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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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26話

ゴルドバの町に戻ると、予想以上の惨状が俺たちを出迎えた。

町のあちこちが地震による被害で崩れ、商店や民家の壁には大きな亀裂が走り、屋根瓦が散乱している。広場では住民たちが混乱し、慌ただしく駆け回っていた。

「結構な騒ぎになっとるの。」

「あぁ! あそこの屋台が倒れてる! 美味しいアイスの店だったのに!」

「しかし死人が出ているようではありませんね。」

「倒壊してるような建物もなさげだな。」

「それでも大変そう……」

町の人々は崩れた建物の片付けに追われているが、手が足りないのか進み具合は芳しくない。

「こりゃ、復旧に時間がかかりそうだな……」

俺が思わずため息をついたその時、ギルドの方から騒々しい声が聞こえてきた。

数人の冒険者がギルドの入り口で血相を変えて叫んでいる。

「大変だ! 5番から大量のアンデッドが溢れ出してるぞ!」

依頼に出ていた冒険者たちが町へと戻り次々に新たな情報が集まる。

外はまだ日が高く、夕暮れには早い時間帯だった。

「こんな時間に今までアンデッドが洞窟から出てくることはなかったのに!」

「冒険者を呼び戻せ! 町の防衛に当たってもらうんだ!」

「まずいぞ! 日が落ちる前に灯りを用意しておけ!」

緊張と焦りで怒号が飛び交うギルド内にさらなる急報が! 

「やっぱり外には出られなかったみたいだ! 日の光にやられて消えていってる!」

どこぞの喜劇のようにギルド内にいた人たちがずっこける。

「なんじゃそら!」

「何が起こっているのかよくわからんな!」

ゴルドバへ来ていた冒険者は、その依頼の難易度から優秀なものが多く、時間が進むごとに情報の精度が増していく。

「だがいずれ日が落ちてこの町にもアンデッドどもが到達するぞ!」

「時間はまだある! 迎撃の体制を整えるんだ!」

ギルドの職員たちはすぐに頭を切り替えてやるべきことをそれぞれがこなしていく。

冒険者も戦いに向けて準備を整えていた。


そこへ俺たちにとって最悪の情報が舞い込む……


「5番の地下に大穴が開いて、その中には古代の城と思われる建造物があるようだ! アンデッドはそこから湧き出ている!」

"城"というワードに俺たちは反応する。

"暇だったから城とか作った"と、どっかのアホが言っていた覚えがある。

まさか、それが残ってたりしないよな?

俺たちのそう問い詰める視線を受けて、レティも後ろの誰もいない虚空へと視線を向ける。

「おまえや!」

スパンとレティの頭を叩く。

「待て! 落ち着け! 確かに城はワシかもしれんよ?」

「おまえ以外に誰が地下に城を作るんだよ」

「聞くのじゃ! 城はワシ。 それはよしとしよう」

「よくねえよ!」

「じゃが、大量のアンデッドはワシとは関係ないと思うんじゃよ。」

「確かにそうな気もするけど……」

「レティだもんね!」

全員が深く頷く。

コイツは何をするかわからない。

最悪を想定してもさらにその斜め上の結果を叩き出しそうだ。

「じゃったら直接見に行けばよかろうが!」

「だからアンデッドが大量に湧いてるって話だろが! 頭が沸いてんのか?」

「ワシを誰じゃと思っとるんじゃ!」

「あまりの頭の悪さに童話になる蒙昧の魔女さんだろが!」

「誰がアホじゃ! あの城、誰が作ったと思っとる! このワシじゃぞ?」

自信たっぷりに口角を上げ腕を組むレティ。

いつものポーズだ、嫌な予感しかしないが……

 

「中にはゲートクリスタルがあるのじゃ! じゃからそこまで飛べばよかろう。」

「おぉ……まさかコイツの脳みその代わりに入っているビー玉からまともなアイデアが出るとは……」

「どしたの、レティ? ぽんぽん痛い?」

不調を疑い皆から心配されるレティ。

ローザなんて何が原因かわからないから解毒や解呪魔法までかけている。

「ヌシら、ワシをなんじゃと思っとるんじゃ」

「天災!」

「急に褒めるでない、照れるではないか」

頬を少し朱く染めて指でぽりぽりするレティ。

やっぱりアホだな。

「直接見に行くのは僕も賛成なんだけど、町に来るかもしれないアンデッドはどうするの?」

「それはワシのせいじゃないから知らん。 それに城に原因があるなら根本を叩いた方がええじゃろ?」

「なるほど、確かにそうだね」

うんうんと頷くニナ。

原因の第1候補がまとも風なことを言ってやがる……

まぁ、話が進まない。

ここは素直にレティに乗るとするか。

 

こうして俺たちはレティの移動魔法で古代城へと向かうのだった。


――

「ジョウジョカ、3時方向! セリアスは大通りに沿って水を!」

ジョウジョカが走り出し、セリアスへと近付くシャドウたちを一掃する。

その隙にセリアスは水魔法で通りの敵を押し流し、自分たちの進む道を切り開く。

「あちらへ!」

ラセルナが行き先を指さして先頭を走り、後にセリアス、ジョウジョカと続く。

彼らの視界に、目的の城が入る。


遠目に見れば、堂々たる石造りの城郭。

壁面は精巧な石積みで組まれ、尖塔の角度も狂いなく、技術的には相当なものだと一目で分かる。

だが、近づけば近づくほど、違和感が増していく。

塔の一つはゴシック調、隣はまるで東方風。

城壁には見覚えのない動物のレリーフが刻まれているが、躍動感も荘厳さもない。

精度の高い彫刻や堅牢な構造に、建築知識の豊かさは感じられる。

だが、それらはまるでパズルのように無秩序に組み合わされていて、荘厳さよりも混沌とした“個人の趣味”が前面に出ている印象だった。


「少なくとも私たちが学んだ歴史にはこの地方に国なんて存在しなかった。 だけど、地下にこれほどのものが建てられることを考えると……」

「歴史の謎だね……」

「考えるのはあとにゃ! とにかく城へ入るにゃ!」

ジョウジョカに急かされ3人は城門をくぐる。

「ジョウジョカはまず城内の様子を確認! セリアスは城門を利用して近付く敵を限定、範囲魔法で焼き払え!」

ジョウジョカは素早く城内へ侵入し索敵を開始する。

セリアスは魔力回復用のポーションを飲み、眼前の敵へと放つ魔法を構築する。

自身の魔力量の限界を感じながらも冷静に自らに課せられた仕事を遂行する。

辺りを見回し、ラセルナは考える。

 

この敵の量……突入は無謀だったか?

しかし、ここには"何か"がある。

城から感じられる魔力は、既に身体に纏わりつくような感覚を受けるほどに濃厚だ。

だけど、もう限界に近い。 

「ラセルナ!」

セリアスの叫ぶ声が思考を戻す。

これ以上は……

ラセルナはスクロールを握りしめ城門に迫りくる敵を睨みつける。

「ラセルナ! 敵が城門前で止まっている! コイツら、ここに入れないんだ!」

「城の中にも誰もいないにゃ!」

まるで城を守る結界が張られているかのようにアンデッドたちが門の前で立ち尽くしている。

理由はわからないが僥倖だ。

戦闘の連続の中、ようやくたどり着いた城で一息つくことができた。 

「何なんでしょうか、ここは……」

城内は悪趣味な外観とは異なり統一感のある落ち着いた雰囲気。

ただ柱一つにも巧緻な紋様が刻まれ、その技術力の高さと芸術的な価値が感じられる。

「わからん。 だがここの城主はアンデッド嫌いなのかもしれんな」

「一息つけてよかったにゃ、セリアスが魔力切れでぶっ倒れるところだったにゃ」

城門前から去っていくアンデッドたち。

理由は不明だが、とにかくここは安全地帯のようだ。

そのことを確認した3人は一度休憩をはさみ、この先の準備を整えていく。

「流れで考えると、次は城の中でボス戦にゃ」

「誰もいない城に城主がいるとは限りませんが……」

「だが、息苦しさすら感じる濃厚な魔力、"何か"があるのは間違いない。」

「城の調査もしたいところですが……時間は有限です。 その"何か"のところに向かうとしましょう」

三人は立ち上がり、目的地へと向かう。

 

おそらく場所は玉座だろう。

ねっとりと身体に纏わりつく魔力から感じる流れを道標に彼らは歩き出すのだった。

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