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断罪ディストーション  作者: 梦月みい
第四章『呪禍』

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23話「禍の心臓」

「……ところで、お前魔法とか使える?」

万が一、先程のように得体の知れない何かが暴発した時に自分が無理矢理連れてきた一応一般人に該当するであろうこの女を守ることができるだろうかと懸念して問いかける。

「ごく簡単なものなら多少は。けど、どちらかと言うと私は君みたいに庭を駆け回る犬じゃなくて司令室で策を練る首領の為に情報を集めたり検証をしたりする方が専門だから、ここで何か暴れたりとかしても戦えないよ。もしさっきみたいなことがあったら遠慮なく君のこと置いて逃げるから。死にたくないし」

「…了解、まぁその方が俺も安心だよ」

容赦ない女の返答に安心するやら何やらと多少複雑な気持ちを抱きながらも、何かあった際に逃げてくれるのならばその方が有り難いと内心思う。多少どころではない驕りの自覚は無きにしも非ずではあったが、運動神経だけはいい自身はあったのであとは持ち前のポテンシャルと未だ内容は未知であるいつだったか言われた『祝福』がどうにかなるだろうと、どこか楽観的に考えた。


ふと、野生の勘とも言える何かが働き、少し先の一室に何かを察知したガーネは真っ直ぐにその部屋に向かって歩み寄り、女は歩調を合わせるようにガーネの後ろを追いかける。

部屋の前に到着すると、同じように厳重に施された施錠の魔法陣が目に止まり何度目かわからない舌打ちを漏らしながら女のネックレスを翳すが、どういう訳か反応しない。

「おい、開かねーぞ」

「私に怒らないでよ。言ったでしょ、『開けることが出来るのと入ることが許されるのは全然別』なの。この部屋は私は『許されていない』だけ」

「クソ、ここまで来てこれかよ」

無理矢理連れてきた女が悪いわけでは当然ないのは理解しつつも、やり場のない苛立ちを隠せずに扉を蹴り飛ばす。

「…お巡りさんがそんなことしていいの?」

「今は凍結中なんだよ」

都合のいい時にしれっと身分凍結を笠にきて、苛立ち混じりに無駄とわかりつつ両手で扉を押す。

すると、図ったように魔法陣が何かに反応した。

「…今、反応したね。何に反応したかわかる?」

「わかんねーけど、多分これだな」

ガーネは感覚のままに左手にネックレスのチェーンを巻き付け、魔法陣に翳した。ガーネの指輪と女のネックレスが共鳴するように反応し、呆気なく扉の施錠魔法が解けた。


「…開いたね」

「開いたな」

開けるぞ、と声を掛けてから、ガーネはそっと扉を押す。相当な年月解放することがなかったためか、ギィッと明らかに油分の足りない錆びついた音を立てて開かれた。

中は暗闇ではあったが、一部の目張りが外れ窓の外の明かりが差し込んでいる。

差し込んだ光のお陰で空気の対流が埃に反射して確認出来、この部屋のなかもそれなりの広さがありそうなことが見て取れる。

意を決して一歩中に踏み込むと、あからさまな邪気のようなものが溢れてくるのを感じ無意識にそれを手で払ったガーネだったが、ふとこのネックレスも指輪も魔除けの役割をしていると『理解』した。なぜそう思ったかはわからないが、本能だったのかもしれない。

ガーネはネックレスを女に突き返すと、先程までと異なり状況が分かっていなそうな表情で手元に返ってきたネックレスとガーネの顔を交互に見る。

「付けとけ、女王様の魔除けの加護でもあるんだろ」

「魔除け……なるほどね」

女が何度かこの陰気な場所に足を踏み入れ、その都度嫌な気配も空気も肌で感じていた中無事だったのは、自分がその耐性がある以上のことがあったのかとガーネの言葉で納得して首元にネックレスを付け直した。元ある位置にダイヤのトップが落ち着くと、室内に差し込む外光が微かに反射して小さく煌めいた。


「……見つけた」

ガーネの呟きに、釣られるように女も視線を室内に向ける。

ごく小さな何かが淡く妖しく光を放っていて、肌感で女もそれが今回の呪いの発生源であると直感で理解した。

どうやらそれはガーネも同じだった様子で、何をするつもりなのかツカツカとその部屋に足を踏み入れる。

「……!見るな!触るな!君も呪われる!!」

「黙れ」

女の警告も聞かず、その諸悪の根源とも言える淡い光を放つ勾玉を素手で掴み取ると、女の小さな悲鳴のような声が上がる。

「……む、無茶にも程がある!バカだバカだとは思っていたけど、ここまでとは…!」

「この程度じゃ死なねーし呪われねーよ」

どういう理由なのかは自分でも理屈はわからないながらも、ガーネにはその確信があった。左手の中に握られた勾玉を、握った拳越しに睨みつける。堂々と主張するように女王に与えられた指輪のダイヤが煌めき、何故だか葡萄酒の味を思い出して舌打ちが漏れる。


「こういう事かよ…あの女…」

珍しく真面目な顔をしていた女王を思い出しあの女、と呼んでしまうのはさすがに不敬が過ぎる自覚はあれど、「きちんと説明しない方が悪い」と無理矢理結論付け、改めて女に向き直った。

「おい、お前その魔除けがあるから多少は平気とはいえ長居は出来ねーだろ。説明してる時間はない、呪詛返しってどうやるんだ」

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