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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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マクシミリアンが目を覚ますと、そこは知らない天井だった。

目線を動かして周りを確認しても、やはり知らない場所だった。

唯一、いつもの風景と変わらないのは女神オフィーリアが側で微笑んでいることぐらいだった。

「ここは?」

「獅子の泉の近くの民家よ」

状況は理解できないままであったが、マクシミリアンは起き上がった。

まだ頭がはっきりと覚醒していないのか、少しぼうっとしている。

「何故ここに……」

という疑問をオフィーリアに投げかける前にマクシミリアンはあることに気付いた。

「ずいぶんと背が伸びたんだね、オフィーリア」

「私は変わらないわ、あなたの魂と一緒。何も変わってはいない」

マクシミリアンはオフィーリアを見あげる。

その時、ふとドアを叩く音がした。

ドンドンと強く、人を呼び出すにしては随分と配慮に欠けている。

「朝飯だって言ってんでしょ、いつまで寝てるんだい!」

マクシミリアンはオフィーリアとドアを交互に見て、ようやく状況を把握した。

「なるほど」

ドアが勢いよく開く。

「オルドリック! いい加減にしな! って、あんた誰だい?」

部屋に入ると見慣れない人物がいたことに女は驚いていた。

「さぁ、いきましょう」

オフィーリアがマクシミリアン、いや、オルドリックの手を取り、ドアの方へと歩く。

すれ違う二人と一人の女。

「あぁ……君、すまないね。オルドリック君でしたか、彼は選ばれてしまったようです」

「は? オルドリック? 何を言ってるんだい? いや……あんた一体、誰なんだい……」

驚愕の表情を浮かべ立ち竦む女の額にオフィーリアが手をかざした。

すると女は意識を失い、崩れ落ちた。

「謝罪というものは心が込められていないと意味はありませんよ」

「そうだね。ただ彼女の気持ちに応えられる表現が他に見つかりませんでした」

「残念ですね」

「本当にそう思っていますか?」

オルドリックの問いかけに答えることはなく、二人はそのまま民家を出て城へと歩いていった。

——

「そういえば、生まれて初めて死んだよ」

「そうですね。今までは私が強制的に魂を移していましたけど、今回は違いますからね」

「あの少女は強かった。そして何より美しい」

「あら、あなたに好みがあるなんて思いもしなかったわ」

「ふふ、私だって好きなものはあるさ。戦いに……うん、戦いが何よりも好きなんだ」

「他に何も思い浮かばなかったのに、堂々と仰るのね」

「色々と初めての経験をさせてもらったということかな。負けたことも、他人を美しいと思ったことも」

「あら、私のことは何とも思っていなかったのですか?」

「君は……あの人とは見ているものが違うからね」

「あら、失礼な。あの人も私と同じ、女神ですよ。私と何も違いません」

「そうかい? そうなのかもしれないね」

そう言ってオルドリックは城へと向かって歩き出した。目的は騎士団への入団だ。

「この身体が何歳なのかは知らないけど、この戦時中なら強さを証明しさえすれば入団の許可も降りるだろう」

「あなたは本当に戦いのことしか考えていないのね」

「どうやったら次は勝てるのか、考えていることがあるんだ。あの時こういていれば……今から楽しみだよ」

オルドリックの目はもう前を向いていた。

話し相手のオフィーリアのことなど視界にも入っていなかった。

それを彼女は満足そうに見て微笑んでいた。

「あぁ、良かった。あなたは綺麗なままよ、オルドリック……」

彼を捉える瞳はいつも慈愛に満ちていたのだった。


——

「ここで彼女は氷魔法を囮にして、広範囲の炎魔法で対処する。ならば、あえて氷弾を掻い潜って前へ出てみよう……」

何度目の対戦だろうか。この身体の名前すらもあやふやで、もう覚えようともしなくなってしまった。

時に時間をかけて戦い、時にゆっくりと彼女の反応を見ながら戦う。

そんなことを繰り返してきた。

襲い来る氷弾を抜けた先は目には見えない風の刃が張り巡らされていた。

なんとか回避を試みたけど、駄目だった。

今回もここでおしまいかな。

手足が無くては立ち上がることすらできない。

今回はなかなか惜しかった。

良いところまでいったけれど、最後の読み合いで負けてしまう。

何故だろうか……最初の氷魔法自体が陽動、相手の反応次第で対応しているのか。

前回は避けて炎に焼かれた。

今回は前に出て風に切り裂かれた。

だが、今回の方が対応に若干のタイムラグがある。

ならば……

そんなことを野原に転がる自分の手足を見つめながら考えていた。

あの少女が近付いてくる。

じゃあ、またね。

すぐ戻ってくるよ……

「のぅ、ヌシは操られておるのか?」

彼女が問いかけてきた。

何のことだろうか? 身体がうつ伏せになっていたので首だけを回して彼女を視界に捉えた。

「最近、たまにおるんじゃ。強いんじゃが、生きとらんやつが。死ぬ為に戦っとるというかのぅ。ワシも割と戦うのは好きな方なんじゃが、ヌシといい、こないだのヤツといい、死ぬのを前提として戦っとるのがおる」

「別に操られてなど……いません」

「そうなのか。ならば良い。操られとったりしたら助けたんじゃがの。ならばこのまま死ぬがえぇ。しかしつまらんヤツじゃったな、ヌシは。生きとるのに死んどる。そんなヤツとはできれば二度とやりとぅないのぅ」

生きているのに死んでいる?

彼女は何を言っているのだろうか。

鼓動が速い。

手足の先から勢いよく血が流れていく。

視界が暗い……

「人の命は一つだからこそ輝くのじゃぞ。まったく近頃の若いもんは……」

真っ暗闇の中、その言葉だけが私の胸に残っていたのだった。

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