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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
幕間Ⅵ『遊戯』

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前編

「あ、あ、朝だと…!?」

登った日が窓から差し込み、光に眩しそうに眉を寄せたガーネは目を覚まして開口一番絶望の声を上げた。

「待て!俺は昨日いつ寝た!起きろ!」

「んん…うるさい…なんじゃ朝っぱらから、騒々しい」

「俺お前の身体触り始めた直後の記憶がない!返せ!」

「勝手に寝落ちたのはお前じゃ、妾を下敷きにしおって。とても重かった」

「ちょっとやり直そう。いや、まだ何も始まってない。侍女長が起こしに来るまでまだ時間はある、お願いだからヤラせてくれ」

「ねむたい、いやじゃ。朝は妾はゆっくり眠りたい」

「1回で我慢するから。いや待て勿体ないからやっぱり3回」

「なぜ増える。眠たい」

「…お姉さん、お願い。可愛いお姉さん、素敵なお姉さん」

「わ、妾をお姉さん扱いすればなんでも絆されると思うでない!」

「チッ…ヴリッダー・ダールィカー!(訳:ババァ小娘め!)」

「何を言ったかわからぬが今完全に妾の悪口を言いおったな!!」

することをする気でベッドに押し倒したはいいものの、その後の記憶が無くガーネは八つ当たり気味に二度寝しようとするディアマントに対し普段は言わないようなIQの低い悪口を覚えたてのメイジーエ語で吐き捨てて身体を横たわらせた。拗ねたままガーネも二度寝をしてやろうとしたところで、半端に起こされたディアマントの方が目を覚ましたようでガーネに甘えるように擦り寄ってきた。

「なんだお前は」

「誰かのせいで起こされた」

「クマとでも遊んでれば」

「ゆきちゃんじゃ!」

「あー、尻小せぇ。可愛い」

「なぜ妾の身体を撫でる!」

「お前が擦り寄ってきたからだろ。てことは、触って欲しいってことだろ」

「そんなことは言っておらぬ!」

「フーン?俺に触られるの嫌?俺のこと嫌いなの?」

「ち、ちがうもん!!」

「なら、『そういうこと』だろ。…うん、やっぱ俺ケツのデカい女より小ぶりな方が好きだな。脚が一番好きだけど。脚触らせて」

「もう触っておる!」

寝転がっていたガーネがいつの間にか身体を起こしてごく自然な流れでディアマントの身体を組み敷き、すらりとした脚を持ち上げて肌を撫でた。

「普段どんな手入れしてんの。肌めっちゃ綺麗、すべすべ。真っ白」

「妾ではなく侍女が湯浴み後と朝支度の時に手入れをしておる。肌といえば、お前こそ男の癖に肌が綺麗だと侍女が言っておった」

「なんで俺がいないところで俺の話が出るんだよ。まぁ肌のことはスメイラとラズリにも言われたけど、例のバター食いしてた時期に」

「お前はどんな手入れをしておる」

「なんもしてねーよ、普通に顔洗って適当に整える程度。あー、でもガキの頃から日焼けすると黒くならないで赤くなって剥けて痛いから、日焼け止めは塗ってるかな。知ってるか、日焼けって火傷だからな。オエィセ行くときは気をつけろよ」

無駄な肉のついていないほっそりとした、いかにも自分で最低限以上歩かないような、筋肉もまるでない肉付きのディアマントの脚を堪能するようにアキレス腱やふくらはぎ、膝裏などの筋を指先で触れていき、少しずつ内腿の際どい箇所にまで辿らせていった。

「ディア、今日の下着可愛いじゃん。エロいやつの方が好きだけど、こういう女の子しか着ないようなフリフリのレースとかもなかなか可愛いな。ま、どうせ脱がすんだけど」

「わ、妾は許可しておらぬ」

「お姉さん、お願い。だめ?」

わざとらしくディアマントの太腿に自分の下肢を押し付けながら触れた脚先に口付け、普段とは異なり妙な年下ムーブ前回でねだるように顔を見つめると、ディアマントの中の『お姉さん』が呆気なく陥落した。

「い、一回だけじゃ」

「おかわり自由?」

「いっかいじゃ!!あ、…あっ、ッん…!」



*****



「特務総監様、お珍しいですわね。しっかりと朝ごはんお召し上がりになって」

「あー、まぁ今日は休みで時間もあるし。朝から『動いた』から普通に腹減ってるし。あとそろそろ体重増やすのやめるかなとは言え、身体作ってる最中だし」

すっかりお泊りの翌日の恒例になってしまった『一緒に朝ごはん』の光景であるが、妙に疲れた顔のディアマントと妙に機嫌がよく艶々としたガーネが並んで朝食を摂る姿に年配の侍女たちはある意味では『仲良しで一安心』と微笑ましげに見ていた。

「…ガーネ、今日はお前休みであろう。なにをするのじゃ。妾も今日は休息日じゃ」

「フーン、昼寝でもしてれば?俺はトレーニング」

てっきり自分が休みといえば一緒に過ごしてくれるのかなという淡い期待を持ったディアマントの気持ちを知ってか知らずか、新聞を読みながらエッグベネディクトを頬張ったガーネはあしらうような返答をした。

その返答を受けてディアマントは頬を膨らませ、トマトをフォークに刺してガーネの口元に押し付けた。

「やめろバカ、トマト嫌い。中のドゥルドゥルが気持ち悪いし酸っぱいからやだ」

「ケチャップは好きであろうが!同じトマトじゃ!」

「お前はバカか?お前は牛や豚を屠殺して加工しないでそのまま喰らいつくのか」

「うん?そ、そうか」

なぜかその理論で納得させられてしまったディアマントを見てガーネは『コイツやっぱちょろいな』と考えながら、読み終わった新聞を雑に畳んで席を立った。

「ごちそーさん、じゃーな」

そそくさと食堂を出て行ったガーネの背中を見てディアマントはむくれた顔をしてトマトを頬張った。


「…ミモゼ!」

「はい、陛下」

「妾『も』遊ぶ、支度をせよ!」

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