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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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101/106

101話

ロザリカは苦悶の表情を浮かべながらも闘い続けた。

シリウスの魔法の軌道はその性質上、直線軌道以外はない。

故にロザリカは魔導師、いや、ロザリカにはない方法でそれらのうち、幾分かを回避していた。

「はぁっ! はぁっ!」

呼吸を荒くし、顔を青くしながらもランダムな方向に走り回っているのだ。

これならば一定の数の魔法からは逃れることが可能だ。

「あのロザリカ様が……」

連邦の兵士たちはロザリカの初めて見る姿に複雑な感情を抱いていた。

悲しみ、驚き、応援し、涙した。

あのロザリカが泥に塗れながら、魔法を展開し、逆転の術を探しているのだ。

「ロザリカ様!」

「ロザリカ様頑張って!」

兵士たちの声がトロン平野に響く。

ロザリカの勝利を信じて祈り、声を上げているのだ。

「はっ、はっ、何……を心配そうにして……らっしゃるのかしら……ワタク……シが負けるはず……ありませんの」

死力を尽くすロザリカだが、その劣勢は火を見るより明らかだ。

徐々にシリウスへと放たれる炎弾が減っていく。

「やっぱりシリウスの勝ちか。終わってみれば圧勝だったな。攻撃魔法が少なくなって回復に魔力を回すようじゃどうにもならんな」

それでもロザリカは諦めない。

「ワタク……シは……天華絶峰……至極の魔導師……ロザリカ・ナザリカですわよ!」

ロザリカが吠える。

己の存在意義を示すように。

強く気高い、一人の魔導師がそこにいた。

だが、それでも勝敗は無情だ。強いものが全てを得るのだ。

そして、最後の刻が迫る。

一条の光がロザリカの足を貫いた。

止まることを知らぬロザリカが、ついに地面へとひれ伏したのだ。

それでもロザリカは抗うように目の前の現実を睨みつけた。

「終わったな……行こう。ここに俺たちがいるとバレるとややこしいことになるからな」

「いや……待て!」

レティが叫ぶ。

シリウスがトドメの一撃をまさに今、放とうとしている。

「アヤツめ、やりおった!」

シリウスの魔法がロザリカの眉間へと吸い込まれる。

勝敗が決した。

誰もがそう思った。


そして兵士たちの歓喜の声と悲鳴が入り混じる——


連邦の兵士が抱き合い歓喜し、帝国兵は驚愕に打ち震えた。

シリウスの放った魔法はロザリカを撃ち抜くのではなく、シリウス自身を穿ったのだった。

シリウスは宙を舞い、静かに倒れた。

「はぁ……はぁ……もう一度……言いますの。ワタクシを誰だと……思っているのです? ワタクシはロザリカ・ナザリカ。至極の魔導師ですわよ」

疲労と魔力の枯渇でボロボロになりながらも立ち上がり、杖を構えて名乗りを上げる。

その姿を見た連邦軍兵士たちから怒号にも似た歓声が沸き起こった。

「アヤツはただ逃げておったのではない! 反射魔法のスキルをこの短時間で磨き上げたのじゃ! 練度が足りないと言われ、魔法の展開速度が劣るならば……今この瞬間にと! 例え泥にまみれようと、最後の刻が訪れようとも! 自らを信じて事を成したのじゃ!」

レティが震えながら叫んだ。

自分と同格、またはそれ以上の存在を前にただただ驚きと賞賛の声を上げていたのだ。

その割れるような歓声に静寂が訪れた。

倒れていたシリウスがピクリと動いたのだ。

よろよろと立ち上がり、頭から流れ落ちる血が彼の純白のローブを真紅に染め上げていた。

額には真一文字の傷跡が走っている。

噴き出し飛び散る鮮血が傷の深さを物語っていた。

シリウスは無言で回復魔法を使い、止血した。

片足を失い、彼の完璧な美貌は自身の魔法によって切り裂かれたのだった。

ロザリカも魔力の回復を行い、回復魔法をかける。

「形勢逆転じゃな。シリウスもロザリカも、魔力の回復量は同じぐらいじゃが、スキルに差がある。ロザリカは回復も得意じゃが、シリウスのは応急もえぇとこじゃ」

「スキルが足りないと言われたロザリカがシリウスをスキルで追い込むのか……」

「皮肉なもんじゃな……」

そして二人が動き出す。

終幕へ向けて。

レティが二人に視線を移し、静かに言った。

「そして、その差は圧倒的じゃ……」

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