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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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44話

ティアーゴ マルケージ。


29歳という若さでバストン共和国軍少将に上り詰めた新生の勇者。


小競り合いを含めたあらゆる他国との争いに参加し勝利を収めてきた。


この国がまだ理想を信じていた頃の最後の英雄――


「特に僕みたいな軍の若い奴らからは特に神聖視されとる」

「へぇ〜 あんまり大きな戦争は無くなったって聞いていたたけど、割と揉めてたのな」

「他国は常に自国の利益を求めとるからね、相容れへんところには色々あるもんや」

「相変わらずこの世界は喧嘩ばっかりしとるのぅ。 もう少し仲良くしたら良いとワシなんかは思うんじゃが」

「せやけどそうでなかったらティアーゴの栄達はもっとずっと後ろやったんは間違いない。」

「で、その若手中心のグループがこの国を憂いてって流れか」

「せやね」


なるほどなぁ。

戦争なんて創作物の世界でしか知らないけど、現実にあることだ……

その中に足を踏み入れている自覚はあるけどローザのことがある。

ここは避けて通れない。


「ほな、具体的な当日の流れを説明していくで」

当日、ドライロートには演習の為に最小限の兵士しか配備されないことになっている。


その演習の裏で俺たちは3つの塔に侵入する。

目的は――魔導制御盤のコントロールの奪取。


「他国への軍事力のアピールがあるからね、演習に出されとるから普段は配置されとる魔導兵装もその日はおらん」

「一度戦ってみたかったね、父ちゃん!」

「まぁな。 それに奪って乗るとかそういうイベントが発生するとかはなさそうだな」

「その分、残っている兵士は精鋭揃いや、その辺は君らに期待しとるで。」

それぞれの塔の最上部の魔導制御盤のコントロールの奪取には精密な魔法技術が必要となっている。

そこで、レティ、ローザ、ヘルクスハイン兄妹がそれぞれ分散してことに当たる。


護衛として予定通りにレティのとこにはアクセル君とニナ、ローザと俺、そしてジルベロ。

最期にヘルクスハイン兄妹とメイ、できる限り隠密行動を心がけるようにするけどそのあたりは臨機応変にということらしい。


いわゆる行き当たりばったりの出たとこ勝負というやつだ。


通信機となるピアスは塔の中でも使える。

「報告は密に。 制御盤のコントロールを奪う時間は13時ジャストや。 作戦時間も短い、気合入れて踏ん張ってもらうで。」 


全員が頷く。

サクッと終わらせていつもの生活に戻りたいところだ。


「ほな、長なったけど今日はこんなとこやな。各組で戦術とかは詰めといて。 兄さんとローザちゃんには2日後、時間作るようにするんで開けといてな。」


日も変わる頃、俺たちの1日が終わる。

街の灯は落ち、月明かりと街灯が街の静寂を照らしている。


「もう遅いし、部屋に戻るとするよ」

今日の宿は女子四人部屋と俺一人の部屋割りになっている。

メイは既に眠気眼をこすりながらベッドに倒れ込み、手のひらだけで返事を返してくる。


レティは腕を広げてこちらに来るように促してくる。

気恥ずかしいながらも応じないと帰らせてくれない気がするので従うと頭を優しく抱かれた。


「明日は特別じゃからな、許してやろう。」


なんて言いながら優しく微笑んでいた。

何のことかわからないが、今のレティには包まれるような暖かさを感じる……


ふとレティはローザに視線をうつした。

俺もそれに合わせて彼女へと視線を向ける。


ローザは何かを伝えようとしているが、声にならない様子だ。


無理をする必要はない、そう考えた俺は……


おやすみ――と声をかけ部屋を出ようとする。


扉に手をかけたその裾を引っ張られる。

「あの!」


ローザが震える手で裾をぎゅっと握りしめ、まっすぐに俺を見つめる。

マスクに隠された瞳には彼女の"決意と迷い"が同居しているように思えた。


「明日、お時間をいただけますか? せっかくなのでこのあたりを案内しようかと……」


いつもならぎゃーぎゃーと騒ぐレティが明日は特別だと言った意味もわかった。


ローザが決めたことなら従おう。


「うん、じゃあまた明日」

出来るだけ優しい声を作って……そう返事をして部屋をあとにする。


廊下はすでに夜の気配に沈んでいた。


木造の床がわずかに軋み、外からは虫の声と、遠くの街角で鳴る楽団の残響がかすかに届く。


ローザのあの手の温もりが、まだ袖に残っている気がする。


ローザだけでなく、ヘルクスハイン兄妹にもこの国には大きな関わりがあるという……


この国に来てから、どこか空気が違う気がする。


誰もが笑いながら、心の奥では何かを隠している。


明日はきっと、その「何か」に触れる日になる。


不安も期待も、今夜だけは月明かりの下に預けてしまおう。


枕に顔を埋めた瞬間、遠くで鳴る楽団の音が静かに消えていった。

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