表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第二十六章『逍遥』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

260/311

245話「味噌ラーメンネギ抜き味玉付き」

「うーん…駄目だ。疲れた。集中続かねぇ」

「珍しい、どうしたの」

夜になっても処理が終わらず、特務一同全員で珍しく部屋で詰めて作業をしていたが、一番最初に音を上げたのがガーネだった。

「そりゃお前ら、方々で言うけど『大々的に公式行事として出してる外遊』と『気まぐれで忍べてないお忍び街ブラ』しかも王都、どっちが警備難しいと思ってんだ」

「えー、じゃあガーネさ、もし女王様が『また街散策したい』って言ったらダメ出しするの?」

サイフィルの言葉にガーネは思わずといった顔で笑った。

「馬鹿かお前、ダメ出しなんかするわけないだろ。可愛いじゃん、あんなので喜んではしゃぎまわって。…まあ、『釣りはいらぬ!』は俺も想定外だったけど。あの女もお前らと同じ『お勉強』が必要そうだな」

ラズリとスメイラがわかりやすく顔を見合わせ、物言いた気に肩を竦め合う。

時計を見ると20時半を過ぎており、ガーネの言葉もあって全員が自然と集中が切れたようだった。

「よし、ラーメン食べに行こう」

スメイラが声を掛けて立ち上がり、ガーネを見た。

「あー、じゃあ俺陛下ンとこ行って財布回収してくるか。…いや、今日もう休んでるかな、さすがに疲れてそうだったし」

襲撃にあったあとのことを考えれば早めに休まされていてもおかしくないかと少し悩んで腕を組むと、スメイラがガーネの腕を掴んだ。

「君みたいに高級焼肉40万超えは無理だけど、ラーメンくらいならお姉さんが驕ってあげましょう。行く人ー」

「わーいやった!」

「…ふーん、じゃあたまには奢られるかな」

ガーネは官服を脱いで立ち上がると全員について後ろを歩いた。


「スメイラさん、大盛りチャーシューメンとチャーハンと餃子とビール頼んで良い?」

「サイフィルくん遠慮って知ってる?まあいいけど」

「スメイラちゃん特盛にしてもいい?トッピングは?」

「エイミーちゃんも常識の範囲内でね」

「じゃあ俺味噌ラーメンネギ抜き味玉追加」

「アタシ塩ー」

「わたくしは醤油で」

「はいはい、お願いしまーす」

スメイラが注文を通している間にカルセがいつものように全員分のグラスに水を注いで配布した。

「ふぁ…あー、見分書が一番めんどくせぇ…」

欠伸混じりにガーネが呟くと、正面に座ったラズリが水を飲みながら首を傾げた。

「アンタ書き慣れてるんじゃないの?慣れてたし」

「書式が警察のと微妙に違うんだよ、あー警察に要請出さなきゃ良かったな…それが今回手続きの面倒さを後押ししてる…とにかく今日は食ったらもう終わりだ、明日やろうぜ俺はもう今日は疲れた」

奥の座敷席の大きなテーブルを陣取って雑に会話をしていると、注文した品々が配膳されてスメイラが箸を配った。

「じゃあ全員、今日は私の財布に感謝してください」

「はい、いただきまーす」

全員が食べ始めると急に無言になった。麺を啜る音や麺を冷ますための息だけが、夕食時を外して閑散とした店内に響いた。

「サイフィル、チャーハン一口くれ」

「え、いいけど僕の食べさしでいいの?」

「別にいい、餃子も一個食いたい」

ガーネがラーメンを啜り、チャーハンや餃子も食べる姿を見て正面側の女性陣はなんとなく安堵の息を漏らした。顔を上げたガーネが怪訝そうに眉を寄せると、ラズリがレンゲを置いてガーネに視線を向けた。

「ちゃんと食べれるようになってよかったわ、ってこと」

「…あー、食ってるだろ最近は。でも俺、人の奢りでもラーメンスープは残すぞ」

「そこまで綺麗に完食しなくていいわよ」


全員でラーメンを食べ終え、それぞれ私室や宿舎へと戻った。

ガーネも私室でシャワーを浴びてから、ベッドに腰を下ろし時計を確認する。

時間は22時を少し過ぎたところで、少し悩みながら着替えを済ませて部屋を出た。

女王の私室へ向かう廊下の角で近衛が警護していたが、気にせずに声をかけた。

「陛下起きてるか」

「はい、起きていらっしゃいます」

「そうか」

ちょっと、と止めるような声を無視して私室へ向かう廊下を進み、来たことはわかっているであろうことは知りつつ律儀に扉をノックした。

「俺」

外遊の時と同じように雑な名乗りをして、部屋の奥の方から「入れ」と小さく声が聞こえるとドアノブに手を掛けて部屋に入った。

既に灯りが落とされていたが、完全な暗闇ではなく動くにも顔を見るにも支障のない暗さであった。

ディアマントはベッドの上で転がっていたが、ガーネが来たため身体を起こしてベッドの縁に座り直した。

「寝ようとしてた?」

「まだ眠らぬ。普段こんな時間に寝ておらぬし、さすがに寝付けぬわ。……侍女たちが気を配りおった」

「怖かったもんな」

「怖くない、お前は妾を舐めておるのか」

「舐めてるとかじゃなくて、強いのと戦えるのと怖くないのは別の話でしょってこと。言っとくけど、俺だって死ぬの怖いですよ」

「……早死するような話をしておっただろ、妾の前で自害しようともしたくせに」

「あの時俺めっちゃ手震えてたの知らねーのか。覚悟決めんのと実際に死のうとして引き金引くのとは違うんだよ」


ディアマントはその言葉を聞いて、目を伏せて小さく息を漏らしてから再度視線を向け直した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ