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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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47話

陽が大地を照らしはじめるころ、3つの赤い塔は朝霧を割って浮かび上がっていた。


塔の先端は陽光を反射し、まるで氷の刃のように白く光っている。


冷たい空気に吐息が溶けるなか、メイたちは小さな山小屋の暖炉の前に立っていた。


「行きましょう」


カインが短く告げると、三人は暖炉の奥へと続く秘密の通路へ足を踏み入れる。

ジルベロから事前に伝えられていた、裏口の侵入ルートだ。


「ええか。塔の内部に入ったら、この通信機は使えんくなる。」


ピアス越しに、ジルベロの声が低く響く。


「えぇか、制御盤の制圧は十三時ジャストや。 早くても遅くてもあかん。 5分前行動とかいらんからな」


「了解!」

メイの返事に重なるように――


「フフン、任せておれ。ワシにかかれば容易いわ。」

と、どこか誇らしげな声。


ジルベロが苦笑混じりに続ける。

「姉さんとこは頼りになるな〜……エルフィーちゃん、そっちは問題ないか?」


「お前がその名で呼ぶな! それは家族にだけ許された呼び方だ!」

エルフリーデは憎々しげにピアスにむかって声を荒げる。

「おっと……すまんすまん、軽率やったわ。 そんなに大事な呼び名やったんやねぇ……」


ジルベロの言葉にエルフリーデは舌打ちをしたあと、通路を黙々と進んでいく。


カインは何も言わず、その背中を追うのだった。


――


同時刻。別ルート。レティ班。


「レティ、そっちじゃない! 指定ルートは逆!」

「カカカッ、心配はいらん! 正面突破こそワシが進むべき道よ! アクセル! 朱槍を持てぃ!」

「しゅ、朱槍? この杖のこと?」

「カカカッ、ヌシらついて参れ!」

「ちょっと、レティ!」


塔にむかってどんどん真っ直ぐ先に進んでいくレティ。


「これ、大丈夫なんですか?」

「さぁ?」

視線とジェスチャーだけで会話したあと、ニナとアクセルは彼女について行く。


くすんだ赤い塔。


入口には、銃と強化装備を身につけた衛兵が二人、微動だにせず立っている。

その姿は明らかに訓練された軍人だった。


――にもかかわらず、


レティは門の前を、散歩の感覚で通り抜けようとしていた。


「……おい、何をしている」

ガタイの良い方の衛兵がレティに声をかける。


もう一人はヘルメットのバイザーをおろしてはかけ、自分の視界を確認するように手を動かしていた。


「ふぁっ!? 急に声をかけるな、驚くじゃろうが!」

「驚いたのは我々だ!!」

「ぬ、ワシが見えとるのか? 認識阻害は完璧のはずなんじゃが…… なんじゃそれは?」


衛兵のバイザーを奪い、レティはバイザーごしにニナとアクセルを見る。


その視界はものを色で表す、いわゆるサーモグラフィーというものだ。


「ほぅ、熱を色で認識出来る魔導具か。 よく出来とるのぅ。 次は熱も誤魔化さんといかんな、レティちゃん失敗じゃわ」


バイザーを衛兵に返してその肩を叩いてレティは進んでいく。

衛兵は呆然とレティの背中を見つめて固まっていた。


その後からアクセルとニナは衛兵に、すいません、ウチの子がみたいなジェスチャーで乗り切ろうと試みる。


そして、衛兵はお互いに見つめ合ったあと

「て、敵襲!」

「ですよね!」


塔の上空から警報がけたたましく鳴り響く。

塔の正面が一気に慌ただしくなり、兵士たちの足音が聞こえてくる。


「何しておるんじゃ! 見つかったではないか!」

レティがしまったという顔でニナとアクセルを叱りつける。


「はぁ……」

「あの人、あの……その……頭、大丈夫なんですか? 見つかったの、僕たちのせいって言ってるっぽいんですが……」

「レティはね、凄く頭がいいんだけど人の想像を軽く超えるほど馬鹿なのが玉に瑕なんだ。」


ニナの深いため息にアクセルはミルズたちのパーティーの苦労が見えた気がするのだった。



――

「あの馬鹿……」

俺の想像を超える方法で見つかりやがって……

伊達や酔狂で蒙昧なんていう二つ名はつかないってことか。


「おいおい、大丈夫かいな。 いきなり見つかってるやない」


当然の困惑を見せるジルベロだが、ローザは至って普通に冷静だ。


さすが俺たちのパーティーメンバー、ことレティに関する信頼の精度が違うぜ。


絶対値でしか表せない悲しみがあるが。


「まぁ、レティならなんとかするでしょう。 私たちは私たちの最善を尽くすとしましょう。」

「まぁ、あいつの心配をしても無駄だ、時間は有意義に使おうぜ。」

「兄さんら、ずっと姉さんとパーティー組んどるんやろ? なんちゅう精神力してるんや……」

呆れるているのか感心しているのかわからない表情のジルベロを置いて通路を進んでいく。


「あ、まってぇな! こっから先、複雑なんやから!」

ジルベロが慌てて走り寄ってくる。


波乱万丈のドライロート攻略――


それはまだ始まったばかりだった。

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