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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第四十四章『壮行』

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571話「外遊前最終評定」

「つーことで辞令受け取った足での参加だから服装はこのままですんません、俺が最後っつーことで……資料、全員分配布」

「はい」

ガーネが警備の責任者として警察の制服のまま前に立ち、事前に用意していた資料の配布を侍従に託して評定の間に集まった面々を見回した。

「今回の外遊に参加初めての奴は?何人いる……衛兵の新人が数人と、魔導師と巫術官の新人が1人ずつか、あとは前回も前々回も見た顔だな。よし、じゃあ前日ということで短時間で確認を済ませるつもりだが、不明点は不明なままにしないように。懸念や疑問があればすぐに言え、曖昧なまま突き進むと何よりも一番陛下に危険が及ぶ可能性がある。ここにいる『警備陣営』の目的は『外交の成功』でもなんでもない。目的を見誤るな、俺らの仕事は『陛下の護衛』だ。いいな」


今回の外遊の目的地は前々回と同じであるため、多少の行路の見直しはあれど配置含めほぼ同じであることを確認の上、今回初めて随行する魔女2名の配置についてと指揮系統の最終確認、行程の最終確認を行った。

「おし、ここまでで質問は」

「はい」

衛兵のひとりが挙手をして立ち上がり、資料を見ながら口を開いた。

「この公国との会談時の配置についてですが、ゲルブ辺境伯の護衛や辺境伯側の人員配置は情報がないのでしょうか」

「特に無いが、トーパスの人柄はともかくとして腕は信用していいと思うぞ。なにせ王国内辺境伯トップの軍事力だ、それに体格見ればわかる。アレは相当強い。それに、軍事配置に関してこの時点でこちら側からあれこれ探るのは向こうも面白くないだろうし、その短時間程度であれば俺も衛兵総監も近衛総監も対応出来る。お前らもその程度の『臨機応変』は問題無いと思ってる」

「は、はい!ありがとうございます!」


他にも細かい移動に関しての質問や確認を行い、ガーネはそのままリエーブとアミュへと視線を向けた。

「大丈夫だとは思うが、お前らは『勝手に動くな』。今回の目的はあくまで『魔女を伴った場合の女王警護配置や連携の確認』が目的だ、お前らに好き勝手動いて貰う場じゃない。有事の際は俺かヘルソニア様か陛下の命令で動け、いいな」

「そもそも、アミュたちに命令出来る『権限』があるのはガーネとヘルソニアとディアマントだけ。アミュ、ガーネとヘルソニアとディアマントのいうことはきいてやってもいい。ほかのいうことは聞かない」

「必要があれば俺ら以外でも聞いてくれるか」

「やだ。でも、『おねがい』なら聞いてもいい。『命令』は聞かない。アミュも魔女として、プライドがある」

「わかったわかった、めんどくせーな。…お前ら、コイツらになにか通す時は『お願い』ベースで言え、聞いての通り面倒臭い。どうしてもの時は俺の命令なら聞くらしいから俺に言え。……最後、ヘルソニア様と陛下。なにかありますか」

今回の外遊ではガーネ自身も『王配候補として・婚約者として』立ち回る場面も出てくるためにエーリックかジェレイドに責任者を託すのが自然であっただろうが、『魔女の扱いに関して』こういった運用上の懸念がまずこの場で露呈したところで『やはり責任者にガーネを据えて間違いではなかった』とヘルソニアとディアマントは内心思いつつガーネに向けられた視線を受けると、ヘルソニアは小さく首を振った。

「私からは特に。強いて言うのなら、全員怪我なく帰れるように務めること」

「はい!」

「こむ、……陛下は」

「ヘルソニア、今妾を小娘と言おうとしたな。……妾からは2つじゃ。ひとつ、ヘルソニアの言葉通りみなで無事に帰れるように、誰ひとり無茶をすることは許さぬ。もうひとつはガーネ」

ヘルソニアだけでなくディアマントも同じことを告げて、室内の空気が引き締まった。

ガーネも緊張感を孕んだ顔で短く返答をして向き直ると、ディアマントはなぜか少しだけもじもじしながら口を開いた。

「今日の夜は、妾といっしょ?」

「………………一緒じゃねーよ、忙しいっつの」

「妾、さみしい」

「『さみしく』ねーよ!うるせーな!」

「じゃあ明日からは部屋はいっしょ?」

「一緒なわけあるか!」

「でも妾とお前は夫婦じゃ、め・お・と!」

「まだ結婚してねーだろ!体裁悪いからやめろ!」

「でも!」

「でもじゃねぇ!一応聞くけどなんだ!」

「前のオエィセの時は、ガーネ、妾のことが可愛い可愛いと申してミモゼを部屋の外に待たせもごッ」

慌ててガーネがディアマントの口を塞ぐと、例の『ディアマント懐妊疑惑騒動』でガーネが1人で騒ぎ回っていた時のXデーはその日かと特務の面々は静かに悟った。

「あらガーネ、やっぱりルイの子ね。ルイもところ構わず母様のこと、『リエーブは可愛い』っていつも」

「だから親のそういう話聞きたくねぇって言ってんだろ!やかましい!!」

「ほらね、怒ると怖いのよこの子」

リエーブの様子にほぼ全員が思わず零れた苦笑いを浮かべ、苛立ち露わにガーネが机をバンバンと叩いた。

「特に無いみたいだから解散!明日は遅刻厳禁!正装!いいな特務、『正装』だからな『正装』!!正装ってわかってるかバカとゴリラ!」

「はぁい」

「わかってるよ」

いつものようにふてぶてしい態度で返事をしたアメジとサイフィル相手にガーネは盛大に舌打ちを漏らした。

「俺はほんっとーにお前らが心配だよ!俺の顔に泥塗る真似しやがったらぶち殺すからな!」

額を押さえて吐き捨てるように言いながら、深々と溜息を漏らした。

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