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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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25話

今日は“通称4番”と呼ばれる洞窟での戦闘だ。

正式な名前は忘れた。

だって、8番まであるんだもの。


ここに巣食うのはスケルトンタイプのアンデッド。

戦闘スタイルは様々で、装備も長剣に盾、両手剣、棍棒や杖など多岐にわたる。


アンデッドの基本戦術は、どうやら“物量で押す”ことらしい。

味方ごと魔法をぶっぱなし、両手剣で味方もろとも薙ぎ払う。

そこに仲間意識なんて言う概念は存在しない。


そんな相手には、できるだけ地形を活かして戦いたいところなんだが……


この洞窟の奥には広場があり、その先は海へと続いている。

周囲の岩場はタコやイカ、貝類が豊富に採れる優良な漁場で、依頼料も高い。

だが冒険者にはあまり人気がない。


理由は単純。

狭い道を抜けた先に大量のスケルトンが待ち構えているのに、狭い道そのものには近寄ってこないのだ。

結局、広場で戦うしかない――つまり、初手から囲まれた状態での戦闘が強いられるってこと。

しかも巻き添え上等の戦術を取られた日には、目も当てられない。


……昨日、“もっと強い敵と戦いたい”と希望した俺たちに対し、有難いことにギルドはその願いをしっかり叶えてくれたらしい。


ちなみにここの攻略情報はすでに出回っていて、最初にやることがある。

それは最初に広場に入ったヤツが敵の魔法の集中連打を耐え凌ぐこと。

何の属性魔法が飛んでくるのかわからない。

だから全属性に対応できるけど効果の薄い耐性魔法を使うか、特定の属性をカットするかになる。

俺たちは前者を選んだ。


「まぁ、当然……俺だよな?」

「うむ、それ以外にないじゃろ」

「まぁ、バフもりもりでいけば大丈夫か」

「頑張って回復しますので」

「父ちゃん、よろ!」

「気を付けて!」

「ミルズ行きまーす!」

通路から勢いよく飛び出して盾を構える。

眼の前には大量のスケルトン。

入るなりこちらを見てカタカタと歯を鳴らして一斉に詠唱を開始する。

フェイから貰ったのはミスリル製の武器防具、魔法耐性の高さを信じて覚悟を決める。

そこからはひたすら我慢比べ。

 

もう熱いやら冷たいやら、切られたり水で吹き飛ばされたり土の塊をぶつけられたり……

この怒りはコイツラにしっかり返してやろうと決意する。

倍じゃ足りんからな!

 

そして、魔法の雨がやんだその瞬間を見計らい、全員が広場へと突入した。 

「ほぅううワチャーーー!!」

突貫してくるスケルトンに対してダイナミックな飛び蹴りで数体を吹き飛ばすメイ。

 

「よく頑張ったのぅ、あとでよしよししてやろう」

「これ膝枕券5回分です。 いつでもどうぞ」

レティは魔法攻撃を放とうとしている敵に対して土魔法で応戦する。

ローザは魔法攻撃でボロボロに削られた俺を回復。

それぞれが状況を判断し、的確な行動を取る……はずだった。

「えっ? えっ? 僕は……えっと、お……お尻触ってもいいから!」

皆の軽口に自分も合わせようとした結果、見事に空回るニナ。

動揺しすぎてうまく舞えていない。

耳まで真っ赤にして……ふふ、後でちゃんと触らせてもらおう。


最初を耐え忍べばあとは魔法の的にならない様に立ち回り敵を撃破していく。

「ヌシ、娘っ子! 6時方向!」

「あいよ!」

「任して!」

戦場を落ち着いて俯瞰で見れるレティの指示に合わせてメイと俺が先行して道を開く。

敵の魔法は即座にローザが対処していく。

そして、移動しながらの戦闘で役に立つのはニナのスキル。

体力と魔力を徐々に回復させる特殊効果のある舞いはニナを中心に効果が発生する。

彼女のおかげでそれぞれが走りながらも自分の役割に徹することができるのだ。

俺たちは偶然の巡り合わせで結成されたパーティーだったけど、それぞれの長所を伸ばし、短所を補う。

とてもバランスの取れたパーティーだった。


1体、また1体と次々に撃破していき大量のスケルトン部隊はその数を減らしていく。

「これでぇえ、終わりぃい!」

最後の1体のスケルトンの頭部をメイの拳が砕く。

これにて依頼完了だ。

「ふぅう」

時間にして2時間ほどの連戦、さすがに疲れた。

その場に座り込んで休息を取る。

洞窟に入り込む波の音が涼やかで気持ちが良い。

戦っている時は気付かなかったが、緑の苔が淡く光り海を照らす。

波で光が揺らぎ反射して海がまるで光っているようだ。

「綺麗だね……」

「そうですね」

「懐かしいのぅ、今となっては遠い記憶じゃが、ここは覚えておるもの……」

レティが少し寂しそうな目をしていた。

いつも無駄な自信に満ち溢れ勝ち気な瞳が、今は遠い過去に思いを馳せているようだ。

「何じゃったかのぅ、名前は……ヨシュア、そうヨシュアじゃ」

そうレティが呟いた時、小さく大地が揺れる。

「また地震か」

「ちょっと長くない?」

「それにだんだん強くなってる気がします」

「ねぇ、僕、怖いんだけど! ここから出ない?」

小さな揺れが少しずつ大きくなり天井の小石がパラパラと落ちてくる。

数秒後にはかなりの揺れになり俺たちは出口に向かって走り出した。

崩れた岩が海に落ち大きな飛沫を立てる。


崩落の音が背後で響くなか、俺たちは滑る足元に気を取られながらも一気に駆け抜けた。

振り返る余裕もないまま狭い通路を抜け、どうにか外の光が差す出口へと飛び出す。

その直後、轟音と共に大量の岩が洞窟を塞ぎ、俺たちの背後を飲み込んだ。

「ふぅ、焦ったのぅ!」

「とかげの大発生だったり、今回の地震だったり、なんかイベント盛りだくさんだね!」

「町の方は大丈夫かな」

ようやく地震もおさまり、ゴルドバや他の洞窟の状態が気になった。

「このまま地震が続くようでしたら依頼も一先ずお預けになるかも知れませんね」

「とにかく一度町に戻ってみよう」

こうして俺たちは周囲の状況を確認するため、ゴルドバへと向かった。



少し時を遡る。

ここは5番、"音の回廊"

洞窟内部の天井には外へと繋がる穴が点在しており光が入り込む。

どこからかこの洞窟に入り込む風がその穴から抜けて笛の様な音を出すことからそう名付けられた。

 

「ここは当たりかも知れない。」

真剣な顔で計器を覗き込むセリアス。

他の場所とは違い、明らかに高い数値を指すこの場所が目的の場所であると思われた。

「確かに…… 試作機は2発しか打てませんが試す価値はありそうです」

ラセルナはそう言い、腰に巻き付けられたバッグからこぶし大ほどの釘のようなものを取り出す。

それを地面に突き刺したあと、怪しく紫に鈍く光る宝石を取り出し柄の部分へとセットする。

「いきます」

ラセルナがそれに魔力を流すと宝石は一瞬、強く光った後に粉々に割れる。

光は地面を伝うように広がっていき、やがて見えなくなる。

「うにゃ、ここも外れだったかにゃ」

ジョウジョカは目の前のスケルトンを殴り倒しながら二人の方を見る。

「いや……」

「当たりだわ!」

数秒後、地面が小さく揺れ始める。

回廊に流れ込む風が止み、静寂が訪れる。


それはやがて大地が軋む音に破られ大きな音を立てていく。

「にゃにゃにゃぁあ! これはまずいにゃ? 一度引くかにゃ?」

「ギリギリまで待つ! ラセルナ!」

「準備はしてあります」

彼女が手に持つのは移動魔法のスクロール。

巻物に刻まれた魔法陣が特定の効果を発動する。

ウィンダミアの誇る天才、ロザリカ・ナザリカにより発明された一品である。

「私から離れないで下さい!」

大きな揺れの中、三人は周囲を見回す。

回廊の天井が崩れ始め落石が洞窟内へとなだれ込む。

これ以上は危険か……

そうラセルナが判断しスクロールを発動させようとしたその時、地面の一部が大きく崩落した。

ほんの目と鼻の先、一歩間違えれば巻き込まれていたかもしれない……

冷や汗を垂らすラセルナは視線を大穴へと向ける。

 

天井の穴から漏れ出す光が、それを照らし出す。

崩落で開いた巨大な地割れの底――そこには、半ば土に埋もれながらも確かに「城」と呼べる構造物が存在していた。


風化した石造りの尖塔に、今は苔むした城壁。

さらにその周囲には、規則正しく並ぶ石畳の道や、朽ちかけた家々の輪郭が見て取れた。

まるで、誰かが途中まで建てて放棄したような――未完の城下町だった。


「城……? それに、町……か?」

セリアスが息を呑む。

ラセルナとジョウジョカも、しばらく言葉を失ったまま見下ろしていた。


人工的に作られたことは一目瞭然。

だが誰が何のために作ったのか……想像すらできなかった。

「どうする?」

「このまま調査を進めます。 今でなければ後から来る冒険者たちが邪魔になります」

「そうにゃんだけど……簡単にはいかないみたいにゃ。」

ジョウジョカが指し示す先にはシャドウたちが、まるでここの住人かのようにひしめいている。

「ですが、目的地はわかりやすい」

「そうですね。他のものは諦めてあそこに向かいましょう」

ラセルナの視線の先には謎の城。

そこからは明らかに異質で濃厚な魔力が内部から漏れ出しているのだった。

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