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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第十章『精査』

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64話「所見:異常なし」

「え、ラズリ先輩?やだお久しぶり、ちっとも『変わらない』ですね」

「なに、そんな昔からこの女『こんな』なの?怖い」

翌日、ガーネの病室を訪れた一行は主治医であるラズリと対面し、カルセとスメイラが愉しそうに談笑していた。

「ガーネ!お前こんな可愛い女の子が主治医だからっていかがわしい目で見るんじゃねーぞ!カスが!」

「お前、女の守備範囲おかしくね。俺ガキは射程圏外なんだけど」

サイフィルの女好きがいよいよもって顕著になったところで、ガーネは呆れたように返して『どこからどう見ても14歳・少女・ロリータ』である女医・ラズリ32歳をベッドの上から見下ろす。

そんな会話をしていると、カルセが少し意外そうな目をガーネに向けた。

「あら、ガーネ様って年下の女性がお好みなのかと思っておりましたわ。よくわたくし達にババァなどと暴言を吐かれますので」

「あー、確かに。正直こんなクソガキの言うババァなんて気にはしてないけど。…オラついて、言う事何でも聞くタイプの女の子侍らせてる方が性に合いそうなイメージ」

「どんなイメージだよ。そんなことねーし」

相変わらず、自分に対しての印象があまり良くないという事実になんとなく眉が寄る。

「え、じゃあガーネお前の好みは年下?年上?」

サイフィルの問いに、珍しく馬鹿正直に考え込むガーネ。

ほんの少し、間を空けるとまるで誰かを思い浮かべたかのように小さく口を開いた。

「……………強いて言うなら、年上」


サイフィルはちらりとスメイラを見て、やはりガーネは彼女のことを好いているのだろうかと考えた。それだけに、態度は悪くとも一番『信頼』を寄せているような節は多々あった。

一方カルセはというと、自分も『年上』であることとたまに自分に対しある種の熱烈な視線を向けられていることに気付いており、『まさかわたくしのことを?困りましたわ』とどこか満更でもないような表情を浮かべていた。実際の所、カルセのズレたセンスの私服のせいで露出された身体をただ見られているだけであるということは、彼女自身は気付いていない。


「つーか、俺の女の趣味嗜好なんざどうでもいいんだよ。その後何か動きはあるのかねーのか!」

ガーネは多少の苛立ちを孕んで右手でトントンと机を叩く。

「え?特に無いけど」

「……無いなら何しに来たんだよ」

余計に苛立つガーネを見て、スメイラは肩を竦めてはっきりと口にした。

「君の監視。ラズリ先輩から聞いてるよ、日中勝手に動き回ろうとして困るって」

「まあ、監視もとい純粋なお見舞い目的もございますが、実際均衡教徒の動きも無ければわたくしたちも動きようがございませんので…」

「あーもうわかった。じゃあそれに関してはいい。おいロリ医者!お前魔障霊障の専門医ならもっとなんか、こんな普通の治療じゃなくてなんかねーのか」

「無くはないよ。でもアンタのソレは霊障でも魔障でもなんでもないただの怪我。だから気休めにちょっと毛が生えた程度にしかならないよ。一番は何度も言うけどほんと『動かさないで』欲しいのよ。点滴に薬物混ぜてガチモンの寝たきりにさせてやろうか」



*****



「あの子、『危うい』ね」

面会時間終了の知らせとともに、ぞろぞろとガーネの病室を出た。廊下を進みながらラズリが小さな声でぽつりと呟いたのを聞き、カルセは視線を向けた。

「…危うい、と…申しますと?」

「そのままの意味。カルセならわかるでしょ。…魔障でもない、霊障でもない。あの子、何かおかしい。…精神的なものか、って言われるとそうとも言えるし、でも医者として見ても違和感が凄い。良く言えば、正義感が強いんだろうね。全部自分でやろうとして、全部自分で背負おうとしている。…自傷癖があるわけでもないし、死にたがってるわけでもないけど…なんつーか境界があの子めちゃくちゃ曖昧だよ。前からあんな感じなの?」

「…私たちも、正直それほど付き合いが長い訳ではないですけど…先輩の言う通り正義感?故に突っ込んで『俺が』みたいな節は確かにある。でも、……違和感は私も、ある一定の時期から感じてますね」

「…封鍵、か」

「たしかに、あの時期は一つの境かもしれませんわね」

ラズリは白衣のポケットに突っ込んだ両手を出して腕組みをすると、「うーん』と小さく唸った。

「…スメイラ、アンタんとこの『資料』、アタシにも回しな」

「え、でも」

「女王陛下からも側近様からも異界遺物の話しは来てはいるの。アタシの管轄にも触れるしね」

「…わかりました、明日お持ちします」


「ま、まあさ!でもさ!アイツ今日も『普通』だったじゃん!メンタル鋼だし、大丈夫だって、…大丈夫だよ…」

「たしかに、ガーネ様は弱くはありませんわ。でもサイフィルさんだっておわかりでしょう?」

「……うん」


「先生!ラズリ先生!特別室の患者さん、急変しました!」

「…!?すぐ行く!」

特別室、そこはガーネの入院する病室であり、つまりガーネが急変したと看護師が廊下を駆けて来た。

ラズリに続いて、全員が先程までいた病室へと駆け戻っていった。

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