↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第三十九章『勘査』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

526/623

507話「始祖魔女言語」

「……はぁ…良かった、大分腫れ引いたな…」

ガーネの深い安堵の声にディアマントはお姉さんぶってガーネを手招きし、傍に寄ってきたところで「おいで」といつも自分が言われる声をかけた。ガーネもそのままディアマントの腰に抱きつくと、ディアマントは優しくガーネの髪を撫でて小さく笑った。

「心配し過ぎなのじゃ。大体、妾の首を絞めた男が平手如きでなにを」

「俺が絞めるのと他の男に叩かれるのは全く違うだろ。俺は死なないラインを加減して絞めてるし、『利き手じゃない左手で絞めてるから大丈夫』なんだ」

自分で発言したそのセリフになにか言いようのない既視感を感じたものの、ガーネは敢えてそれに気付かないふりをしてディアマントの細い腰にしがみつくように腕を回した。

「あまえんぼじゃ」

「違う」

「坊やか」

「違う」

「お子様か」

「違う」

「クソガキ」

「否定は出来ない」

「ふふ」

皇国を見送り、ラズリが再度治癒術をかけ、少しだけ昼寝をして起きたところできちんとガーネが傍にいるのを確認して、ディアマントはそれだけで満足そうに笑みを零した。

少ししてディアマントが昼寝から起きたと報告を受けたヘルソニアとジェレイド、エーリックと特務の面々、巫術官長と魔導師長、女官長、侍従長、そして侍女長が部屋に入り、ディアマントの様子を確認した。

「陛下、貴女のそのご自慢の美しい顔の具合は?」

「少しだけ痛いが平気じゃ。だからお買い物に行けるのじゃ」

「……わかってますよ、調整しております。ただし、『短時間』ですよ」

「博物館は」

「今回は我慢なさい」

それを聞いてむくれた顔をしたディアマントを見てガーネも肩を竦め、小さく息を漏らしたタイミングでヘルソニアがガーネに声をかけた。

「ガーネ」

「はい、申し訳ございませんでした」

「…………なにを謝っている?」

「陛下に一発入れられたことです」

「其方もくどいな。其方をあの位置まで下げさせたのは私の判断。其方はその私の判断まで自責にするつもりか。自惚れるな」

「……はい」

「『そんなこと』はどうでもいい。確かに陛下を叩かれたことは事実だ。だが、責任の所在は其方ではない。皇子だ」

「…はい」

「そも、私は其方をあの位置まで下げさせた『責任』はあるかもしれないが、私は陛下に謝罪などしておらん。叩かれた陛下が鈍臭い。それと、自国ではどうにかなるかもしれない暴挙を他国で、それも他国の元首に働いたあの皇子の愚かさの責任だ」

「…はい」

「わかったら速やかに答えろ。導師はなにを其方に話した。何語だ。何者だ」

ぴしゃりとガーネの感情を封じた手腕はディアマントとはまた異なり、『さすが女王側近』と思ったところで間髪入れずに本題に入り、空気が変わった。

「……北方、ノルデンの奥の……フロースト霜原の、更に奥に行ったガチの国境近辺の…というか、北の国境跨いだ集落の魔術部族。ご存知ですよね。あそこの言語です。『始祖の魔女の出身地』──── セイズゥル語」

また新たな耳馴染みの無い言語に、ディアマントとヘルソニア以外は困惑した顔でガーネを見つめた。

「…そう言えば其方、新年拝賀の際に言っておったな。自宅に出入りしていた連中の言葉を聞いて覚えたと。それは確か、北の魔術部族と言っていたか」

「はい。……あの女、『俺の事』知ってます。何者かまではわからない」

「知ってるとは、どういうことじゃ」

「『嚆矢と終焉は元気か。まさか、嚆矢の息子がこんなに大きくなっているなんて思わなかった。よろしく伝えろ、特に終焉には』……って。…ちなみに、さすがにこの場で口にはしないが…リエーブとアミュの、二つ名だけじゃなくて『真名』を言っていた。アミュの真名を告げて、特にアミュによろしくされたんですけど……俺の母親のリエーブよりアミュに因果があるのか、その辺はさっぱり。ただ、王城以外では俺が嚆矢の魔女リエーブの息子だというのは公になっていないはずだ。母上たちの真名を知っているところから見ても、おそらくだが俺の真名も知られてる」

一難去ってまた一難という状況に、一同考え込むように室内が静まった。

「……まて、ガーネ」

「なんですか陛下」

「あの導師、…メイジーエ人で、間違いないか」

「……多分。肌の色、目の色、髪の色、それとヘルソニア様にだけ共有してましたが、喉に瞳の刺青。第七席と同じ模様だ。それに、メイジーエ人でもない限りあんなところにあんな刺青入れるなんてあんまりオシャレじゃないんじゃねーの。俺はあんまりセンスあるとは思わないけど。メイジーエ人があれオシャレだと思ってたらちょっと俺の美的センスとは相容れない」

「セイズゥル部族は、身体的特徴はあるのか」

「リエーブの祖母、まぁ俺から見たら曾祖母があそこの出身です。俺は祖母にも曾祖母にも面識はないが、リエーブは遺伝でセイズゥル部族の特徴を継いでますね。真珠灰色の髪に碧眼、肌は白いです。メイジーエとは遺伝子レベルで色素が異なりますし、結構メイジーエとセイズゥルの言葉ってイントネーションも文法も違うんでメイジーエの人間には発音しづらいと思いますよ。逆に俺も北の出身だから発音的にはセイズゥルの言葉は喋りやすいけど、メイジーエの言葉って発音めちゃくちゃ難しいし。……だからこそ、あれだけ流暢に喋られてちょっとびびりました」



──── 『嚆矢のハイチェラ』と『終焉のソフラーカラ』はお元気ですか。まさか、嚆矢の息子がこんなに大きくなったなんて。どうぞよろしくお伝えください、特にソフラーカラには。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。