第2巻第7話:『格闘の流儀』谷中対北山、実力者同士の火花
大乱闘の怒号が響き渡るフロアの一角で、谷中と羅刹の幹部・北山は、互いに完全に意識を集中させて対峙していた。
北山はかつて、地元でも札付きのワルとして恐れられていた男だ。ある日、単身で当時勢力を拡大していた羅刹へと殴り込み、死闘の末に敗北した。そのまま殺されると覚悟した瞬間、羅刹のゾンビ・鮫島から『お前、いい度胸だな!!』と大爆笑され、そのカリスマ性に惚れ込んで羅刹の幹部へと上り詰めたという過去を持つ。
鮫島への絶対の忠誠を誓う北山は、鋭いステップを踏みながらナイフのような視線を谷中に向けた。
「——羅刹の進撃は止まらない。俺たちの邪魔をする奴は、誰であれ皆殺しなんだよ!!」
「なんだとコラ。東京にクスリなんか流しやがって、どの口が抜かしてやがる!」
谷中が咆哮と共に拳を繰り出す。格闘技経験者である谷中の、無駄のない強烈なストレート。
だが、北山はそれを紙一重のヘッドスリップで軽々とかわした。
「甘ぇな」
かわした反動のまま、北山は鋭い軸回転から、谷中の足元へ死角からの重い足払いをお見舞いした。
「——っ!?」
常人なら足の骨を叩き折られて転倒する、ボクシングのフットワークと格闘技術が融合した神速の一撃。
谷中はコンクリートの床を強く蹴り、空中へ大きく跳んでなんとかその足払いをかわした。 宙を舞い、バックステップで着地して体勢を立て直す。
谷中は額から汗を流し、バキバキと首の骨を鳴らしながら北山を睨み据えた。
(……あの間合いの取り方、ただのストリートファイトじゃねえ。ボクシングかなんかの経験者か? 強いな、こいつ)
一方で、攻撃をスカされた北山もまた、チッと忌々しそうに舌を鳴らしていた。
(このヤクザ、俺のあのタイミングの足払いを空中で避けるかよ……。面倒なこいつ。一筋縄じゃいかねえな)
互いの実力を一瞬の攻防で理解し合った二人。
薬物で街を汚すよそ者を許さない元極道・谷中と、鮫島のために東京を血の海に染めようとする狂犬・北山。
プライドと意地が正面からぶつかり合う、実力者同士のガチ格闘ファイトが、さらに激しさを増して加速していく!




