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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第四十三章『円満』

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551話「介護の疑い」

「別にディアマントに言えばいくらでも部屋用意してくれると思うけど、なんで俺の部屋がいいんだよ」

「まぁ、母様に見られて疚しいものでもあるのかしら。男の子だものね」

「ねーよそんなもん」

「あら、男の子はそういうものをベッドの下に隠すものよ」

「勝手にディアマント来るしそういうのはない。そも、そんなんで自家発電する必要もない。そんな暇があったら休む」

「変わった子ね」

「アンタにだけは言われたくなかったかな!…まぁいい、好きに風呂でもなんでも使え。侍女には言っとく。明け方部屋に着替え取りに来るけどそれは了承しろよ、あとは散らかすな。分かったな」

王城内の高位職者向けの居住区画の長い廊下を進み、部屋の前でポケットから取り出したキーケースを使い部屋の鍵を開けた。

ガーネはそのままキーケースから鍵を取り外すと、リエーブに向かって投げ渡した。

「ガーネ、少し母様と語らいの時間を持ちましょう」

「持たねーよ明日以降にしろ、忙しいんだよ俺も」

部屋のドアを開け、玄関スペースから私室エリアへと進み雑に指を差した。

「風呂は奥、便所はその手前。ベッドは向こうの部屋。書斎は入るな。あと何度も言うが散らかすな」

「まあ、きちんと片付い…………………………物がなにもないじゃない」

「はぁ?あるだろ、ここにはソファもテーブルもある、向こうにはベッドもある」

「あるというか、最低限の備え付け家具じゃないの」

「そうだけど。まぁいい、何かあったら侍女に言うか特務室まで来い。部屋の鍵無くすなよ」

翌日の着替えや最低限の洗面用具だけ紙袋に詰めて部屋を出ると、真っ直ぐディアマントの部屋へと向かった。

王族の居住区画へ向かう回廊を進み、突き当りでいつものように近衛が警備をしているのを見つけて近寄った。

「特務総監、お疲れ様です」

「お疲れ。陛下今何中だ、風呂か。寝てるか」

「ご入浴は済んでおります」

「そうか」

そのまま廊下を進み、ディアマントの部屋のドアを軽くノックしてから返答も待たずに無遠慮に開くと、ディアマントが冷えたレモン水を飲みながら丁度本を開いたところらしく、少し驚いた顔をしつつもすぐに硝子栞を挟み直してガーネの傍に寄って来た。

「ガーネ!妾と遊ぶ?」

「遊ばない、前に渡した俺の部屋の合鍵貸して」

「いやじゃ!返さない!妾のじゃ!」

「返せって言ってんじゃねーよ、リエーブに部屋貸してる間俺の鍵持たせてるから、アイツが逗留してる間だけ貸して。部屋に着替え取りに行くとき困る」

「…そういうことなら」

ものすごく仕方がなさそうな顔で引き出しからきらきらと輝くキーホルダーのついた鍵を取り出し、ガーネに手渡した。

「……キーホルダーにダイヤモンド」

「きらきらできれいで可愛いのじゃ」

「まぁいいけど…じゃ、しばらく借りる。じゃーな、お休み」

「ま、待つのじゃ!お前、どこで眠るのじゃ」

「特務室か総監室のソファで適当に」

「だめじゃ!妾といっしょに寝るのじゃ!」

「だってお前、『初めての乗馬』で筋肉痛だろ。お前と一緒に寝たら抱きたくなるじゃん」

「さっきマッサージしてもらったから良くなったのじゃ!一緒に寝るのじゃ!いっしょ!いっしょがいい!いっしょー!!!」

「うるさ、わかったわかった。はいはい。…じゃあシャワーだけ浴びてくるか」

「待つのじゃー!!どこに行くのじゃ!!」

「シャワーって言ってんだろうるせー小娘だな。訓練棟にシャワールームあるし、そこで済ませてくる」

それを聞いたディアマントは得意気な顔をして魔法鈴を揺らすと、ちりんと軽く涼やかな音が響いた。

少ししてミモゼが部屋に現れ、恭しく一礼して声を掛けた。

「お呼びでしょうか、陛下」

「ガーネに妾の湯殿を使わせる!支度をせよ!」

「かしこまりました」

「はぁ?いや遠慮します」

「なぜじゃ!」

「さすがに女の子の部屋の風呂入るのはちょっと抵抗ある。申し訳なさ的な」

「恥ずかしがることはない、妾はいつもミモゼたちにドレスを脱がせてもらって、下着も取って貰って、香油で化粧を落としてもらって、髪を梳いて洗ってもらって、身体も洗ってもらって湯に浸かる時も傍に誰かおる。それから髪の手入れをして肌の手入れと爪の手入れをして、着替えもしてもらうのじゃ。『いつものように』同じことをしてやる、安心せよ」

「安心?俺はお前みたいに『介護』なんかされてねーんだよ。全部1人で出来る。お前と一緒にすな」

「特務総監様、御婚礼後はそういう生活になりますので慣れていただかなくては」

「いやいやいやいや。俺は全部自分で出来る。…そういうことなら俺、やっぱりシャワールームでシャワー浴びて総監室のソファで寝たいんだけど」

「いやじゃいやじゃー!!いっしょ!一緒に寝る!!!」

「……侍女長、今日はそういうのまじで勘弁してくんない…」

「ふふ、お湯の支度だけして参りますわね」

ミモゼがからかうように笑いながら再度一礼して立ち去ると、ディアマントはガーネの腕にまとわりついてにこりと笑みを浮かべて甘えた。

「ガーネ!湯の用意が出来るまで、妾と遊ぶのじゃ!神経衰弱やろ!こっち来て!」

「……はいはい」


純粋にディアマントの一挙手一投足が可愛らしくてガーネも思わず絆されて小さく笑いながら、少しの間小娘ディアマントと神経衰弱に興じた。

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