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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
幕間Ⅵ『遊戯』

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後編

「ふむ、ガーネ。大したものじゃ。この短期間でよくここまで出来るようになった。褒めて遣わす」

「はいはい恐悦至極に存じます女王陛下。褒めんなら朝2回ぽっちじゃ足りなかったんだけど」

「やかましい!『おかわり』をしておいて!」

砂上げ10分、滞留10分、休憩10分の合計30分の1サイクルを走り込みながらやり遂げたガーネは、エナからタオルを受け取り汗を拭いながら雑に返答を返しつつ視線で後ろで座り込んでいる特務の面々を指し示した。

視線を受けてエナと侍女長がタオルをそれぞれに渡したところで、改めてガーネはディアマントを見つめた。

「で、お前は何しに来た。何その格好」

「妾も遊ぶ!混ぜよ!」

「俺ら別に遊んでねぇんだけど。何その格好」

「妾も遊ぶ!妾も!妾もーっ!!」

やはり『妾も!』の類だったかと面倒そうな顔をしつつ、膝丈のワンピースにドロワーズとロングブーツという珍しい格好のディアマントを見下ろした。

「パンツ見えねーだろうな」

「見えぬ!」

「ならお前は俺の上乗れ、重りになれ。おい!お前らはいつものだ。アメジは負荷40kgサイフィルは負荷20kg、女子は負荷無しでいい。それぞれスクワット30回腕立て30回懸垂10回、休憩挟んで野郎は3セット女は2セット」

「ガーネ様、陛下の方が軽いんじゃない?ずるーい、エイミー40kgの重りなんて華奢な身体軋んじゃう」

「小娘のが若干重てぇよ、それに華奢っつーのは陛下とかラズリみたいなのを言うんだよ。俺よりガタイのいいゴリラが自称華奢を騙るな負荷増やすぞボケ」

アメジとサイフィルが渋々身体に負荷ベストを装着し、それぞれスクワットから順に始めた。

「はい、陛下は俺の背中」

「うむ!」

自分も混ざることに妙に嬉しそうな顔をしたディアマントがぴょんとガーネの背中に飛びつき、落ちないように背負い直してからガーネもスクワットを始めた。

「エナ、皆様のお飲み物をご用意なさい」

「はい侍女長様」

侍女長の命で、娘のエナが頭を下げてから厨房の方へと向かって行った。

さすが侍女長気が利くなと感心した顔でガーネもその光景を見ながらスクワットを終えてディアマントを下ろした。

身体に固定された負荷目的の重りではないため、しがみつく体力もないディアマントを背中にぶら下げてのスクワットは非常にやりにくいどころか重量以上の負荷が無駄にかかり、ガーネにとっては『むしろちょうどいいか』と妙に機嫌が良さそうなディアマントを見下ろしてから、特務の一同へと視線を向けた。

「お前はもうやめるのかガーネ」

「あ?お前が落ちそうだからお前の休憩させてんだろ」

「妾、出来るもん!」

「いいんだけどさ、俺汗かいてるけど」

「構わぬ、お前の汗などいつも触れておる。今朝も触れた」

「そういう意味じゃねーよ、そういう意味だけど」

「?」

「もういいよバカ小娘が。嫌じゃないなら背中乗って」

「ん!」

なぜそこまで機嫌がいいのかガーネにはわからない顔でディアマントを背中に乗せ背負い直してから懸垂バーにぶら下がり懸垂を始めた。

「…あのさ」

「なんじゃ!」

「息しないでくれない?耳に息かかるんだけど」

「妾に死ねと申すか!」

「お前は死なないよ、あと10万年くらい生きそう。図々しいもん」

「無礼な男じゃ!妾とてさすがにそこまで長らえぬ!多分!」

ディアマントの吐息を耳元に感じなんとなく邪な気持ちを抱きかけながらも腕立てまで含めてさっさとノルマを終えると、エナの用意した飲み物を飲んで1人先に休憩をした。

「ガーネ、妾とはいつ遊ぶのじゃ」

「だから何度も言ってるけど、別に俺ら遊んでねぇんだけど。見ろよ連中の死にそうな顔、あれのどこが遊んでるんだ」

「妾も!妾もする!」

「あーはいはい、じゃあストレッチ手伝ってくれますか女王陛下…」

「妾も!」

少し休憩時間を取っている間に特務の面々も無事にノルマを終え、特にスメイラが死にそうな顔をしているところでガーネはストレッチの指示を出した。


ガーネの真似をしてストレッチを一緒にやり始めたディアマントであったが、普段運動のうの字もしたことがないためかそれなりに身体が硬く、ガーネは少し心配そうな目をディアマントに向けた。

「お前さ、別に股割り出来るようになれとは言わんけどそんだけ身体硬いと怪我するぞ。毎晩少しずつストレッチした方がいいんじゃねーの」

「またわりとはなんじゃ!」

「足開いて上体をこう、べたっと」

「ガーネアンタ、偉そうに毎回言うけど出来るんでしょうね。別に陛下の味方してるわけじゃないけど」

「バカかラズリ、自分が出来ないことを偉そうにあーだのこうだの言う男に見えるのか俺が。こう見えて身体は割と柔らかいぞ俺」

ガーネは足を開いて上体を床にぺったりとくっつけて見せながらも一応負荷を掛けながらの筋トレをしていたために肩周りや腰などの筋を入念に伸ばして一同を見た。

やはりスメイラが一番身体が硬く、意外なことにアメジもそれに次ぐレベルで身体が硬い。平均的なのはサイフィルとカルセで、ラズリがわりと柔軟性のある身体をしていた。

「…あれ、ラズリもしかして、バレエとか新体操とかそういうのやってた?」

「なんでわかるのよ。15歳くらいまでバレエやってたわ」

「で、サイフィルは水泳やってたか」

「え!すごい、なんでわかるの?習ってたわけじゃないけど、地元にそこそこ大きい湖あるから結構毎日泳いでたよ」

「ラズリの場合はなんとなく身体つきとその柔軟性と、身体の使い方と足の筋肉でそうかなと。サイフィルは肩がわりとつえーなと」

「見てわかんのほんとキモ」

「俺の趣味かもしれない、人間観察」

「よかったですわねガーネ様!趣味がないと嘆いていらっしゃったじゃないですか」

「え、あ、ウン。ソウダネ」

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