第2巻第12話「上等だよ!! 来い」――ゾンビの進撃と、不敵に笑う元官僚
ドガァンッ! バキィッ!
拳と拳が激しく交差し、互いの肉体を破壊し合う。
荒川正義とゾンビ鮫島。二人の怪物の喧嘩が最高潮にヒートアップした、その時だった。
――タッ。
それまで狂ったように殴り合っていた鮫島が、突如として軽快なバックステップを踏み、正義の間合いから大きく距離を取った。
「なんだなんだ、怖気ついたか?」
拳を構えたまま、正義がドスの利いた声で挑発する。
しかし、鮫島は正義を見ず、左右の戦場へと視線を巡らせていた。その視線の先には、谷中に顎を撃ち抜かれて転がる北山と、ヒロと相打ちになって沈んだ長浜の姿があった。
「マジか……北山と長浜がやられたか」
鮫島はフッと口角を上げた。
「しかも、結構ウチの兵隊もやられてるな。やるじゃん。……だが、羅刹を舐めるなよ?」
突然、鮫島が天を仰ぎ、戦場全体に響き渡るような大声を張り上げた。
「おいおいおいどうしたどうしたぁッ!! 羅刹はこんなもんか、あぁん!? こんな半グレと暴走族の混雑集団にやられたとあっちゃあ、俺たちは笑いもんだぞ、オマエら!!」
その怒号は、まるで死者を蘇らせる呪詛のようだった。
次の瞬間、正義の率いる連合のメンバーが目を見開く。
「……う、嘘だろ……?」
今しがた叩きのめされ、地面に転がっていたはずの羅刹の兵隊たちが、ゾンビさながらに、次々とふらふらと立ち上がり始めたのだ。
「ああ、そうだ……。こんな半端者どもに、負けるわけにいかねえんだよ……!」
「オマエら、意地でもこいつら皆殺しにしろ! じゃねえと、後で鮫島さんの『ヤキ』が入る……! あっちの方が何倍もやべえっ!」
恐怖と狂信。鮫島という男への絶対的な畏怖が、羅刹の兵隊たちの肉体の限界を強制的に突破させていた。
地獄の底から這い上がってきたような敵の軍勢を見回し、鮫島はつまらなそうに肩をすくめる。
「おいおい、北山と長浜は流石に無理か。まあ、気絶しちまってりゃあ、しょーがねえな」
そう言って、鮫島は再び正義へと視線を戻した。その瞳の奥には、ドロリとした純粋な暴力の愉悦が燃え盛っている。
「さあさあ、正義。――第2ラウンドだな!!」
圧倒的な絶望の光景。それでも、街の守護神たる男の心は一ミリも折れない。
正義は自身の拳を顔の前で激しく打ち鳴らし、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
「上等だよ……!! 来いッ!!」
血煙が舞う戦場の中心で、二人の怪物は互いに凶悪な笑みを交わし、再び地を蹴った――。
組織羅刹元々は小規模な暴走族だったが武田がトップになり大規模半グレ集団になった。鮫島は勢力拡大中の時に武田に『自由に動いて良いし強い奴と戦える』と言われ羅刹に入った。ちなみに今も暴走族時代の時の羅刹の特攻服を大事にしている




