第2巻第 8話:『兄貴の方がもっと痛い』ヒロ対長浜、金髪と意地の激突
大乱闘が激化する廃ビルの一角。そこでは、元暴走族総長同士による、プライドを賭けたタイマンが火花を散らしていた。
ヒロの前に立ちはだかる羅刹の幹部・長浜慶次。
元々は暴走族『天光』の総長だった男だ。別の族と抗争していた際、運悪く羅刹の傘下の人間を巻き込んで攻撃してしまい、激怒したゾンビ鮫島とタイマンを張る羽目になった。結果は無残な大敗。その後、自分の族ごと丸ごと羅刹の軍門に降ったという、修羅場をくぐってきた狂犬である。
長浜は鉄パイプをプラプラと弄びながら、ヒロの金髪を睨みつけて下卑た笑い声を上げた。
「ハハハハハ! 金髪野郎をぶち殺せば、さぞかし良い気分になれるからなぁァァ!!」
「あぁん!? 金髪舐めてんじゃねえぞコラァ!!」
ヒロが咆哮と共に拳を突き上げる。
だが、数々の抗争を勝ち抜いてきた長浜の反応は、一歩早かった。
「遅ぇんだよ!!」
ドガッ!!!
長浜の鋭いストレートが、ヒロの顔面へとまともに入った。
強烈な衝撃にヒロの視界が歪む。普通の不良なら、この一撃で戦意を喪失して崩れ落ちていただろう。
しかし、ヒロは倒れなかった。
すぐさま暴走族仕込みのフットワーク(フィット)を駆使して体勢を立て直すと、肉薄した長浜のガラ空きの脇腹へ、カウンターの強烈な打撃をぶち込んだ!
「ガハッ……!?」
今度は長浜が苦悶の声を漏らして一歩後退する。
ヒロは口元から流れる血を手の甲で手荒に拭い、ニヤリと不敵な笑みを浮かべてみせた。その目は、恐怖を完全に乗り越えた男の輝きを放っていた。
「……へっ。何が羅刹の幹部だ。こんな奴の拳、うちの正義の兄貴の方がもっと痛えよ!! お前なんか、あの人の本気の理不尽暴力に比べたら全然痛くも痒くもねえんだよ!!!」
毎朝のように「モーニングルーティン」の怪物を間近で見て、時には巻き込まれてきたヒロだ。本物のバケモノに鍛えられた精神力は、長浜の想像を遥かに超えていた。
長浜は腹を抱えながら、血走った目で歪んだ笑みを深くした。
「……面白い。面白いじゃねえか、金髪!! だったら、その生意気なツラをじっくりとなぶり殺してやるよぉぉぉ!!」
「上等だコラ! 潰してみろや天光の元総長がぁ!!」
金髪への理不尽な憎悪を燃やす長浜と、最凶の兄貴の背中を見て本物の男へと成長したヒロ。
お互いの族のプライドを賭けた、泥泥のタイマン大喧嘩が、さらに激しく燃え上がっていく!




