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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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45/71

45話

翌朝、メイとヘルクスハイン兄妹は共和国北部の森にいた。

事前のコンビネーションの確認の為だ。


「メイさん、左抑えて!」

「オッケー! あぃいいい!!」

メイの一撃がオーガベアの額に叩き込まれる。

頭部を強打されたオーガベアはよろめいて後退する。


その隙をついてカインの氷魔法が分厚く硬い毛皮に守られた巨体を容易く切り裂いていく。


メイはそれを横目で確認し、次のモンスターへと走り出す。

「エルフィー、8時方向の集団に幻惑を。 少しでもメイの動く時間を増やす!」


オーガベア。


ここ最近バストン共和国の頭を悩ませる大型の熊のモンスター。


理由は不明だが近年個体数を増やしていて、人里に降りてくる事が多くなり人的な被害も増大していた。


一匹だけでもランク3の冒険者達が苦戦する的だが、オーガベアは家族単位で行動する。


常に複数体との戦闘を強いられる為、ランク3のパーティーであっても合同で討伐に当たることが多い。


それをメイ達は3人で巧妙にモンスターからの攻撃を分散させ、各個撃破を繰り返しすでに数個の群れを全滅させている。


オーガベアの巨大な爪がメイへと迫る。

辺りにはオーガベアによって切り裂かれた巨木がいくつも倒れている。

その一振りは空気を切り裂き、金切り音をあげる。


メイはそれをダッキングで回避し、ボディ、フック、ローキックと流れるようなコンビネーションを叩き込む。


ローキックで体勢を崩した相手に貫手で目を潰し、間に割って入った別の個体を対処する。


次から次へとオーガベアを処理していくメイにカインとエルフリーデも呆気に取られていた。


最後の一匹の処理が終わった時、辺りには数十頭の死体の山が散乱していた。


「やることが……ないわ。」

回復と幻惑がメインのエルフリーデはほとんどの攻撃を回避し大きなダメージを負わないメイに対してそう呆れた声をあげる。


「凄いですね、メイさん。 騎士団にもそれほどまでに動けるのは団長クラスぐらいしかいないと思います。」

「まだまだ強くなるよ! ウチが今んとこ一番弱いと思うからね!」


想像以上のメイの力と、その言葉に驚きを隠せないカイン。

そして、エルフリーデは暗い表情で笑みを浮かべる。


「その力があれば……共和国の奴らをぶち殺すことができるわ……」

「エルフィー……」

「駄目駄目! 今回のお仕事は隠密だよ! 音もなく! 影もなく!」

「殺せばいいわ。」

メイの言葉をエルフリーデはそう繋げる。

その目は一点を見つめ、危ない空気を滲ませていた。


「エルフィー!」

カインが声を荒げる。

だが、そのアイスブルーの瞳に浮かぶのは怒りではなく、悲しみだ。


「お互いの力量はわかった。 もういいでしょ? 私は先に帰るわ」

エルフリーデは静かにそう告げると去っていった。


その背中が語るのは何なのか、彼女との関係性の薄いメイには推し量ることができなかった……


――

川原の岩に腰を落とすメイとカイン。

浮かない顔のカインにメイが疲れたから少し休もうと提案したのだ。


太陽の光を浴びて輝く水辺にメイは石を投げ込む。

ピョンピョンと軽い音をたて数回跳ねた後に水に沈んでいった。


木々の揺らめきの音にかき消されそうなほどの声でカインは話しはじめる。

「私たちは、共和国生まれのエルフィニアなんです…… 父と母は当時、魔導兵装の研究に没頭していました。 ですが、二人とも優しく忙しい中でも時間を作って私たちを大切にしてくれていました。」

そう語るカインの声は、かすかに震えていた。


ある時、ヘルクスハイン兄妹の両親は画期的な魔導機械の運用効率を上げる方法を開発した。

それは共和国に住むすべての住民を豊かにするものだった。


しかし、共和国のトップ層はそれを軍事転用することしか考えなかった。


現在の魔導兵装の運用にはにはヘルクスハイン兄妹の両親の発明がなければ、主兵装として配備されるようにはならなかった。


「両親は反対しました。 今のままでも十分に他国との折り合いをつけてやっていけるのに、何故軍事に用いるのかと。 そう言って研究データを秘匿したんです。」


そうして両親は逃げるようにして帝国に近い共和国の村へと兄妹を連れて隠れ住んだ。


「小さな家でしたが、母が作ってくれたスープの暖かさは今でも覚えています。 父と一緒に光る歯車を組み立てて笑ったことも……」


そんな暮らしが数年続いた時に、酷い怪我をした青年が村に流れ着いた。


「名前はロベルト。 私たち兄妹に色々なことを教えてくれた兄のような存在でした。」


川原に反射する陽光を伏し目がちに見つめて、カインの瞳はこれから起こる悲劇を投影させているのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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