく。


その中をアクセルが進んでいく。

彼の後には赤い影が広がり、誰も近付くことができなかった。


「逃げるなら追いません。 出来れば命を大事にして下さい。」

アクセルの血に染まった優しい笑みは、その言葉とは裏腹に衛兵たちの心をドス黒く染め上げた。


「ククク、ほら、逃げんと大事な命が刈り取られてしまうぞ?」

そう言うとレティは練り上げた魔力を解放する。


甲高い音が一瞬衛兵たちの耳を襲ったかと思えば、いつの間にか塔の外壁に巨大な穴が開いていた。


まるで最初からそうであったかのような空間は、衛兵たちの勇気を四散させるには十分に効果的であった。


一度火がついた恐怖心はとどまることを知らず、その波はあっという間に彼らの心を飲み込んだ。


総崩れとなり逃げ惑う衛兵たち。

その中でただ一人、杖を振るって高らかに笑う少女。

「カカカ、ほら急ぐんじゃ! 死神はヌシらの都合など考えてはくれんからのぅ!」


しばらくの後、3つの塔の内の一つは静寂に包みこまれていた。

塔内には低く唸る機械音だけが残っていた。


静かに杖を構え直しレティはニナとアクセルを見る。

「クク、計算通りじゃ。 あとはゆっくり進むとしようかのぅ」

「あの階段がないんですがどうやって登るんです?」

「なんじゃと!」

レティが消し飛ばした辺りの頂点に階段だと思われるものが見える。


「どうすんだい、レティ。 これもまさか……」

「うむ、計算通りじゃ!」

いつものように腕を組み反り返るレティ。


「さすがレティさんです! ゼロに何をかけてもゼロですから計算を間違うことはありません!」

「そうじゃろう、そうじゃろう。 ワシに任せれば全てがうまくいくんじゃ。」

相変わらずナチュラルに煽るアクセルに気付かず、カカカと高笑いを浮かべるレティは上機嫌だ。


「はぁ……どうしよ……」


頭を抱えながら天を仰ぐニナをかっぽり穴があいた塔に降り注ぐ朝日が慰めていたのだった。






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